日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。

2024.08.28

英語リスニング力の発達 ―日本人小学生を対象に活用するテクノロジー2種を比較して―

英語リスニング力の発達 ―日本人小学生を対象に活用するテクノロジー2種を比較して―

英語タイトル:Developing English Listening: Comparing Different Technologies with Japanese Elementary Students

ワールド・ファミリー バイリンガルサイエンス研究所 研究プロジェクト

※本記事は、一般の読者向けにわかりやすく情報提供することを目的とし、適宜、省略・編集されています。

著者:Paul Jacobs

翻訳:Yuri Sato

 

要旨

本研究では、低没入型のVR(仮想現実) とZoom(ズーム)によるビデオ通話という2種のテクノロジー活用が日本人小学生の英語リスニング力の発達に与える影響を調査した。

日本の日常生活では英語への接触機会が限られていることから、本研究の目的はEFL(外国語としての英語)教育を強化する革新的な方法を検討することであり、特に言語習得の基礎的技能であるリスニング力に焦点を当てる。本研究には、英語力と年齢に基づいて選定された日本の小学6年生18人が参加している。準実験デザインを採用し、コンピュータを用いた没入型VRプログラム「Immerse(イマース)」と非没入型テクノロジー「Zoom」の英語指導に対する効果を比較した。

レッスン内容は、意味のあるやり取りを中心としたタスクを用いて設計され、指導経験が豊富な教師と指導経験が少ない大学生の両者によって実施された。本研究は、事前テストと事後テストを用いて、生徒たちが英語を聞いてその内容を理解する力を評価した。

さらに、質問紙調査を用いて、生徒の英語学習に対する態度を分析した。

その結果、どのグループでもリスニング力の向上が見られた一方で、Zoom群のうち特に経験豊富な教師が指導したグループは、VR群と比較して、より顕著な向上を示したことが明らかになった。

この結果は、より没入感のあるVR環境のほうがより良い成果を生み出す、という当初の仮説と矛盾した。本研究は、子どもの外国語学習において、インタラクティブ性、注意を集中させやすくリアルタイムのやりとりが可能になる、といったZoomの要因が、没入型のVR環境よりも効果的に役立つ可能性を示唆する。

日本では外国語学習へのテクノロジー導入がますます重要になってきているが、これらの情報は、そのようなEFL環境の教育者や政策立案者にとって有益である。今後の研究で長期的効果の調査、さまざまな年齢層の検討、没入度が異なる各テクノロジーの比較を行うことにより、本研究で得られた知見がさらに発展するものと考えられる。

【キーワード】 VR、仮想現実、外国語としての英語、没入感、リスニング、日本

 

Abstract

This study investigates the impact of different technological mediums, specifically low-immersion Virtual Reality (VR) and Zoom video conferencing, on English listening skills development in Japanese elementary students. Recognizing the limited exposure to English in Japanese daily life, this research aims to explore innovative methods to enhance English as a Foreign Language (EFL) education, particularly focusing on listening comprehension, a foundational skill in language acquisition. The study involved 18 sixth-grade students from Japan, selected based on their English proficiency and age. Employing a quasi-experimental design, the research compared the effectiveness of a computer-based low-immersion VR program, Immerse, against non-immersive technology for English instruction. Lessons were designed using tasks that focused on meaningful interaction, and were conducted by both experienced teachers and less experienced university students. The study measured listening comprehension through pre- and post-tests, and analyzed students’ attitudes towards English learning through questionnaires. Findings revealed that while all groups showed improvement in listening skills, the Zoom group, particularly those taught by experienced teachers, demonstrated more significant advancements compared to the VR group. This contradicted the initial hypothesis that a more immersive VR environment would yield better outcomes. The study suggests that factors such as the interactive nature of Zoom, the focused attention it facilitates, and the real-time interaction it allows, may contribute more effectively to language learning in young learners than the immersive VR environment. These insights are valuable for educators and policymakers in EFL contexts like Japan, where technological integration in language learning is increasingly relevant. Future research could expand on these findings by exploring long-term effects, considering different age groups, and comparing various levels of immersive technology.

Keywords: Virtual Reality, English as a Foreign Language, Immersion, Listening Comprehension, Japan

 

序文

EFL(外国語としての英語)は、世界100カ国以上の学校で必修科目として教えられており、重要度の高いものとして世界的に認知されている(The University of Winnipeg, 2019)。

リスニング力は、実社会で英語を使用するうえで不可欠であり、ほかの重要な言語能力が発達する土台となる(Vandergrift & Baker, 2018)。 しかし日本の英語教師は、自分の英語力が不十分なのではないかと感じていることが多いため、生徒たちに有意義かつ効果的な学習内容を提供することに苦労している(Glasgow, 2018)。

文部科学省は、教師と学習者をサポートするためにEFLの授業でICT(情報通信技術)を取り入れることを提案してきた(文部科学省, 2020)。 例えば、タブレット端末のアプリケーション、動画、「Zoom」などの通信技術の使用である。

その目的は、英語力向上に役立つリソースを生徒たちに用意すること、教室外でのコミュニケーション(特に日本人生徒と留学生とのコミュニケーション)を奨励すること、教師が学習内容に関係する題材を英語の授業へ取り入れやすいようにすることである(文部科学省, 2020)。

文部科学省の提言に基づき、研究者らは、学習者を実社会の場面・状況を再現した擬似的な環境に置くことができるVirtual Reality(仮想現実 ※以下、VR)技術の利用を提案してきた(Lan, 2020)。VR活用は、生徒の英語リスニング力を強化でき、すぐに授業で使える指導用コンテンツを教師に提供できる可能性もある。

 

VRと外国語学習

VRを使った外国語学習に関する研究では、没入感(その世界に入り込んでいる感覚)のレベルによってVRが区別されている。具体的には、低没入型VRと高没入型VRである。低没入型VRと高没入型VRは、それぞれ異なるタイプのVR技術である。前者はPC画面、後者は頭部装着型のデバイスを通じて3次元の環境を体験することができる(Kaplan-Rakowski & Gruber, 2019)。

どちらのタイプのVR技術も、VRを活用した学習環境において重要な要素となる没入体験を提供する。自分があたかもその環境の中にいるように感じる、というVRの性質により、学習者は実生活で行われるようなやりとりをすることができ、さらに、さまざまな形式で言語を使う練習をすることができる。

いくつかのシステマティック・レビューによると、VRは、スピーキング、リスニング、語彙習得、文化学習、ライティング、動機づけ、不安など、言語や情動に関する幅広い分野の調査に使用されている(Chen, 2022; Hein et al., 2021; Huang et al., 2021; Lan, 2020)。

語彙習得、スピーキング、動機づけは、このVR外国語学習の研究分野で最もよく研究されるテーマの一つである(Huang et al., 2021)。研究参加者の年齢に関しては、大学生が最も多く、次いで高校生、中学生、最後に小学生となっている(Chen, 2022)。

その理由として、多くの大学がVRを利用しやすい環境を学生たちに提供していることが考えられる。それに対し、子どもがこのような研究に参加するとなると、より厳しい条件を満たさなければならない。

これらシステマティック・レビュー論文の調査対象となっているVR研究は、学習成果が良好であったことを強調するものが圧倒的に多い(Hein et al., 2021)。この学習成果を生んだ要因は、いくつか挙げられている。例えば、没入感やインタラクティブ性といったVRの性質によって、実際の場面・状況で学ぶ体験と結びつくことである(Huang et al., 2021)。

また、学習意欲が高まることで注意力やエンゲージメントが高まり、それが外国語学習の成果につながると報告されている(Chen, 2022; Hein et al., 2021)。本研究は、VR活用が特に日本の小学生の英語リスニング力にどのような影響を与えるか、というテーマについてリサーチ・ギャップを埋めることを目的とする。この分野の研究はほとんど行われていないため、本調査は、子どもの学習者のリスニング力に対するVR活用の潜在的な効果を検討しようとするものである。

 

EFLリスニング力とVR

EFLにおいてリスニング力は基礎的なスキルであるが、ある生徒がどの程度情報を処理できるかということには多くの要因が影響する。Core-Periphery(核-周辺)モデルによると(Hulstijn, 2015, 2019)、語彙、文法、語用論、音韻知識など、リスニング力の習熟度に直接影響する核変数と、話題についての知識、ワーキングメモリ、注意制御、談話についての知識、メタ認知的な意識など、リスニングの力の習熟度を間接的に支える周辺変数がある(Wallace, 2022)。

核変数に含まれる言語能力は、比較的低いレベルの処理能力と強く結びついていた。この処理能力は、音を知覚し意味のある単位に分けて音声を処理することを伴う(Goh & Vandergrift, 2022)。より高いレベルの処理では、より複雑な文字情報や音声情報が取り込まれる。そして、具体的には言及されていないような文脈から意味を推測する必要があるため、周辺変数に含まれる能力が重要な役割を果たす。

これらの変数のうち、語彙の量がリスニング力において最も顕著な要因である(Mecartty, 2000)。英語を学ぶ大学生を対象に、語彙への親密度(なじみ深さ)とリスニング力の関係を調べた日本の研究がある。この研究では、単語への親密度が75%未満でリスニング力が高いということはめったにないが、90%の場合はリスニング力の高さと最も強く関係していることがわかった(Bonk, 2000)。

Wallace(2022)は、日本の高校生226人を対象に、リスニング力における語彙量、話題についての知識、注意制御それぞれの関係を調査した。この研究では、語彙の知識が豊富な生徒ほど、話の趣旨や詳細を聞き取って推論できたことが高いことがわかっている(Wallace 2022)。また、第一言語(母語)でその話題についての知識があると、それが英語リスニング力に直接的な影響を与えることもわかり、この周辺的なスキルが重要な役割を果たすことが示された。

話題についての知識は、世界についての知識(world knowledge)とも呼ばれ、やりとりの文脈を理解するために不可欠である。この文脈には、本人が持っている言語的な知識、世界についての知識、談話構造についての知識など、相手の発話をよりよく理解するうえで手助けとなる情報が含まれている(Hadley, 2001)。画像の使用は、話題に関する背景情報を得るうえで手がかりとなる(Hanley et al., 1995)。VR環境には話題に関連した視覚情報が数多くあり、談話における文脈を利用しやすくなる。

特にVR環境の役割とリスニング力について調べた研究は、いくつか行われている。Lanら(2018)の研究は、低没入型VR環境のPC画面上で動作を観察する、という方法によって、その動作に関係する英語表現を聞いて理解する力がどのように向上するかを調べた。

Tai & Chen(2021)の研究によると、ヘッドセットを使用するVRは、臨場感で学習者をその世界に引き込む力によって理解度を高めたことが明らかになった。言い換えれば、没入感が得られるVRの性質によって、生徒が疑似的な世界に入り込み、状況・場面を伴った談話を体験することができる、ということである。この生徒たちは、英語を使った活動の体験を楽しんでいたことも報告している。実際に行われるようなことばのやりとりや、理解を手助けする視覚情報を伴う場面・状況は、レッスン中に聞いた内容を定着させるのに役立っていた。

T ai & Chen(2021)は、没入型(VRヘッドセット)と非没入型(一方向の映像)という二つのテクノロジー媒体を効果的に比較した。そして、没入型のテクノロジーがより大きな学習成果をもたらした一方で、非没入型の場面・状況もまた、ある程度の学習効果を得る一助となっていたと結論づけた。

以下に概説する研究は、この研究と同様に、没入型および非没入型の学習環境がどのように働き影響するかを検討したものである。ただし、非没入型の学習環境については、一方向の映像という形式ではなく、双方向のビデオ会議ツールであるZoomを利用した。そして、低没入型のVR環境と比較してその有効性を調査した。このアプローチにより、外国語学習に対する没入体験の効果だけでなく、Zoomがもたらす双方向型コミュニケーションがEFLのリスニング力を高めるうえで役立つかどうかも検証することができる。

 

研究における問い

本研究の目的は、英語指導に二つの異なるテクノロジーを用いて、文脈の中での外国語学習を異なるレベルの没入体験によって手助けすることにより、日本の子どもたちのリスニング力の発達にどのような影響を与えることができるかを明らかにすることである。

この目的のため、コンピュータを用いた低没入型VRプログラム「Immerse」(www.immerse.com)を使用し、この学習環境を非没入型テクノロジーである「Zoom」(www.zoom.us)と比較した。

本研究は、中央大学と共同で行われた。同大学の学部生2人は、レッスン内容の設計に携わり、ImmerseとZoomを用いて子どもたちに指導した。彼らは、経験がほとんどない指導初心者であり、英語力は初中級レベルである。

学生らが指導した子どもたちのグループは、本稿の著者が指導した子どもたちのグループと比較した。本稿の著者は、英語と日本語のバイリンガルであり、指導経験が豊富(10年以上)な英語教師である。この点を考慮し、下記3つの問いを立てた。

問い(1) 日本の小学6年生のリスニング力発達を手助けするうえで、低没入型VRの学習環境は非没入型のZoom学習環境と比較してどのように違うか?

問い(2) 教師がこれらのテクノロジーを活用してレッスンを行う場合、教師の指導力の違いによって子どもたちのリスニング力にどのような違いが生じるか?

問い(3) これらのテクノロジーは、子どもたちの英語学習に対する前向きな態度を促すか?

 

問い(1)については、先行研究の結果(Tai and Chen, 2021)と一致して、より没入感の高いVR学習環境のほうが子どもたちのリスニング力により良い効果をもたらすと予想した。

問い(2)については、経験豊富な教師から学んだほうがより多くの学習成果につながるものの、経験の少ない教師もテクノロジーを活用することで望ましい指導ができるだろうと考えた。

最後に、問い(3)の仮説は、VRやゲームを活用した指導プログラムによるモチベーションの向上について検証した多数の研究に関連している(Reinders & Wattana, 2015; Wehner et al., 2011)。これらの研究では、英語学習を継続したいというモチベーションの向上が生徒たちの報告により明らかになっている。

 

研究方法

参加者

本研究の参加者は、全員が日本国内の異なる地域で通学中の小学6年生(N=18) である。

この生徒たちは、英語力および年齢(平均11.5歳)に基づいて選ばれた。また、全員が日本の英語学習プログラムのユーザー会員組織「ワールド・ファミリー・クラブ」の会員家庭の子どもであり、参加者は同組織を通じて募集された。

各生徒は、すでに実用英語技能検定(以下、英検)の4級(CEFR A1レベル相当)に合格している。

レッスン開始前に家庭から提出された質問紙回答によると、参加者全員の主な使用言語は日本語であった。ただし、1人を除く全員が、2歳前から英語に触れていた(接触開始の平均年齢1.125歳) 。英語への接触方法は、前述の「ディズニー英語システム(DWE)」 と呼ばれる子ども向け英語学習の家庭教材 である。 早くから英語に触れ始めてはいるが、生徒の報告によると、英語への接触量は日常生活のうち平均およそ10%(M =9.937)だった。

これは、日常生活で英語を聞いたり使ったりする機会が限られている典型的な日本の子どもたちと同様である。

各生徒は、自宅で家庭のパソコンとインターネット回線を使用して英語のレッスンを受け、本研究に参加した。低年齢の子どもたちを対象にしたVR活用の研究のほとんどは学校の教室で行われているため、本研究の手法は珍しいものである (e.g. Khatoony, 2019; Lan, 2015)。

生徒たちは、お互いに今回が初対面であった。

実験期間は8週間であり、まず生徒たちの英語リスニング力を評価するための事前テストと言語背景を調べるための質問票調査が実施された。

参加者には、VRプログラムのImmerseとZoomの操作方法について学ぶオリエンテーションが提供された。その後、5週間にわたってVRレッスンとZoomレッスンが5回実施され、最後の8週目にリスニング力を評価する事後テストと追加の質問票調査が行われた。

本研究の流れを示す図

 

予備的措置

英検のリスニングテストに基づき、生徒たちのリスニング力を評価する事前テストが実施された。

生徒は、テスト実施担当者が読み上げる短いストーリーを聞き、聞いた内容に基づいて正しい回答を選択するよう求められた。問題の難易度は、英検4級~3級程度である。

生徒たちは、問題の難易度、反応時間(回答までの所要時間)、回答の正確さに応じて得点を獲得する。合計32点で満点となる。この事前テストは、Zoomを通じて1回につき生徒1人ずつ行われた。

 

介入

Immerseは、さまざまな状況・場面の仮想環境を提供する語学学習用のVRプラットフォームであり、授業を行う空間として使うことができる。計5回のレッスンは、意味のあるやり取りを中心としたタスクを用いて 設計された。

このようなアプローチ は、没入型VR学習とゲームを使った学習の状況下で有効な教授法として知られている(Acquah and Katz, 2020 ) 。

また、各レッスンは、Immerseが提供する5種類の仮想環境のテーマに合わせて設計された。Zoomを使うグループに対しても同一内容で適用できるレッスンにする必要があったため、ImmerseグループとZoomグループの両方で達成できるようなタスクが設定された。

グループ間の違いは、VR環境では実際に自分の身を置くことによる没入感があり、Zoomプラットフォーム上では単にその話題について話すのみ、という点である。レッスンのテーマとなった5つの仮想環境は、図1が示す通り、「動物園」、「ショッピングセンター」、「緊急事態の発生」、「空港」、「裏庭でのバーベキュー」である。 そのうち二つが例として図2と図3に示されている。

Immerseの英語レッスンの様子。動物園内を動きながら学習を進める。

図2:Immerseレッスンの「動物園」の場面生徒たちは、教師(本画像内のアバター)に従って自由に動き回り、質問に答えたり、タスクを完了させたりすることができる。

 

Immerseの動物園の中で動物の名前を英語で学習している様子

図3: Zoomレッスンの「動物園」の場面本画像は、Immerseの画面をスクリーンショット撮影した静止画である。生徒たちは、Immerseグループと同じコンテンツを目にするが、その環境の中で何かやり取りをしたり動き回ったりすることはできない。

 

前述の通り、教師役の大学生たちは英語の指導経験がほとんどない指導初心者であり、英語力も初中級レベルであった。介入を開始する前に、指導経験のある教師から、子どもの英語学習者をレッスンに引き込む方法や指導の方法についてトレーニングを受けた。

各レッスンは30分間であり、4つのグループに対して実施された。研究者(指導経験者)と大学生(指導初心者)の両者が、低没入型VRアプリケーションであるImmerse(VR群)と非没入型のZoom(Zoom群)、という2種類の指導環境でレッスンを行った(表1)。

 

グループ 指導環境 教師の指導経験
グループ1 VR* 経験者
グループ2 VR* 初心者
グループ3 ZOOM 経験者
グループ4 ZOOM 初心者

表1 本研究に参加した4グループの詳細

*VR: 「Immerse」と呼ばれる低没入型VRプログラム

 

事後テストによる評価

介入によるリスニング力の変化を評価するため、生徒たちは5回のレッスンが終了したあとにリスニングテストを受けた。

実施手順は事前テストと同一であり、介入中のレッスンで触れる状況・場面それぞれに関連したストーリーを用いた。そのシナリオと単語は、生徒たちがレッスン中にこなしたタスクで触れた単語やタスク内容と関連している。これは、話題についての知識がリスニング力の重要な側面である(Wallace 2022)ことに伴い行われた。前述の通り、テストで獲得可能なスコアは最高32点である。

また、介入に対する生徒の態度を調べるため、生徒たちとその保護者に質問票への回答を依頼した。質問票 は、VR活用の先行研究で過去に使用された質問票を基に作成された(Huang et al., 2018; Reinders & Wattana, 2015)。

 

結果

本研究では、二元配置分散分析(Two-way ANOVA)を用いて、指導環境(VRとZoom)と教師(指導経験者と指導初心者)が日本人小学6年生の英語リスニング力にもたらす効果を検討した。参加者全員について、事前テストと事後テストの平均点を算出した。

全体的な効果

本研究における問いの一つ目は、低没入型のVRと非没入型のZoomという異なるテクノロジーを用いたレッスンを通して、生徒の英語リスニング力がどの程度変化するかということである。

全サンプルのリスニングテスト平均得点は、全グループにおいても各グループにおいても、事前テストから事後テストにかけて向上した(表2)。

全体の得点を算出したところ、リスニングテストの得点には有意な時間効果(事前テスト→事後テストという時間経過による変化)が見られた( F(1, 22.801) = 5.473, p = 0.035, η_p^2 = .281)。

分析の結果、指導環境のタイプ(F(1, 14) = 1.391, p = .258, η_p^2 = .090)と教師の指導経験(F(1, 14) = 1.301, p = .273, η_p^2 = .085)は、リスニング力の経時的変化に有意な影響を及ぼさないことが明らかになった。

 

グループ 事前テスト(M) 事前テスト(SD) 事後テスト(M) 事後テスト(SD) N
VR-指導経験者 25.25 5.058 28.00 2.708 4
VR-指導初心者 25.25 3.304 26.25 4.272 4
VR群合計 25.25 3.955 27.13 3.441 8
ZOOM-指導経験者 17.83 8.035 26.33 4.844 6
ZOOM-指導初心者 20.38 5.498 23.25 1.708 4
ZOOM群合計 18.85 6.904 25.10 4.067 10
全体 21.69 6.510 26.00 3.835 18

表 2: リスニングテスト得点の平均値(32点満点)

Mは平均値、SDは標準偏差、Nは人数。

 

被験者間効果の検定においては、VRとZoomという指導環境の違いによるグループ間で英語リスニングテストのスコアに有意差が見られた(F (1, 29.045) = 5.401, p = .036, η_p^2 = .278、中程度の効果量を示す)。

さらに、ボンフェローニ補正法を用いた一対比較により、VR群のスコアはZoom群と比較して有意に高いことが示され、平均差は4.240(SE = 1.824、p = .036)であった。対照的に、指導経験者群と指導初心者群の間のスコア差については、統計的有意差が認められなかった(F(1, 4) = 0.099, p = .758, η_p^2 = .007)。

 

指導環境と教師の違いによる比較

一対比較により、指導環境、教師の指導経験、事前テストと事後テストのスコアの間の交互作用効果を調べた。

η_p^2 分析の結果、Zoom – 指導経験者という因子の組み合わせのみ、時間経過とともにリスニングテストのスコアを有意に向上させることがわかった(F(1, 29.045) = 5.401, p = .008, η_p^2 = .278)。

VR – 指導経験者、VR – 指導初心者、Zoom – 指導初心者というその他の 組み合わせにおいては、有意差が認められなかった。経験豊富な教師による効果は予測されていたが、Zoom群がVR群よりもスコアを向上させたことは当初の仮説とは一致しなかった。

全体的なスコアにおいては、VR群のほうが事後テストでより高いスコアを獲得したことが示された。しかし、一対比較においては、経験豊富な教師がZoomを用いて指導することが最も重要な因子であることが示された。指導初心者が教えたグループは、統計的に有意ではなかったが、 図4に示す通り、事前テストと事後テストの差によりスコアの向上が示された。

グラフ|英語リスニングテストのグループ別のスコア

図4:リスニングテストのスコアをグループ間で比較

 

質問票調査の結果

5回のレッスンが終了したあと、生徒たちに対し質問票調査が実施された。

質問票調査により、バーチャルかつオンラインの環境で英語を学ぶことに対する生徒の態度を理解するうえでの手掛かりを得られた。全体的に、Zoomレッスンに参加した生徒たちは、VRレッスンに参加した生徒たちよりも、今回の学習体験を高く評価した。

しかし、図5に見られるように、指導環境にかかわらず、ほとんどの回答が「そう思う」または「強くそう思う」という評価であった。圧倒的多数(99%)の子どもたちが、VRやZoomを活用したレッスンに参加した結果、教室環境の外に出て実際の状況・場面で英語を使うことに強い関心を示した(Q6)。

レッスンの楽しさについては、経験豊富な教師からVRを活用して学んだグループの生徒たちが全員一致で「楽しい」(4点満点中4点)と評価し、エンゲージメントの高さが示された。これとは対照的に、指導初心者からZoomを活用して学んだグループは、4点満点中3点と2点であり、楽しさのレベルが生徒によって異なることがわかった(Q8)。

 

グラフ|質問票調査における指導環境(VRとZoom)別の回答

図5:質問票調査における指導環境(VRとZoom)別の回答

評価尺度: 4 = とてもそう思う、3=そう思う、2=あまり思わない、1=全く思わない

 

質問票には、参加者が自分のことばで回答できるよう、自由回答の質問がいくつか含まれていた。大半の生徒がレッスンの楽しさを高く評価したことが示されたが、追加の質問にて「楽しい」と感じた理由を尋ねた。Zoomを使った指導環境の生徒たちは、教師やほかの生徒たちとのやり取りについてコメントしており、テクノロジーそのものよりも、レッスン中に実施したタスクやゲームの良い面に注目していた。

Zoom群のコメント: 「他の人と話せたこと」、「先生と話せて楽しかった」、「クイズ形式が良かった。僕がわからなくても笑顔で応対してくれた」

一方、VRを使った指導環境の生徒たちによる肯定的なコメントは、没入感のあるテクノロジーに注目したものや、仮想環境の中で楽しかったことに注目したものが大半だった。

VR群のコメント: 「いろんなものを使いながら学習できたのが楽しかった」、「はずかしがらずに自然に英語を話すことができた。離れている相手と一緒にリアルに同じ体験ができて楽しく学ぶことができた」、「ハンバーガーをつくるところ」

両グループの生徒何人かは、知らない単語の意味が「わかった」という感覚や新しい語彙を覚えている感覚によっていかに「楽しい」という気持ちになりやすいか、という点についてコメントしていた。

コメント:「英語を話して正解だったときが楽しかった。」「初めて聞いた英語が、覚えられたこと。」

また、アクティビティがゲーム化されていたことも、レッスンの楽しさに大きく貢献していた。一部の生徒は、ログインや音声トラブルに関する技術的な問題が主な要因となり、本来得られたはずの良い体験が損なわれてしまった。

 

考察

平均的には、異なる指導環境によるレッスンはそれぞれ学習者のリスニングテストのスコア向上に役立っていた。

しかしながら、VR群よりもZoom群で最も顕著な向上が見られる、という予想外の結果が得られた。先行研究では、没入感が外国語学習において有効な役割を果たすことが確認されている(Tai & Chen, 2021)。しかしながら、本研究では、没入感を特質とするVRプラットフォームのほうが没入感のないテクノロジーよりも学習者に役立つ、という仮説は確認されなかった。参加者全体に見られたリスニングテストのスコア向上は、VRの没入感から影響を受けたというよりも、話題についての知識が貢献した可能性がある。

各レッスンは、特定のテーマに沿って入念に作成されていた。VR群の生徒は、テーマに関連したゲームのタスクをこなしながら仮想環境の世界に入り込むことができた。一方、Zoom群は、仮想環境の利点を得ることなく、ゲームのタスクをこなすのみであった。生徒たちは、特定の話題に基づいたレッスンを受け、そのレッスンには仮想環境(VR)や画像(Zoom)が用意されていた。そして、同じ状況・場面(例:ショッピングセンター、動物園など)を用いた出題内容のテストを受けた。 これにより、話題に関連したことばを手がかりにしながらテストを受けることができ、全体的なスコア向上が見られたと考えられる。文脈そのものが第二言語学習者の言語発達に重要な役割を果たした可能性はある。(Goh & Vandergrift, 2022)。

話題についての知識は、全体的なスコア向上に影響を与え得るが、Zoom群とVR群のスコア差を説明するものではない。グループ間に見られた差は、レッスン中の英語インプットに注意を向け続けられる能力の差に起因する可能性がある。

先行研究の多くは、より注意力の発達した、より年齢の高い学習者(Chen, 2022)の学習成果を調査している。 対照的に、本研究の参加者は小学6年生であり、まだこれらの認知能力が発達の過程にあった。(Thillay et al., 2015)。

注意制御は実行機能の能力を構成する重要な要素であり、注意制御力の高さは言語能力の到達度の高さと相関する(Martínez-Vicente et al., 2023)。 外的要因もまた注意力に影響を与える。環境内に刺激が多すぎることにより、注意の分散や注意散漫が起きている場合である(Hughes et al., 2021)、 一度にインプットする言語の量を限定することにより、生徒たちの耳に入ってくる言語をコントロールしやすくなる(Gass, 2018)。

Zoomレッスンの参加者は、PC画面の前でじっと座り、教師と対面していた。

一方、VR群の生徒たちは、仮想環境の中を自由に動き回り、注意散漫になりやすい様子だった。例えば、ショッピングセンターのレッスンでは、店内で特定の商品を探して買いものかごに入れる、というタスクが生徒たちに与えられた。このタスクの間、学習目標となる単語とは関係のないものを手に取れるだけ取ろうとする様子が観察された。

一方、Zoom群は、この仮想環境の場面をスクリーンショット撮影した画像を見て、アイテムがどこに隠されているかを示す、というタスクが与えられた。楽しいタスクではなかったかもしれないが、その状況・場面で使用される言語に注意を払いやすくなり、事後テストにおけるスコア向上につながった可能性がある。

VR空間での学習に関する文献によると、生徒はアバターを使用することでレッスン中に安心して話したりやりとりしやすくなり、不安を軽減するのに役立つ方法であることが示唆されている(Thrasher, 2022)。これらの研究で示されている要因は、低年齢の学習者には当てはまらない可能性がある。なぜなら、アバターを使用すると、生徒には教師の表情が見えにくく、教師には生徒の表情が見えなくなるからだ。生徒が教師の質問に対してなかなかことばを発しないとき、技術的なトラブルが発生しているからなのか、それとも生徒が不安を感じているからなのかを判断することは困難だった。

低年齢の学習者に何かを教える場合、そして、特に外国語を使う場合は、互いの表情を読み合えることにより、教師は生徒の反応に応じてレッスンを調整しやすくなる。そして、生徒は自分の間違いに対して否定的な反応をされないことがわかるようになる。なお、これは動機づけや態度に関する研究と関連する。Zoom群の場合、やりとりは対面で行われ、生徒たちは教師やほかの生徒の反応を見ることができた。これは測定ではなく観察に基づく考察ではあるが、お互いの反応がわかることはエンゲージメントのレベルに影響を及ぼしているように見えた。

本研究では英語のリスニング力に対する効果を調査したが、VRと外国語学習をテーマにした研究の大半はスピーキング力に注目してきた。本研究では、VR環境が生徒たちの自発的なアウトプットを後押しするような傾向も見られた。全5回のレッスンのうち4回目は空港をテーマにしていたが、経験豊富な教師によるVR群のレッスンでは、税関を通過して飛行機に乗るというタスクが生徒たちに与えられた。一人の生徒がハサミを手に取り、荷物検査用のベルトコンベアに置いた。当然、センサーが作動してビービーと鳴る。すると、その生徒は、ほかの生徒たちや教師に対し「Oh no! I can’t bring scissors on the plane. (うわ!ハサミは飛行機に持ち込めないんだ)」と言いながら話し始めました。そして、「Let me try this one. (これを試してみるよ)」 と言って、ほかのアイテムを取りに行きました。

没入感が得られるテクノロジーの特質によって自発的なアウトプットがどの程度増えるのか、VR環境を活用したレッスンを受ければ受けるほどアウトプットも増えるのか、という点の調査は興味深いだろう。
学習状況の違いにかかわらず、生徒たちの大半は、本研究で参加したような英語レッスンによって英語を学び続けたいという気持ちになり、自分たちが感じていた不安のレベルが下がったと報告した。

教師の指導スキルと経験も結果に関与していた。しかしながら、指導経験の浅い大学生たちもレッスンをうまく完了させることができ、素点を見るとリスニングテストのスコアが介入後に向上したことが示されている。これは、テクノロジーは教師たちが巧みに使いこなせるツールであること、テクノロジーが経験豊富な教師にも経験の浅い教師にも同様に役立つことを示す。

 

実践的な応用

Zoomを活用したレッスンが日本の生徒のリスニング力向上に役立つということは、朗報である。生徒一人ひとりにタブレット端末を支給している学校であれば、本研究で用いられたようなテクノロジーを活用することは費用的にも実現可能な取り組みである。Immerseのアプリケーションはコンピューター上で使用でき、タスクの種類によってはリスニング力向上に役立てることができる。 しかしながら、本研究においては、強力な統計的裏づけは得られなかった。

ZoomとVRプラットフォームどちらの活用であっても、意味のあるやり取りを中心としたタスクを用いた指導は、 生徒たちの文脈についての知識を強化し、リスニング力を伸ばすためのサポートを追加で提供することができる。教師は、生徒たちがゲームで注意散漫になることなく言語インプットに集中できるよう、適切な足場かけを提供することが重要になると考えられる。

すぐに授業で使える学習環境を備えたImmerseのようなプラットフォームを使えば、教師はその状況・場面に合ったレッスンプランを設計することができる。VR環境は、教師が話している内容を補強し、教師が自分の言語能力に対する自信のなさから生じる不安感を克服するうえで役立つ可能性がある(及川, 2019)。

 

結論および本研究の限界

本研究論文は、低没入型のVR技術が日本の小学6年生の英語リスニング力に与える影響について調査したものである。指導経験の異なる教師たちがVR環境またはZoomのいずれかを活用したレッスンを担当した。結果、素点は全グループで全体的に向上したことが示されたものの、統計的に有意な向上が見られたグループは経験豊富な教師が教えたZoom群であった。話題についての知識や文脈を学習に結びつけること は、学習者がうまく学習成果を出すための鍵である。

本研究にはいくつかの限界がある。

特に、サンプル数が少なかった(N=18)ことは本研究の限界である。また、ImmerseのVR環境では、技術的なトラブルに直面した生徒たちが多かった。学習に集中できず、レッスン中に十分な没入感を得られなかった生徒たちもいると考えられる。生徒たちは自宅でレッスン参加していたため、技術的なトラブルは、家庭内でのほかの家族の活動(日本の家庭はスペースが限られている傾向にあるため)や不安定なインターネット接続の不安定さに起因していた。

今後の研究においては、Zoomと没入型VRプログラムの活用による学習成果を、より長期間にわたり、より多くの参加者を対象に比較する必要がある。本研究では、没入度の高いVRアプリケーションではなく、没入度の低いVRアプリケーションを用いた。したがって、Zoomと比較する場合、没入度によって結果が変わる可能性がある。その没入度の違いが低年齢の学習者の注意力レベルに与える影響を調査することは興味深い。これらの限界はあるものの、本研究は、学習者だけでなく教師にとっても、特に英語に触れる機会が限られている場でリスニング力を向上させるうえで役立つ可能性のあるテクノロジーについて明らかにした。

 

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