日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。
2025.01.27
日本と海外の生徒・学生が遠隔でつながるオンライン国際交流は、テクノロジーの発展やコロナ禍を経て、ますます注目が高まっています。また、特に外国語や異文化に触れる機会やそれらを提供する人材も少ない地域では、オンライン国際交流によって教育課題を解決しようとする取り組みも行われています。
そこで今回は、オンライン国際交流の一形態であるテレコラボレーションについて研究をされてきた秋山友香講師(東京大学)にお話を伺いました。
前編では、オンライン国際交流の現状や期待される効果についてご紹介します。
著者:佐藤有里
まとめ
●オンライン国際交流の目的は、外国語学習や異文化理解だけではなく、専門分野の協働学習、デジタル・リテラシーの発達、自律学習、グローバル・シティズンシップ教育、リンガフランカの使用など、実に多様化している。
●テレコラボレーションを通じた外国語学習については、完璧な正確さではなく「お互いに理解できる」を目指す学習・指導方法としての可能性が期待される。
●テレコラボレーションを通じた異文化理解については、文化の違いによる会話スタイルの違い、一つの国や言語・文化圏の中に存在する多様性などへの気づきを促し、それらに考慮したコミュニケーション力を身につけられる可能性がある。
●オンライン国際交流を実践するうえで重要なポイントは、コーディネーター同士の協力関係と目的意識の共有、長期的な継続、参加学生の事前トレーニングとフォローである。
―秋山先生が研究されてきた「テレコラボレーション」は、どのように始まった研究分野でしょうか?
Telecollaboration(テレコラボレーション)の研究は、お互いの言語を学んでいる外国語学習者同士をオンラインで交流させる取り組みを外国語教育の中で行ったことから始まりました。例えば、ドイツ語を学んでいるアメリカ人学生と英語を学んでいるドイツ人学生、フランス語を学んでいるアメリカ人学生と英語を学んでいるフランス人学生、というふうに、クラス同士で交流してお互いの言語を学び合うんです。
Julie Belz(ジュリー・ベルツ ※インディアナ大学 准教授)というアメリカでドイツ語の教師をしている応用言語学研究者がこの分野の創始者なのですが、現在この分野を牽引しているのはRobert O’Dowd(ロバート・オダウド ※レオン大学 教授)というスペインの英語教師で応用言語学の研究者です。
O’Dowdを始めとするヨーロッパの研究者の方々が始めた「UNICollaboration(ユニコラボレーション)」という組織がありまして、交流するパートナーのマッチングをするプラットフォームを提供したりイベントを開催したり、いろいろな活動をしています。
UNICollaboration(ユニコラボレーション)ウェブサイト
https://www.unicollaboration.org/
―秋山先生は、どのような経緯や理由で関心をもたれたのでしょうか?
大学3年生のときに交換留学をしたのですが、留学準備として、金銭的にあまり負担のない形で英語を学べる方法はないかと考え始めたことがきっかけです。
そのときに、日本語を学びたい人と英語を学びたい人が交流してお互いの言語を学び合える Win-Winの関係を築ければいいのではないかと思いまして、海外在住の英語話者の方とLanguage Exchange(ランゲージエクスチェンジ/言語交換)などをするようになりました。当時は、ビデオ通話でのやりとりはあまりなかったので、メールのやりとりですね。
また、留学先で日本語教室のTA(指導アシスタント)をしていたときに、日本語を学んでいる人ととても仲良くなったことも大きな理由です。
お互いの言語と文化に興味をもっているところからスタートして、友人としての関係性がどんどん深まって親友になったんです。また、関係性が深まっていくなかで言語の学習も進んでいきました。
このようなプロセスを実際に経験して、このような互恵関係に基づいた外国語学習方法を実際に教育の場でできないだろうか、第二言語習得の理論を応用できないだろうか、と考え、修士課程に進むことにしました。
―経済的負担が少ないだけではなく、効果的な外国語学習になり得る可能性に興味をもたれたのですね。
そうですね。その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で日本語教師をしていたときに、MITの日本語学習者と東京大学 工学部の学生でテレコラボレーションをしよう、というプロジェクトが始まり、初めて教育現場での実践に取り組みました。
Skypeで交流してお互いの大学キャンパスを訪問する、というプログラムを2年担当した経験を経て、ますます第二言語習得の研究を深めて、コーディネーターとしてこのようなプロジェクトを立ち上げていきたいという気持ちが強くなりました。
MITで2年間働いたあとに博士課程に進学して、このMITと東京大学のプロジェクトで集めたデータを基に論文を書き始めました。
私が研究を始めた当初は、チャットなどのテキスト(文字)ベースの交流を対象にしたものが多く、ビデオ通話を使ったテレコラボレーションのデータを取った研究は本当に少なかったので、先行研究がほとんどない状態でした。
「テレコラボレーション」は、いまはCALL(コンピュータ支援言語学習)の研究分野では誰もが知っている用語になりましたが、外国語教育という大きな枠組みの中ですと、まだあまり知られていないと感じています。
―テレコラボレーションでは、どのような実践や研究が多いのでしょうか?
交流する相手に関しては、もともとは外国語学習者と外国語学習者がメインだったのですが、どんどん変わってきています。
2016年に過去20年に実践されたテレコラボレーションのプロジェクトの傾向をまとめたシステマティック・レビュー(Akiyama & Cunningham, 2018)を出版したのですが、その当時は、外国語を勉強している人と、将来その外国語を教える先生になりたい人の交流も多くありました。
例えば、英語を学んでいる日本人学生と、英語の教え方(TESOL /Teaching English to Speakers of Other Languages)を学んでいるアメリカ人学生ですね。アメリカ人学生にとっては、英語教師としてのトレーニングになります。
さらに最近は、違う国で工学を学んでいる学生同士が英語を使って工学のことについて学ぶ、パレスチナの学生とイギリスの学生がパレスチナの状況について英語で話し合う、というふうに、共通語として英語を使って何か内容を学ぶ、という交流がかなり増えている印象があります。
―そうすると、テレコラボレーションの目的も多様化してきているのでしょうか。
当初、テレコラボレーションの目的は「外国語学習」と「異文化理解」の二つでした。
でも最近は、さまざまな目的で実践されるようになりました。
一つは、「デジタル・リテラシーの発達」です。対面ではなくオンラインの場合、ツールの効果的な使い方やテクノロジー環境の構築など、デジタル・リテラシーが不足しているためにうまく交流できない学生は結構いますし、そういうトレーニングの必要性は私自身も実感しています。
また、「自律学習」を目的とした実践もよく行われています。パートナーと一緒に何かに取り組むためには、協働的に学ぶ仕組みやスケジュール管理などを自分で考えて実行する、というLearner autonomy(学習者の自律性)が必要だからです。
最近は、「Global Citizenship Education(グローバル・シティズンシップ教育/地球市民教育)」を目的としたプロジェクトも増えてきました。例えば、LGBTQの問題について話し合い、さらにそれぞれが自分の国で何かアクションを起こす、という取り組みです。
さらに、「Lingua Franca(リンガフランカ)の使用」という目的も、テレコラボレーションの柱の一つになっています。ある言語をリンガフランカ(共通語)として使って一緒に何かに取り組む、ということです。リンガフランカとして英語が使われることが多いので、最近は英語を使ったテレコラボレーションの研究が多く見られます。
―外国語や異文化そのものを学ぶだけではなく、言語や文化の違いを乗り越えて何かを一緒に学んだり成し遂げたりすることを目的とした交流が増えてきているのですね。「Virtual Exchange」や「COIL」と呼ばれるオンライン交流もありますが、どのような違いがありますか?
「Virtual Exchange(バーチャル・エクスチェンジ)」は、オンライン上での交流を意味する大きな枠組みで、その中に「テレコラボレーション」や「COIL(Collaborative Online International Learningの略で『コイル』と読む)」などの異なるアプローチがあります。
テレコラボレーションは、もともと外国語学習にフォーカスしたアプローチで、ヨーロッパで生まれました。
私はその中でもお互いの言語や文化を学び合う「eTandem(E(イー)タンデム)」という言語交換の活動について研究してきましたが、ブラジルでは同様の学習形態が「Teletandem(テレタンデム)」と呼ばれています。
COILは、ニューヨーク州立大学で開発されたアプローチで、外国語そのものというよりも内容の学習にフォーカスしている、という点が特徴です。
例えば、地学の授業を受けているA国とB国の学生が一緒にやりとりをしながら地学について学ぶ、ということですね。日本であれば、関西大学がとても積極的に取り組んでいます。
―先ほど、テレコラボレーションの分野では何か内容を学ぶことを目的にした実践が増えてきている、というお話がありました。COILの分野ではいかがでしょうか?
COILにも、外国語学習を目的とした実践があります。
違う国の学生たちが交流すれば、そこには言語のやりとりが生まれますので、言語にフォーカスを当てることも必要になってきます。
マルチリンガルな環境で生きてきたヨーロッパの人同士や上級レベルで外国語を身につけている人同士の交流であれば、お互いの言語を使って何か内容について話したり学んだりしやすいと思います。
でも、例えば英語初級の日本人と日本語初級のアメリカ人の間のやりとりですと、英語や日本語を共通語として使って難しい話題について話すことはなかなかできなません。
そういう交流の場合は、言語にも焦点を当てて、外国語学習をサポートするようなプログラムにしないといけないと考えています。
―秋山先生の研究では、テレコラボレーションの効果としてどのような側面に注目されてきましたか?
私は、「comprehensibility(コンプリヘンシビリティ/発話のわかりやすさ)」という側面を対象に研究してきました。その人の発話を聞いたときに意味が理解しやすいかどうか、ということです。
例えば、発音のアクセント(訛り)があっても、聞いていてわかりやすい英語はありますよね。また、英語の三人称単数(※1)や日本語の助詞(※2)などは、相手がその部分を間違えて話したとしても発話の意味は理解できます。
ロンドン大学の斉藤一弥先生とEタンデムにおける言語習得について共同研究をいくつか行ってきたなかで、「negotiation for comprehensibility(わかりやすさのための交渉)」という考え方を提唱させていただきました(Saito & Akiyama, 2017)。
これは、意味理解に支障が出るようなところのエラーだけに対してエラー修正やフィードバックをすることです。そのための事前トレーニングも入念に行いました。
このようなやりとりによって、わかりやすい英語、わかりやすい日本語を習得できるか、ということを研究しました。
―どのような研究結果が得られたのでしょうか?
このプロジェクトはとてもうまくいきまして、発話のわかりやすさが伸びました。また、学生へのインタビュー調査をしたところ、お互いに間違いの修正ができたことでプロジェクトに対する満足度も高かったです。
オンライン交流を通じて友だちになっていくプロジェクトであるからこそ、マイナーな間違いには注目せず、とにかくお互いの発話の意味理解にフォーカスしてフィードバックをする。そのようなやりとりによってcomprehensibilityが伸びることを期待しています。
―テレコラボレーションでのやりとりは、どのように分析されているのでしょうか?
もともとは学習者の認知的な側面に注目して、Interaction hypothesis(インタラクション仮説)(※3)に基づいた分析していました。
つまり、フィードバックの回数が多ければ良いのか、意味交渉(※4)が起きていれば良いのか、というところを見ていたんです。
でも、データの分析を続けていくなかで、考え方が改まりました。
テレコラボレーションを通じて友だちの関係性になってくると、「相手のメンツを潰すようなことをしていいのかな?」という気持ちが生じて、先生が生徒に対して与えるようなフィードバックをするのは難しい文脈であることに気づいたんです。
そこで、社会的な側面にも注目して、どのようなフィードバック方法であれば、友だちの関係性の中で実践することができて学習効果も得られるか、ということを探究するようになりました。
―どのようなフィードバックが効果的だと思われますか?
現時点では、「recast(リキャスト)」というフィードバック方法が効果的だと考えています。
リキャストは、相手に気づかれない可能性はありますが、あまり会話の流れを止めずに行えるフィードバックの方法で、親子のやりとりでもよく行われています。
プロジェクトの参加学生に対する事前トレーニングでは、6種類の「corrective feedback(訂正フィードバック)」(Lyster & Ranta, 1997)を示して、国際交流の中で実践しやすいフィードバックはどれかを考えさせているのですが、だいたいの学生がリキャストだという結論に至ります。
6種類の訂正フィードバック(Lyster & Ranta, 1997)
※下記は、IBSによる要約・翻訳です。例は、相手がgoの過去形としてgoedと言った場合を想定しています。
1. Explicit correction(明示的な訂正)
間違っている部分をはっきりと指摘して正しい言い方を伝える(例: You don’t say “goed.” You say “went.”)。
2. Recast(リキャスト)
間違っている部分を正しい言い方に変えて、相手の発話をリピートする(例: So, you went there with your mom.)。
3. Clarification request(明確化の要求)
聞き返す(例:What did you say?)。
4. Metalinguistic feedback(メタ言語的なフィードバック)
正しい言い方をはっきりと伝えずに、語彙や文法など言語の知識に関するコメントや説明、質問をする(例: “Go” is an irregular verb.)。
5. Elicitation(誘導)
文を最後まで言うよう促す (例: So, you…?)、正しい言い方について質問する(例:How do you say 行った in English?)、言い換えるように伝える、といった方法で相手が正しい言い方をするように誘導する。
6. Repetition(リピート)
相手の発話をそのままリピートする。間違っている部分を強調して言うことが多い(例: So, you GOED there with your mom?)。
―学生たちが実際にリキャストを行えるように、どのようなトレーニングを行っているのでしょうか?
リキャストの説明をしたあとにロールプレイを行います。
一方の学生にはわざと間違った発話をしてもらって、もう一方の学生にはリキャストをしてもらうんです。
実際にやってみながらどのような間違いに対してリキャストをすれば良いのかを考えてもらい、本当に意味理解に苦しむような間違いだけはサポートしてあげたほうが良いかもしれませんね、という話をします。
また、会話の流れの中でフィードバックするのはかなり難しいことなので、どのタイミングでリキャストをすればよいのかわからなかった、というコメントもけっこうあります。
ですから、もし会話の流れの中ですぐにフィードバックできない場合は、例えばメモを取っておいて、そのセッションが終わるときにお互いにコメントを共有し、「こういう間違いがあったよ」という気づきを与えてもいいかもしれないと伝えています。
相手のエラーの有無を明示的に指摘しない方法で、意味理解に支障が出るような間違いだけに絞ってフィードバックをするようにトレーニングを受けた学生が、テレコラボレーションを通してわかりやすい英語・日本語を習得できるのか、ということを研究してきました。
―外国語学習のほかにも、テレコラボレーションの効果が期待できることはありますか?
やはりintercultural competence(異文化理解の能力)が伸びることも期待しています。
ただ、相手がその国の代表者だと認識してしまわないように気をつけなければなりません。
特に、異文化交流の経験がなく「外国の人と話すのが初めて」という学生は、言語の面でも文化の面でも、相手が言ったことがすべてだと認識してしまいやすいです。
アメリカのMITは私が働いていた当時、日本人があまりいないキャンパスだったのですが、テレコラボレーションで友だちになった日本人学生の発言をすべて信じて、「パートナーが〜って言っていたから大丈夫」、「日本はこういう国だ」、「日本人はこうなんだ」と思ってしまう学生が意外と多かったです。
―異文化交流によってステレオタイプができてしまう可能性がある、ということですね。例えば、どのような事例がありますか?
例えば、最近発表した論文(Akiyama & Ortega, 2024)では、アメリカ人学生がLGBTQについてカミングアウトするやりとりについて紹介しました。
その学生は、アメリカの中でもリベラルな地域であるボストンに住んでいるのですが、カミングアウトされた日本人学生は、あたかもアメリカ全土でLGBTQに関する理解が広まっていて、日本と違って同性同士がお付き合いするのは当たり前、というふうに認識してしまっていたのです。
でも、アメリカ・日本国内でも、地域や教育背景によってもLGBTQに関する理解度は異なっていますよね。そのような国内に存在する多様な考え方に気づくことなく、日本 vs. アメリカのような二項対立の考え方を強めてしまったんです。
ですから、ステレオタイプ化を防ぐためにも、トレーニングや教師の介入は大切だと思っています。
教師の介入が少ない異文化交流の場では、通常の外国語の教室とは違って、このような印象的で忘れられない出来事や場面が発生します。
Critical incident(クリティカル・インシデント)と呼ばれているのですが、そのインシデントを一つひとつ質的に分析して、その後のやりとりや学習にどのような効果があったかも調べてきました。
―やはり異文化交流は、表面的な知識を得るだけで終わってしまったり、むしろステレオタイプができてしまったりすることもありますよね。対面ではなくオンラインでの交流だからこそ、この課題を解決できる可能性はありますか?
あると思います。
オンライン交流の良さは、手軽に誰とでもつながれることです。
例えば、ある国の中で対面の異文化交流をするとなると、その国に滞在している留学生の数が少なければ、限られた人との交流になってしまいます。
でも、オンラインであれば、さまざまな国のさまざまな人とつながれますし、多国籍の学生が交流する場をつくることもできます。
最近は、日本とアメリカとイギリス、スウェーデンとスペインとイスラエル、というふうに3カ国でテレコラボレーションをするプロジェクトも増えてきました。
その延長線で考えると、例えば、日本の関西エリアの人と関東エリアの人、アメリカの北部の人と南部の人の4名で交流するプロジェクトにすることで多様性をより理解できると思います。
地域差、年齢差、ジェンダー差など、一つの国の中にある違いをどれだけハイライトできるか、という視点をプロジェクトに取り入れる必要があると感じています。
(※1)英語では、主語が三人称・単数(話し手「私(I)」・聞き手「あなた(you)」以外の第三者で単数)で現在時制の場合、動詞に「s(es)」がつく(例:I like an apple. / He likes an apple.)。日本人にとって習得が難しいと言われている文法項目と言われている。関連記事「日本の子どもは、英語にどう反応する?世界に先駆けた大規模な研究でわかったこと 〜横浜国立大学 尾島教授インタビュー「おうち英語」シリーズ最終回〜」もご覧ください。
(※2)日本語では、名詞のあとに「が」「を」「に」などの助詞をつけて、その次に続く動詞や形容詞との意味関係を示す(例:「ボートを漕ぐ」「ボートに乗る」)。関連記事「外国ルーツの子どもたちは、小さいころから日本に住んでいればネイティブのような日本語力を身につける? 〜お茶の水女子大学大学院 西川朋美 准教授インタビュー〜」もご覧ください。
(※3)インプットだけではなく、他者との相互のやりとり(インタラクション)によっても言語習得が促進される、という考え方(Long, 1996)。
(※4)上記のインタラクション仮説では、「negotiation of meaning(意味交渉)」が言語の習得を促すうえで重要だとされた。お互いに相手の伝えたい内容(意味)を理解しようとするやりとりのことであり、相手が何か間違ったことばの使い方をしたときに、それを正しく言い直したり聞き返したりする「corrective feedback(訂正フィードバック)」が含まれる(Long, 1996)。
(後編へ続きます)
【取材協力】
東京大学大学院 工学系研究科 国際工学教育推進機構 秋山 友香 講師
<プロフィール>
専門は、応用言語学。研究テーマは、SLA(第二言語習得)、CALL(コンピュータ支援言語学習)、国際コミュニケーション。また、「テレコラボレーション」や「バーチャル・エクスチェンジ」、「COIL(Collaborative Online International Learning)」と呼ばれるオンライン異文化交流の場における談話分析も行う。ボストン大学 修士号(TESOL /英語教育)、ジョージタウン大学 博士号(言語学)取得。ジョージタウン大学講師、オックスフォード・ブルックス大学講師などを経て、2018年より現職。工学系学生の国際化のため、英語教育のみならず、さまざまな授業や活動を行っている。
■関連記事
英語の訛りって本当にダメなの?ジャパニーズ・イングリッシュに厳しすぎる日本人が変わるためのヒント 〜法政大学 渡辺宥泰教授インタビュー(前編)〜
Akiyama, Y., & Cunningham, D. J. (2017). Synthesizing the practice of SCMC-based telecollaboration: A scoping review. CALICO Journal, 35(1), 49–76.
https://doi.org/10.1558/cj.33156
Akiyama, Y., & Ortega, L. (2024). Coming out, heteronormativity, and possibilities of intercultural learning in a Google Hangouts telecollaboration. International Journal of Bilingual Education and Bilingualism, 27(5), 656–674.
https://doi.org/10.1080/13670050.2024.2306388
Long, M. H. (1996). The role of the linguistic environment in second language acquisition. In W. C. Ritchie, & T. K. Bhatia (Eds.), Handbook of second language acquisition (pp. 413-468). Academic Press.
Lyster R., & Ranta, L. (1997). Corrective feedback and learner uptake: Negotiation of form in communicative classrooms. Studies in Second Language Acquisition, 19(1), 37-66.
https://doi.org/10.1017/S0272263197001034
Saito, K., & Akiyama, Y. (2017). Video-based interaction, negotiation for comprehensibility, and second language speech learning: A longitudinal study. Language Learning, 67(1), 43-74.
https://doi.org/10.1111/lang.12184