日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。
2023.01.11
タイトル:The Cognitive Benefits of Bilingualism in Autism Spectrum Disorder: Is Theory of Mind Boosted and by Which Underlying Factors? (2021)
自閉スペクトラム症におけるバイリンガリズムの認知的利点~「心の理論」はどのような要因で発達が促進されるか?~(IBS訳)
著者:Eleni Peristeri, Eleni Baldimtsi, Margreet Vogelzang, Ianthi Maria Tsimpli, and Stephanie Durrleman
ジャーナル: Autism Research: Official Journal of the International Society for Autism Research 14 (8): 1695–1709
アクセス: https://doi.org/10.1002/aur.2542
レビュー著者:Paul Jacobs
翻訳:佐藤有里
● 二つの言語を使う能力(バイリンガリズム)は、他者との関わりに困難を抱える自閉スペクトラム症(ASD)児にとってメリットがある。
● バイリンガルのASD児は、他者の立場に立つ能力がモノリンガルのASD児よりも優れていた。
● ほかの先行研究と一致するため、第二言語を習得することは、脳神経に個性のある(ニューロダイバース)子どもの発達に悪影響を及ぼすのではなく、良い影響を与えると思われる。
相手の立場に立って理解することは、周りの人とうまくコミュニケーションをとったりコミュニティをつくったりするための土台となります。私たちは、相手が自分と同じ考えを持っていて、自分が言ったことばの意味を正確に理解しているはずだと思いがちです。しかし、他者とのやりとりは、相手の世界に入り込もうとしなければうまくいかないことが多々あります。
例えば、「朝ごはんを一緒に食べよう」と日本人の友人を自宅に招くとします。アメリカ人の私にとっては、「朝ごはん」といえばベーコンと卵です。しかし、日本人の友人にとっては、味噌汁とごはんかもしれません。相手の視点に立って「朝ごはん」の意味を確認しないと、いざ食べようとしたときに自分が想像していた食事と違って、お互いに戸惑ってしまうかもしれません。
この例は、どちらかというと自分も相手も困らないケースではありますが、ある特定の状況について、自分が思っていることはほかの人が思っていることと違うかもしれないという考えを持ち、他者の世界に入り込む能力がいかに大切かがわかります。心理学の分野では、このような考えは「心の理論」(Theory of Mind / 略称:ToM)と呼ばれています。
他者の立場に立つ能力(他者視点取得)は、子どものころに発達し、定型発達児の場合は4~5歳です(Wellman & Liu, 2004)。しかし、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の子どもは、このスキルが十分に発達していない場合があります。ASDの子どもは、「心の理論」を測定するタスクで成績が比較的低く(Baron-Cohen et al., 1985; Senju, 2012)、そのため、ASD児の多くが日常の社会生活で他者と関わることに困難を抱える、という研究報告があります。
ASDの子どもの特性としては、社会性における困難、発語の遅れ、興味のあることにこだわりすぎてほかの情報が入らない傾向などが挙げられます。これらの特性は、必ずしも悪いことではありません。例えば、情報に執着する能力は、特定の分野で深い洞察力を養う手助けになります(Happé & Frith, 2006)。しかし、この能力によって学校生活が難しくなる場合があります。学校では、ときには子どもが興味を持たないような、一般的で幅広いレベルの情報を学ぶことが求められるからです(藤野, 2021)。
日本では、文部科学省がASDを「発達障害(※1)」と「知的障害」の二つに大きく分けています。一つ目の「発達障害」には、平均または平均以上の知能を持つASDの子どもたちが含まれます。二つ目の「知的障害」には、平均より低い知能を持つASDの子どもたちが含まれます。日本でASDと診断される人の割合は近年3%に増加し、諸外国よりも高く、その理由として、ASDの社会的認知度が向上したことや医療・専門サービスの利用が増えたことを挙げています(Sasayama et al, 2021)。
ASDの子どもたちが複数の言語に触れることについては、よく親や養育者が懸念を示します。子どもの認知発達に負担をかけるかもしれないからです。親たちが心から心配している状況を受け、研究者たちはバイリンガリズム(幼少期に複数の言語に触れること)がASDの子どもや大人にどのように影響するかを調査し始めました(例: Digard et al., 2020)。例えば、「二つの言語に触れることは、発達段階にある認知能力にとって負担になるのか?それとも支えになるのか?」、「発達障害の子どもは第二言語を習得できるのか?」といった問いに答えようとする研究です。Peristeriら(2021)の研究はその一つであり、ASD児のバイリンガリズムが他者の立場に立つことの難しさを軽減するためにどのような役割を果たすかを調べています。
心の理論の能力を測るときには、多くの研究者が「誤信念課題」(False Belief Task)と呼ばれるタスクを使っています。このタスクは、相手がこれから取る行動をうまく見極められるかどうかをみることで、他者の立場に立つ能力を調べるものです。例えば、研究の参加者として、ある映像を見ているところを想像してください。二つの箱(赤い箱とと青い箱)が見えます。そこに女の子がやって来て、赤い箱におもちゃの車を入れて去っていきます。次に男の子がやって来て、赤い箱から車を取り出し、青い箱の中に移動させます。女の子が再びやって来たあと、「この女の子は車を見つけるためにどこを探すでしょうか?」と質問されます。もし「赤い箱」と答えたら、他者の立場に立つ能力をうまく発揮して正解したことになります。正解するためには、自分が知っていること(青い箱の中に車が入っている)と女の子が知っていること(赤い箱の中に車が入っている)は違うことがわからなければなりません。
定型発達の子どもを対象にした先行研究では、心の理論の能力を測定する誤信念課題(タスクの詳細は、本ページ末の補足資料「誤信念課題」を参照)においてバイリンガル児の成績がモノリンガル児よりも優れていました(Diaz & Farrar, 2018; Kovács, 2009; Liberman et al, 2017)。例えば、Kovács(2009)は、4歳の時点で相手の立場に立つことができた子どもの割合は、バイリンガル児が60%だったのに対し、モノリンガル児がわずか25%だったことを報告しています。
これらの知見を踏まえ、Peristeriら(2021)は、二つの問いに答えることを目的とし研究しました。
1. ASDの子どもがバイリンガルであることは、誤信念(他者が自分とは違う心を持っていること)の推論における困難を軽減する役割を果たしうるか?(バイリンガリズムによって、他者の立場に立ちやすくなるか?)
2. バイリンガリズムが困難を軽減する可能性があるとすれば、どのような認知メカニズムがそれを支えているのか?例えば、抑制、ワーキングメモリ、注意の転換、メタ言語知識の能力など。
これらの問いに答えるため、6~15歳のASDの子ども103名(バイリンガルASD児43名、モノリンガルASD児60名)を対象に実験が行われました。バイリンガルASD児は、アルバニア語とギリシャ語を話し、家庭ではアルバニア語、学校内外ではギリシャ語を使っています。モノリンガルASD児は、全員がギリシャ在住でギリシャ語を話します。この子どもたちは、平均的な知能を持ち、通常学級に通っています。
研究では、認知能力や言語能力を調べるさまざまなタスク(※2)を用意しました。研究の対象となっている主なタスクは、心の理論の能力を評価する誤信念課題であり、その内容は次にくわしく説明します。そのほかのタスクは、「どのような認知メカニズムがバイリンガルの心の理論の能力向上を手助けするのか」という二つ目の問いに答えるためのものでした。(各タスクの詳細を確認したい方は、本ページ末の補足資料をご覧ください。)
誤信念課題では、二人のキャラクターが登場する、さまざまなストーリー展開の短編アニメを見ます。それぞれのアニメは、同じようなパターンでストーリーが展開していき、5種類のエンディング(表1のシナリオ一覧を参照)が用意されています。アニメを見終わった子どもには、ストーリーの登場人物が最後に取った行動が適切だったかどうかを答えてもらいました。子どもは、その登場人物が自分とは違う視点を持っているかもしれないことを理解していなければ、正解することができません。
表1:誤信念課題で使われたストーリーのエンディング5種類
タスクの詳細
タスクの内容がわかりやすいように、以下、5種類のシナリオについて説明します。それを図式化したものが図1です。ここでは、女の子がゆで卵をつくるストーリーを例とします。
画像1:エッグカップのイメージ Photo by Annie Spratt on Unsplash
シーン1:女の子が部屋に入ってきて、エッグカップに入っている卵を手に取ってゆでる。ゆでた卵をエッグカップに入れたら、部屋から出る。このオープニング・シーンは、5種類のシナリオ全部で同じ。
シーン2:男の子が入ってきて、状況が変化する。その変化は、2種類。変化1:男の子が入ってきて、上のほうの殻を割ってゆで卵を食べる。殻の破片を残りの殻にくっつけてエッグカップに戻す。よって、何も変わっていないように見える。シナリオ1では、女の子がこの男の子の行動を見ている。シナリオ2と3では、見ていない。変化2:男の子が入ってきて、ゆで卵を手に取るが、食べずにエッグカップに戻す。よって、実際に何も変わっていない。これがシナリオ4と5。
エンディング(シーン3):研究に参加した子どもたちは、シーン2の状況を踏まえて、エンディングで起こったことが正しいかどうかを答えた。答えるまでにかかった時間と答えの正確さが調べられた。シナリオ1、2、5では、女の子が卵を食べようとするエンディングと、女の子が卵をすぐに捨てようとするエンディングがある。シナリオ3、4では、女の子が部屋に入ると、卵が床に落ちて殻が割れる。そのときに卵の中身がこぼれるエンディングと、中身がなくて殻だけが散らばるエンディングがある。
シナリオ1、2、5は、女の子の反応が男の子の行動に基づいているため、「行動シナリオ」に分類される。つまり、男の子の「行動」(ゆで卵を食べるか食べないか)を見ているかどうかで、女の子の反応が変わる。一方、シナリオ3と4は「物理的シナリオ」であり、研究に参加した子どもたちは単に「物理的」観点から状況を分析するよう求められた。例えば、卵が床に落ちて殻が割れたとき、もし男の子がゆで卵を食べていたら中身はないが、食べていなければ中身がこぼれる。行動シナリオは他者の立場に立つ能力を測定するが、物理的シナリオはそうではない。
結果、バイリンガルはモノリンガルよりも他者の立場に立つ能力が優れていることがわかりました。回帰分析(※3)を行ったところ、シナリオ2(女の子が男の子の行動を見ていない状況で行動する)の解釈において、モノリンガルASD児とバイリンガルASD児の間で正確さに有意差が見られました。シナリオ2を正確に解釈するためには、自分が持っているシナリオの知識(男の子が卵を食べたという情報)を抑制し、女の子の視点に立つ必要があります。これができなければ、自分の視点に基づいて、間違った回答をしてしまう可能性が高いのです。
この心の理論を評価するテストで、バイリンガルASD児がモノリンガルASD児よりも優れた成績だったことがわかりました。そこで研究チームは、どのような要因がこのモノリンガルとの成績差に関与しているのかを、実行機能課題(記憶更新・ワーキングメモリやグローバル・ローカル課題:本論文末の補足資料を参照)を使い調べました。その結果、バイリンガルの成績のほうが有意に優れていました。
では、バイリンガルの実行機能の高さは、バイリンガルのほうが他者の立場に立つ能力が高いことに関係しているのでしょうか?この点について、論文の著者らは「本研究で証明されたバイリンガルASD児における実行機能の高さは、バイリンガリズムと誤信念を推論する能力の間に直接的で有意な関係があることを完全に説明するものではなかった(IBS訳)」(p. 1705)と述べています。
つまり、バイリンガルの注意の転換に関わる能力(実行機能課題の成績の高さ)と他者の立場に立つ能力(誤信念課題の成績の高さ)は関係していたものの、だからといって、「バイリンガルがモノリンガルよりも他者の立場に立つ能力が高い理由は、バイリンガルが注意転換の能力が高いからである」とは言えず、ほかに要因がある可能性もある、ということです。
親や養育者は、第二言語を学ぶことがASDの子どもに何かマイナスの影響を与えるのではないかと心配するかもしれません。また、ASDの子どもは、社会との関わり、特に他者の立場に立つことを苦手とする場合があります。しかし、この研究は、バイリンガルとして育つ経験が複数の言語を話す能力だけではなく何か別の能力(例えば、上記の実行機能課題に要求される能力)を高め、ASD児が自分の視点から離れて他者の視点に立てるようになる可能性を示しています。
この仮説は、誤信念課題でバイリンガルのASD児がモノリンガルASD児よりも好成績だった、という結果により支持されます。この論文の著者らは、このような結果が出た理由について、いくつかの説明をしています。
一つは、バイリンガルの子どもは、話す相手によって、どの言語をどのように使うかを常に考えなければならない(Grosjean, 2010)という説明です。つまり、それが相手の立場に立つ練習になるということです。
もう一つは、モノリンガルよりもバイリンガルのほうが実行機能が高い傾向にある、という説明です。ほかの研究では、バイリンガルのASD児(Pellicano, 2007)だけでなく、バイリンガルの定型発達児(Devine & Hughes, 2014)においても、実行機能スキルが誤信念課題の成績の高さに関与していることが報告されています。今回の研究結果は、これらの先行研究に結びつきます。Pelicano(2007)は、バイリンガル児の情報を抑制する能力が、モノリンガルASD児との差につながる重要な要因である、という考えを示しています。
バイリンガリズムや外国語習得が、学習障害(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)、ASDの子どもなどの社会的弱者にどのような影響を与えるかを調べる研究はいま増加していますが、今回ご紹介した研究はこの分野に貢献するものです。先行研究の結果も踏まえると、ASD(および、そのほかの発達上の困難)の子どもが直面する障壁や困難は実際に存在しますが、バイリンガリズムはこれらの困難を増やすものではなく、むしろ困難から守るものだと思われます(くわしくは、Vender et al., 2021を参照)。ただし、この分野の研究は、「バイリンガル」の定義がそれぞれ違っていたり、不明瞭な場合があったりするため、複数の研究結果を単純に比較したり結論づけたりできないことに注意が必要です(de Bruin, 2019)。
もちろん、誰もが複数の言語を学ぶ必要があるわけではありません。それでもやはり、ASDの子どもにももう一つの言語を学ばせたいと願う親は、それが可能であること(Digard et al., 2020)、そして、複数の言語を学ぶことが子どもの発達にマイナスの影響を与えないことを知っておくべきです。とはいえ、子どもにもう一つの言語を学ばせるときには、その子の好き嫌いを考慮し、子どもにとって最も楽しい体験を提供することを目指しましょう。実際、親の態度とASD児の社会的能力の関係を調べた研究がいくつかあります(Di Renzo et al, 2020; Zand et al, 2014)。これらの研究では、親の前向きな姿勢はその親が子どもの診断結果を受け入れるかどうかに関係すること、そして、それがASD児の社会的能力の発達を支える親子の関わり方に影響を与える可能性があることがわかりました。そのため、親の前向きな姿勢や関与は、子どもにとって極めて有益になる場合があります。
この研究分野は、まだ始まったばかりです。今後の数年間でどのように発展していくのか期待が高まります。
(※1)ASDに関連するほかの障害(発達障害のカテゴリ)としては、学習障害(LD)、注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)がある(文部科学省、2016)。世界各国で学齢期の子どもの約5~15%がこれらの学習障害・学習困難に苦労している(American Psychiatric Association, 2013)。
(※2)実施された各種テストは次の通り。言語能力を測るテスト(文の復唱課題、表出語彙課題、構文理解課題)、メタ言語知識を測るテスト(語の定義課題)、IQテスト、実行機能を測るテスト(記憶更新・ワーキングメモリを調べる2バック課題、視覚的注意を調べるグローバル・ローカル課題)。詳細は、本ページ末の補足資料を参照。
(※3)独立変数が従属変数に及ぼす影響を調べる統計手法。独立変数は、例えば、子どもがバイリンガルかモノリンガルか、という説明変数のこと。従属変数は、例えば、図1のシナリオごとに女の子の視点に立てるかどうかを調べた誤信念課題の成績であり、被説明変数。
■関連記事
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http://hdl.handle.net/2309/166837
【補足資料】
●言語能力を測るテスト
表出語彙課題
50枚の絵を見て、それぞれの絵に描かれているものの名称を言う。
文の復唱課題
ヘッドフォンで10個の文章を聞いて、それぞれの文をできる限り正確にリピートして言う。
構文理解課題
読み上げられる文を聞きながら、3枚の絵(1枚は文の意味と一致する絵、ほか2枚は一致しない絵)を見せられる。聞いた文と一致する絵を選ぶ。
●メタ言語知識を測るテスト
語の定義課題
メタ言語能力(言語の性質について意識的によく考える能力)を測るタスクであり、子どもが最多30個の単語について定義を言う。
●認知能力を測るテスト
IQテスト
WISC-III 知能検査(Wechsler, 1992)を使用。
●実行機能を測るテスト
記憶更新・ワーキングメモリを調べる2バック課題
画面上に連続して数字が表示されていくのを見る。いま表示されている数字が二つ前(2バック/2-back)に表示された数字と同じであればボタンを押す。
視覚的注意を調べるグローバル・ローカル課題
4種類の幾何学図形を見る。グローバルな(大きな)図形と、その中にあるローカルな(小さな)図形が一致(同じ)しているものと一致していない(異なる)ものがある。例えば「X」や「□」などの図形(図2参照)。
グローバル図形(大きな図形)かローカル図形(小さな図形)のどちらかに注意を向けるように指示される。その注意を向けた図形の中に線が何本あるかを答える。(例: 図形が○の場合は線が1本、図形が×の場合は線が2本)このタスクでは、一つの図形に注意を持続させる能力を調べた。最後に、グローバル図形とローカル図形の両方に、交互に注意を向けるよう指示される。このタスクにより、グローバルからローカルへ、ローカルからグローバルへ、というように注意の対象を切り替えることができる、認知の柔軟性を調べた。また、どちらか一方に注意が向かないようにする抑制力も調べた。
図2:グローバル・ローカル課題で使われる図形の一例