日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。
2021.10.22
立命館大学 田浦教授への取材記事後編です。
【目次】
さまざまな言語環境で育ってきた、さまざまな年齢の日本語・英語バイリンガルを対象に研究を重ねてきた田浦教授。数多くの研究結果の中からいくつかご紹介いただきました。
千里国際学園に通っている帰国生約200人をいくつかのグループに分けて、先ほどご説明した言語流暢性タスクをやってもらいました。
グループ1は、お母さんのおなかの中にいるときから二言語に接していた人です。国際結婚の家庭のお子さんですね。グループ2は、両親は日本人だけどたまたま海外で生まれた人。グループ3は英語圏への渡航年齢が生後5カ月〜2歳の間、グループ4は3歳〜4歳0カ月、グループ5は4歳1カ月〜5歳、グループ6は6歳〜8歳未満です。グループ2以降は、かなりの長期間(4、5年ほど)海外に滞在していたお子さんを選びました。
すると、日本語でも英語でも、いくつ単語を言えたか、という行動データは全員ネイティブ・スピーカー並みでした。つまり、産出英語には差がなかったんです。でも、脳の活動には違いが見られました。
英語でタスクをやらせたとき、グループ1〜3は、ヘモグロビン量が少なく、グループ4〜6は、英語圏への渡航年齢が上がるにつれて、ヘモグロビン量が多いことがわかりました。
つまり、2歳までにたっぷりと英語を聞いたり使ったりする環境にいた人は、脳をあまり使わずに英語を処理できている。英語の環境に入ったのが3歳以降だった人は、本人は気づかなくても脳はかなり苦労していて、英語圏への渡航年齢が1年違うだけでも差が出る、ということです。
これは驚きの結果でした。言語臨界期説(※5)では、ネイティブ・スピーカー並みの発音を習得するには、だいたい5歳になるまでにその言語に接触開始していなければならない、と言われています。ですから、グループ6(英語圏への渡航年齢が6歳以降)だけ、脳の活動に違いが見られる、と予測していました。
でも、実際は、3歳の誕生日を迎えるまでに英語に接していないと、脳は楽に英語を処理できない、という興味深い結果が出ました。ただし、3歳以降に英語圏での生活を始めた人たちでも、本人たちにとっては、みんな楽々とタスクをこなしていたので、自覚はまったくなかったはずです。
両方の言語を楽に処理できるということは、言語操作に脳のリソース(資源)をあまり割かなくて済む、ということです。その分、音楽や芸術に関わる右脳のキャパシティに空きができ、創造的な活動に割けるリソースは多くなるはずです。実際に、バイリンガルには芸術家などが多いようですね。
両親は日本人だけどアメリカで生まれた、という帰国生からも興味深いデータがとれました(ケーススタディー)。
この人は、幼稚園から高校までずっと英語で教育を受けてきて、Saturday School(※6)や家庭では日本語を使っていました。そして、中学3年生のときに初めて日本に帰国し、千里国際学園に通い始めました。高校卒業後はアメリカの大学に進学し、それ以降、ずっと日本の家族と離れてアメリカに住んでいます。
この人の帰国後3年間と再渡米後3年間のデータを取ったところ、帰国の時点で英語も日本語も非常に高いレベルで習得していて、特に英語のライティング力はアメリカ人の同年齢の平均をはるかに超え、帰国から時間が経っても落ちることはありませんでした。二つの言語を高いレベルで身につけると認知能力が高まると言われていますが、これは、その一例です。
ただ、英語の流暢性(英語を話すスピード)については、日本に帰国してから3年目で急激に落ち、アメリカに戻ってからは徐々に戻っていきました。脳の活動を見ても、帰国後2年間は、英語を話しているときに脳がほとんど活動していませんでしたが、3年目になると脳がたくさん活動するようになり、1、2年目と統計的な有意差がありました。
本人が「英語の流暢さが落ちた」と気づいていなくても、英語を話しているときに脳がたくさん活動している様子が見られると、翌年には流暢性の低下が確認できました。
日本語・英語を高いレベルで身につけたバイリンガルであっても、言語環境が変わると、英語力の上がり下がりがあり、そのような環境の変化には、脳のほうが早く反応する、ということがわかりました。
日本語・英語のバイリンガル家庭で生まれ育って二言語を高いレベルで身につけた人を大学卒業後から6年間追って調査しました。この人は、大学を卒業してからプロの通訳になりました。オーストラリアの会社に勤めているので、日本在住ですが、出勤するとずっと英語を使います。
言語流暢性タスクを毎年やってもらったところ、大学卒業から4、5年経つと、流暢性が上がりました。プロの通訳としていろいろなクライアントの人と日々話していることが影響したと考えられます。
また、使う語彙も大学卒業後の1年目からどんどん変わっていきました。通訳の場合、医学、経済など、いろいろな分野の語彙を勉強しなければいけませんよね。そのような経験が語彙を増やしたのだと思います。
ですから、高いレベルで二言語を身につけたバイリンガルは、日本に住んでいる場合であっても、職業によっては、言語の能力がさらに向上する、ということですね。
ただ、興味深いことに、通訳になってから5年後、英語を話しているときに脳がたくさん活動するようになりました。一方、日本語を話しているときにはほとんど活動していませんでした。
どちらかというと日本語のほうが得意であるために、脳がそれに適応したと考えられます。つまり、英語を話すときには、より多くのリソース(資源)を使うことで、英語を速いスピードで話すこと、難しい語彙を使うことを可能にしていたんです。
第三者が聞く分には、英語力も日本語力も全然差がないように見えるし、本人も気づいていないのに、脳は、英語のときにはフルパワーで働いて、日本語のときは省エネで、というふうに、自然に「通訳」という仕事の環境に適応していた、ということがわかりました。
ですから、バイリンガルの脳は、中高生だけでなく、大人になってからも変わっていくんですね。ほとんどの日本人大学生は卒業すると英語を使わないと思いますが、脳がどんどん変わっていき、英語力もどんどん落ちていくのは当たり前ですよね。
バイリンガルの言語の能力は、大きく、BICSとCALP(※7)に分類されています。BICSレベルの英語は、英語がまったくわからないお子さんであっても、アメリカに2年くらい住んでいると話せるようになります。でも、アメリカ人の同年齢の子どもたちと同じくらい読み書き(CALP)ができるようになるには、概ね平均7年以上かかります。つまり、小学1年生でアメリカに行ったとしたら、中学生にならないとアメリカ人の同級生に追いつかないということですね。お子さんによっては、10年くらいかかって、大学に入るころにようやく追いつく、という場合もあります。
そこで、日本に住んでいる早期バイリンガル(早期から二言語に触れて育った人)の弱いほうの言語(英語)は、英語の母語話者並みのレベルまで育つのか、ということを検証した研究(※8)をご紹介します。
このお子さんは、日本の小学校、中学校、高校に通って、途中で2年ほど英語圏に住んだだけなので、聞く・話す力は英語のネイティブ・スピーカー並みであっても、読む・書く力はかなり劣るだろう、と予測していました。
でも、4歳から16年間、英語の書きことばを継続的に調べて分析したところ、アメリカやイギリスのお子さんと同じような書きことばの言語発達が見られました。つまり、一つの言語(対象者の場合は日本語)のCALPが年齢相当に発達し、かつ、もう一つ別の言語(この場合、英語)とも十分接触し使用することで、言語間距離が遠くても転移が起こることがわかりました。
千里国際学園のインターナショナル・スクールのほうに在籍していたお子さんたち全員(小学1年生〜高校3年生)にも英語のライティング・テストを受けてもらったのですが、どの学年も同年齢のアメリカ人の平均を超えていました。
一つの言語のCALPが年齢相当に順調に伸ばされ、かつ、もう一つの言語との接触・使用量が十分にあれば、子どもたちにとっては大きなアドバンテージとなることが、日英バイリンガル研究からもわかりました。
ここまでご紹介した研究は、幼少期から日本語と英語に触れる環境で育ったことによって、両言語とも高いレベルまで習得したバイリンガルに関する研究です。では、中学生になってから初めて英語を勉強し始めたような、一般的な日本人も高いレベルの英語力を身につけることができるのでしょうか。
田浦教授より、日本人の英語学習者を対象とした研究結果を二つご紹介いただきました。
中学校卒業後にオーストラリアの高校に進学した、一般的な日本人のお子さんを調査した研究をご紹介します。
高校入学から1年半後、2年半後、3年半後、というふうに追跡調査したところ、英語の文がだんだんと長く複雑になっていきました。
でも、英語の流暢性や正確さは、一度上がったあと、2年半後に下がり、3年半後にまた上がりました。
理由がわからなかったので本人に聞いたところ、高校2年生になったときに、オーストラリアの友だちが書いた文章と比べて自分が書いた文章は小学生が書いたような文章だということに気づいた、と話してくれました。オーストラリアの大学に進学するためにはこのままではだめだと思って、大人が使うような英語を使うようにしたら、どうしても正確さや話すスピードは落ちてしまったそうです。
つまり、こういう本人の努力が実を結んで、3年半後には、長くて複雑な文を、正確に速いスピードで話せるようになった、ということです。
ですから、一般的な日本人が留学した場合であっても、本人が努力することで、十分高いレベルの英語力を身につけられると考えられます。
中学1年生で初めて英語を勉強し始めたお子さんを高校卒業までの6年間追跡調査しました(※9)。このお子さんは、千里国際学園の生徒で、高校2年生のときに1年間英語圏に留学しています。このような恵まれた英語学習環境のおかげだと思いますが、高校3年生のときには論理的な長い文章を流暢に話せるようになりました。
このお子さんの英語の流暢性、複雑性、正確さ、ライティング力を調べたところ、流暢性は、英語を勉強し始めてからわずか1、2年の間に伸びました。ところが、文章の複雑性は、文法をマスターして使えるようになった高校1年生くらいから伸びました。正確さは高校2年生くらい、ライティング力は中学3年生くらいが伸びのピークです。
つまり、スキルによって、伸びる時期が違うということですね。
また、英語を話しているときの脳の活動も見ました。すると、中学1、2年生のときは、あまり英語を話してくれず、脳もあまり活動していませんでした。ところが、中学3年生のときに一気にたくさん活動するようになりました。そして、高校2年生の留学直後には、脳の活動が減りました。
つまり、英語力そのものは徐々に向上していったけれども、脳はある時点で不必要なほどたくさん活動していた(ハイパー・アクティベーション)、ということです。このときに、英語を使うためのニューロン(神経細胞)がたくさん結びつき始めたと考えられます。しばらくすると、よく使う神経ネットワークは結びつきが強くなり、あまり使わないネットワークは刈り取られ(プルーニング)、必要なネットワークだけが残る(適正化)ので、少ないエネルギーで英語を話すことができるようになった、というわけです。
これは、一般の日本人の方も英語をがんばって身につけようと思えるような良い例だと思います。
―先生の研究結果からは、バイリンガルの言語能力について総合的にどのようなことが言えるでしょうか?
バイリンガルの二つの言語は、言語環境によって、動的に変化を繰り返しています。そして、流暢性は伸びたけれど正確さは下がった、というように、言語能力の伸びには常に多面性があります。これは、高度なレベルのバイリンガルでも、一般的な日本人の英語学習者でも同じです。
また、言語能力には個人差があります。目で見て単語を覚える人、文字を書いて単語を覚える人、口に出して単語を覚える人、というように、学習の方法は一人ひとり違いますよね。生まれ持った適性や能力に個人差があるように、こういった学習ストラテジーにも個人差があり、言語能力に影響します。
ある日本人のお子さん二人は、同じ企業に勤めているそれぞれのお父さんが同時期にアメリカに転勤になり、10歳のときに渡米しました。そして同時期に日本へ帰国しました。二人の英語のスピーキングを見たところ、まったく同じ言語環境で育ってきたにもかかわらず、流暢さに違いが見られました。
一人目のお子さんはすごく慎重派で、英語の文章をしっかりと頭の中でつくれるまではことばを発しない性格でした。結果、アメリカの学校で友だちがなかなかできず、休み時間は図書室で過ごしたりお昼ごはんは一人で食べたりしていたそうです。一方、二人目のお子さんは、英語力を気にせずに好きなことを楽しもう、という考え方で、もともと好きだったバスケットボールを入学初日から現地の子たちと楽しんでいたら、すぐに友だちができたそうです。
一人目のお子さんは、二人目のお子さんほど英語が流暢ではないけれど、とても正確な英語を話し、二人目のお子さんは、すごく流暢ですが、書いてみると、間違いが多かったです。どちらがいい、ということはありませんが、性格によって、これだけ英語の能力に差が出る、ということがわかりました。
―子どもをバイリンガルに育てたいと考えている親にとって、特に重要な考え方を教えてください。
バイリンガル研究では、「二つの閾(しきい)説」という考え方があります。片方の言語で年齢相応の読み書き能力を習得している(一つ目の閾をクリアしている)バイリンガルは、モノリンガルとの認知的な能力の差はない。でも、両方の言語で年齢相応の読み書き能力を習得している(2つ目の閾をクリアしている)バイリンガルは、モノリンガルよりも認知能力が高くなり、バイリンガルであることがあらゆる社会生活でプラスになる、と言われています。
ですから、子どもをバイリンガルに育てたいと考えている親御さんには、子どもが少なくとも片方の言語では年齢相応の読み書き能力を身につけられるようにしてあげてほしいですね。
―日常生活での会話能力だけではなく、読み書き能力にも注目することが大切ですね。子どもへの接し方で気をつけることはありますか?
多感な高校卒業までの時期は、言語にフォーカスするのでなく、「無条件の愛情を受けている」と子どもが常に感じられるようにして、感性豊かな人間に育てるのが親の役目です。
そのうえで、音楽やスポーツなどと同様に、本人が英語を好きになったらどんどんほめてあげる、才能があれば背中を押す、という程度でよいと思います。
多くの親御さんは、子どもに愛情を注ぐことを忘れて、「自分は英語ができなかったから」と英語のことばかり考えてしまいますが、親ができなかったことを無理強いしてはいけません。
英語の母語話者並みの発音を望むのなら、5歳くらいまでに英語圏での生活体験が必要ですが、それよりも、子どもの人間形成を第一に考えてほしいです。
日本語が社会の主流言語である日本においては、日本語で年齢相応の認知・言語力を育てたうえで、英語はまず音から触れ、「英語が楽しい」と思える習いごとを小学校入学までに体験させるのが良いと思います。
―日本在住の子どもの場合、乳幼児期から二つの言語に接触する環境で育っていても、小学校入学以降、どのようにそれぞれの言語能力を維持したり伸ばしたりするか、ということは、大きな課題だと思われます。どのようなアドバイスが可能でしょうか?
高学年になればなるほど、両方の言語を維持することは非常に困難になってきますし、学校で使う言語が必ず優位となります。でも、一方の言語で年齢相応の読み書き能力に達していれば、その能力がもう一方の言語にも転移しますので、留学などによって一気にもう一方の言語の能力を向上させることは可能です。
幼児期や小学校低学年など、早いうちから子どもを長い期間留学させる必要はありません。それよりも親の愛情を感じられるようにすることが大切です。自分というものがしっかりできてきて、日本語力も身についていて、英語の文法もひと通り学んでいる高校生くらいで留学に行くと、意識をもって勉強する子はぐんと英語力が伸びます。
小学校入学以降は無理強いせず、TESOL資格があり(理論体得者)、楽しさを重視するネイティブ・スピーカーの先生に英語を教わるのが良いと思います。
帰国生の場合は、英語で読み書き能力を身につけて帰国した子ども(理想的には公教育の始まる小学校1〜4年生の4年間を海外で生活した子ども)は英語を保持しやすいです。英語で識字能力が身についているので、自分で本を読んだり書いたりできるからですね。このような子どもは、二言語を高いレベル(読み書き能力)で習得したバイリンガルになれる可能性が高いです。
そして、日本で英語を勉強するためには、モチベーションが重要です。試験のために勉強する、というモチベーションは、短い期間で勉強するためには有効かもしれませんが、高いレベルの英語力を身につけるためには長い時間がかかります。ですから、例えば、好きな映画の内容を理解したいから英語の力をつけたい、というような、何か自分にとって楽しいこと、おもしろいことがモチベーションになっているといいですね。
田浦教授から今回ご紹介いただいた研究内容は、論文や学会で未発表のものも含まれており、非常に貴重なお話を伺うことができました。
まず、2歳までに英語に触れ始めたバイリンガルは脳をあまり使わずに英語を処理できていた、という研究結果は、英語に触れ始める年齢が脳の働きに影響する可能性を示すものであり、効果的なバイリンガル教育を考えるうえで重要なヒントになると考えられます。
ただし、「2歳までに英語に触れ始めないとバイリンガルになれない」ということではないため、決して焦る必要はありません。田浦教授の研究によると、中学生から英語を学び始めた場合であっても、日常的に英語を使う学校環境や留学経験、本人の才能・努力などによって、英語を効率的に処理できる「英語脳」ができる可能性があります。
また、高レベルで日本語・英語を身につけたバイリンガルでさえ、英語圏から日本への帰国、英語圏の大学への進学、英語を頻繁に使う仕事の経験など、言語環境が変わるとともに英語力も変化し、さらに、英語力の変化が見られる前、本人が気づく前の段階で脳の働きが変化する、という研究結果も興味深いものです。
英語を使う機会が減ってしばらく経つと、脳は英語を使うときにたくさん活動するようになり、その後英語を使う機会が増えると、脳の活動も減り、また効率的に英語を処理できるようになります。また、本人が英語力の向上を目指して努力しているときや、高いレベルの英語力が必要とされるときにも、脳はたくさん活動します。
つまり、脳の働きは、そのときどきの言語環境や必要性に応じて変化し、その変化が英語力の上がり下がりに影響するのです。よって、二つの言語を高いレベルで身につけ、その能力を維持するためには、それぞれの言語を使う環境がとても重要である、と言えるでしょう。
そして、田浦教授によると、少なくとも片方の言語で年齢相応の読み書き能力を身につけることが二言語を高度に身につけることにつながります。
バイリンガルになること、そして、二つの言語を維持することは、決して簡単なことではありません。長い時間と適切な環境、努力、モチベーションが必要です。だからこそ、強制的にやらされているのではなく、本人が「楽しい」と思えることが何よりも重要なのです。
※5:人間には、言語を自然に習得しやすい期間(臨界期)が存在する、という考え方(Weisler & Milekic, 2000)。何歳までを臨界期とするか、という見解や臨界期の定義は、研究者によって異なる。
※6:主に海外に住む日本人の子どもが週末(土曜日)に通う、日本語で授業を行う学校。「土曜学校」、「日本語補習授業校」とも呼ばれる。
※7:BICS(Basic Interpersonal Communicative Skills)は、日常生活に必要な基礎的な対話力。CALP(Cognitive Academic Language Proficiency)は、教科学習をするときに必要な読み書きを中心とした言語能力。この二つの言語能力は、習得に必要な時間が異なると考えられている(中島, 2016)。
※8:該当論文:Taura, H. & Taura, A. (2012). Linguistic and narrative development in a Japanese-English bilingual’s first language acquisition: a 14-year longitudinal case study. International Journal of Bilingual Education and Bilingualism, 15(4), 475-508. https://doi.org/10.1080/13670050.2012.665830(論文発表後も追跡調査継続中)
※9:該当論文:Taura, H. (2018). A Linguistic and Neuro-Linguistic Case Study Examining the Developmental Stages in the First 6 Years of EFL Learning in Japan. JALT Mind, Brain, and Education SIG The MindBrainEd Journal, 1(1), 28-46.
【取材協力】
田浦 秀幸教授(立命館大学 言語教育情報研究科)
<プロフィール>
専門は、言語学、外国語教育、認知科学、脳計測科学。非常に高いレベルで二言語を操ることのできる子どもたちのバイリンガリティー(言語獲得・保持・喪失)に関する心理言語的研究、および、効果的な第二言語習得(英語教育)についての研究を行う。オーストラリアのマッコーリー大学で博士号(言語学)を取得後、大阪府立大学 大学院・人間社会学研究科 教授を経て2010年より現職。2019年より立命館大学 国際言語文化研究所 所長も務める。
■関連記事
Weisler, S. E. & Milekic, S. (2000). Theory of Language. Cambridge: The MIT Press.
中島和子(2016).「完全改訂版 バイリンガル教育の方法」. 東京:アルク.