日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。

2022.05.13

VRなどの仮想環境を用いた外国語学習

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VRなどの仮想環境を用いた外国語学習

著者:Paul Jacobs

翻訳:佐藤有里

 

要旨

VR(仮想現実)は、没入型技術の一つであり、一般の人々もますます利用しやすくなってきている。これらの技術を外国語学習に用いることの将来性は高いと思われるが、有効に活用するためには、最新の外国語学習の理論や実践方法と組み合わせる必要がある。

本稿の目的は、VRなどの技術と組み合わせることができる、第二言語学習において重要な要素を明らかにすること、そして、小学生を対象とした外国語の授業でそれらの要素と技術が組み合わさった場合に効果的かどうかを評価することである。

まず、VRやARのような二次元/三次元の没入型技術に関する最新の文献を、小学生を対象とした五つの研究とともに概説した。次に、それらの文献から、二次元または三次元の画像に映し出された仮想環境での外国語学習が成功するために重要な要素を選定し、三つのカテゴリに分けた。

1)社会性、2)動機づけ、3)多感覚/動作である。

小学生を対象とした先行研究では、外国語能力と動機づけの両面で、非常に良い効果があることを示す結果が得られている。そして、その成功のプロセスには、前述の三つの要素が重要な役割を果たしていたと考えられる。VRのような技術をこれら三つの重要な要素と組み合わせて外国語の授業で用いることは、低年齢の学習者にとっても有益となり得る。本テーマについて小学生を対象に調査した研究は限られており、今後、より包括的な研究が必要である。

 

【目次】

1.1:VRなどの没入型技術と外国語学習

1.2 VRなどの仮想空間における外国語学習について、どのようなことが明らかになっているのか?

1.3 なぜ、没入型技術が外国語学習の促進に効果的なのか?

2.1 第一のカテゴリ:社会性

2.1.1 指導目標に関連する文脈

2.1.2 学習者中心の活動

2.1.3 やりとり

2.2 第二のカテゴリ:動機づけ

2.3 第三のカテゴリ:多感覚と動作

 

1:当該分野の現状

1.1:VRなどの没入型技術(※1) と外国語学習

「metaverse(以下、メタバース)」は、Facebook社が2021年末(Stokel-Walker 2021)に社名を「Meta Platforms(通称:Meta)」に変更することを発表した際に、広く話題となった概念である。同社は、この仮想世界の開発に大きな可能性があり、そこへ投資する意志があることを表明した。さらに、ほかにも多くの企業(Microsoft社、Google社など)がメタバースに投資している (Rees 2022)。

メタバースは、Augmented Reality(拡張現実)(以下、AR)やVirtual Reality(仮想現実)(以下、VR)などのテクノロジーを使い、3次元の仮想世界とその世界に入り込むような体験を組み合わせている(Ribeiro 2021)。したがって、メタバース環境に入ると、プレイヤーは、アバターを使って現実世界と同じような社会的交流ができる可能性がある。

この概念の基となるアイデアは、現代の多数のゲーム(Minecraft、Fortniteなど)や、Second Lifeと呼ばれる古いコンピュータ・ゲームに見られる。これらのゲームは、Multi-User Virtual Environment(マルチユーザー仮想環境)(以下、MUVE)で行われ、ゲームの中には、それぞれのプレイヤーがアバターを使って、何かを創造したり、何かを売買したり、戦ったり、会話したりすることができる仮想世界が存在する。そこにVR技術やAR技術が加わると、モバイル機器(ARの場合)やゴーグル・ヘッドセット(VRの場合)を介して、コンピュータ画面で二次元の画像を見る従来のゲームよりも、その世界に入り込んでいる感覚(没入感)を体験することができる。

ARとは、デジタルな情報と物理的な情報をリアルタイムで組み合わせる技術である(Hein, WiEnrich, and Latoschik 2021)。例えば、「ポケモン GO」のようなゲームは、スマートフォンを使って楽しむことができるARゲームである。「ポケモン GO」のプレーヤーは、特定の方向にスマートフォンを向けると、目の前にある現実世界にポケモンが現れるところを見ることができる。一方、VRは、人工的な仮想環境をつくり出し、通常はゴーグル・ヘッドセットを使用して、その世界に完全に入り込むような体験を させることができる(Hein, WiEnrich, and Latoschik 2021)。

このような背景のなか、AR技術やVR技術を活用した外国語学習や外国語教育に関する研究は、ここ何年かの間で増加してきた(Hein, WiEnrich, and Latochik 2021; Xinyi Huang et al. 2021)。Li and Lan(2021) は、「Digital Language Learning(DLL)/デジタル言語学習」という用語を提唱し、ARやVR、自然言語処理(NLP)、機械学習、自動音声認識など、言語学習を支援する新しいデジタル技術について説明している。これらの技術を組み合わせることで、ユーザーは、外国語学習と関連があるオーセンティックな文脈(実際にそのことばが使われる状況)で、現実世界と同じようなやりとりを体験することができる(Nicolaidou, Pissas, Boglou 2021)。

ARアプリは、これまで外国語の授業で活用され、大きな成功を収めてきた(Bacca et al 2014;Xinyi Huang et al. 2021)が、本稿では、MUVEとVRなどを使った没入感の高い仮想世界(二次元/三次元)における子ども(小学生の年代の子ども)の外国語学習に焦点を当てる。

まずは、これらの技術を使った小学生の学習体験に焦点を当てている個々の研究について述べる前に 、外国語学習に活用されているARおよびVR技術に関して現時点で報告されている研究結果の概要を紹介し、学習成果を生み出すと考えられる要因について議論する。

 

1.2 VRなどの 仮想空間における外国語学習について、どのようなことが明らかになっているのか?

没入型技術(VR/AR)を活用した外国語学習の現状について概説した論文は、近年いくつか発表されており(Huang et al. 2021; Hein, WiEnrich, and Latoschik 2021など)、同様の問いが立てられている。例えば、

1. VRなどの 仮想空間(二次元/三次元)の技術は、外国語学習でどのように活用されているか、

2. どのような学習者が研究対象となっているか、

3. 主にどのような研究結果が報告されているか、

といった点である。

まず、没入型技術(VR/AR)を活用した外国語学習の研究は、主に、外国語能力の到達度、外国語学習の動機づけ、異文化知識に焦点を当てている。外国語能力の到達度については、語彙の知識、スピーキング力、ライティング力が最も多く調査されている分野である。いくつかの研究は、学習者にVRなどの 仮想空間での活動を行わせたあと、外国語学習に対するモチベーションや態度を測定していた。ARシステムは、語彙の発達やライティング力の向上のために活用されるケースが比較的多く、VRシステムは、スピーキング力の向上のために活用されていた(Xinyi Huang et al. 2021)。この状況は、VRがユーザーを仮想環境に置き、他者(コンピュータが操作するプレイヤーまたは人間が操作するプレイヤー)とのオーセンティックな(本物の)コミュニケーションを促すため、理にかなっている。手短にまとめると、調査対象となった全研究で得られた有意な結果が語彙、スピーキング、ライティング、学習動機、異文化学習に良い影響があることを示していた。

大学生や大学院生を対象とした研究は、調査された全研究の約50%を占め、ほかの年齢層(小学生、中学生、高校生、教師)を対象とした研究よりも割合が多かった。没入型技術を活用した外国語学習の研究は、その大多数が若年成人を対象に行われているため、同じ学習方法や技術がより年齢が低い学習者にも適しているかどうかを明らかにすることは重要である。よって、本稿では、特に小学生の年代に焦点を当てる。

AR技術は、外国語の授業に導入しやすいことから、先行研究において最もよく使用されていた。Hein et al. (2021)が調査した先行研究の50%は、VRやほかの没入型技術ではなく、ARを使用しており、VRを使用した研究の割合は13%であった。未就学児および小学生を対象とした研究は、主にARを使用して調査しているが、ほかの技術がこのような低年齢の学習者の能力に適さないことが要因である可能性が高い。

小学生を対象としたVRなどの仮想環境 による外国語学習の効果を検証した研究が比較的少ないことは明らかである。しかし、そもそも、どのような要因によって、これらの没入型技術が外国語学習の効果を高めるのだろうか。

 

1.3 なぜ、没入型技術が外国語学習の促進に効果的なのか?

テクノロジーの進歩は目覚ましく、さまざまな分野で大いに役立っている。しかし、テクノロジーだけでは、外国語学習で期待される結果をもたらすことはできず、学習が起こるためには、テクノロジーよりもむしろ、指導法に関するしっかりとした理論的基盤が必要である(Lan 2016)。過去30年間に外国語学習で使われてきたテクノロジーの大多数は、反復練習を重視する行動主義の理論モデル(「Listen and Repeat」)に基づいている (Li and Lan 2021)。

この教育パラダイムは1970年代から1980年代にかけて流行したが、一方で、コミュニカティブ・アプローチ(コミュニケーション活動を通して言語学習を促進させる教授法)へのシフトが世界中で起きた。アメリカやヨーロッパにおける外国語教育のガイドラインでは、実社会でコミュニケーションできる人材を育成するために、オーセンティックな文脈で外国語を使う活動をすることが重視されている(American Council on the Teaching of Foreign Languages 2012; Council of Europe 2020)。そして、日本もこの世界の動向に合わせて外国語教育の政策を改訂した。文部科学省は、実社会でのコミュニケーション能力をより重視している(文部科学省 2017)が、生徒たちがその能力を身につけるためには、コミュニケーションを練習する機会がさらに必要である。また、文部科学省は最近、外国語学習における情報通信技術(ICT)の活用を推奨する報告書(文部科学省 2020)を発表した。デジタル・ネイティブでもある生徒たちにとって、タブレット端末、オンライン動画、遠隔地との通信ができるツールなどのコンピュータ技術を活用することは、コミュニケーション能力を向上させる方法として適しているという考え方である。

生徒が外国語でコミュニケーションできる能力を身につけられるようなツールを提供するためには、テクノロジーを活用して、教室内での活動を「Listen and Repeat」モデルの反復練習だけで終わらないようにしなければならない。この目的を実現するためには、VRやMUVEなど、人工的につくられた没入型の環境やゲームを活用することができる。Li and Lan (2021)によると、VR技術は、第二言語学習において重要な三つの要素を提供できる。それは、オーセンティックな文脈、学習者の積極的な関与、意味のあるやりとりである。

まず、VRは、学習していることばが実際に使われる環境に生徒を置くことで、オーセンティックな文脈をつくり出すことができる(例:空港で道を尋ねる)。そして、ほかの人やコンピュータが操作するプレイヤーとのやりとりを通じて、意味のあるやりとりを体験させることができる。さらに、言語は受動的に学ぶものではないため、第二言語学習に学習者の積極的な関与が必要であることは明らかである。

これは、第二言語習得(SLA)の分野におけるいくつかの理論と一致している。例えば、「Sociocultural Theory(社会文化理論)」(Lantolf 2006; Vygotsky 1978)、「Usage-Based Theory((言語)使用基盤モデル)」(※2) (Tomasello 2003)、「Comprehensible Input(理解可能なインプット)」(Krashen 1988)、「Interaction Hypothesis(インタラクション仮説)」(Long 1996)などの理論は、オーセンティックな文脈の中での社会的相互作用が言語習得につながる、という考え方において大まかに共通している。

Huangら(2021)は、AR/VR外国語学習に関連する88件の研究をレビューした結果、良い学習成果が出たことは、学習するときの文脈や環境が学習目標と結びついていたこと、社会的相互作用を促進させていたこと、学習意欲を高めて興味・関心の喚起や自律性、不安の減少につながっていたことに起因する、と結論づけている。学習者の動機づけは、外国語学習の成功に大きく関係する(Dörnyei and Ushioda 2009; Dewaele 2022)ため、これもARやVRの技術を活用した学習が効果的であった要因であると考えられる。

ゲームは、生徒の意欲や興味・関心を引き出すうえで重要な役割を果たす(Peterson 2010)。Acquah and Katz (2020)は、ゲームは次のようなものであるべきだと述べている。(1) 現実に基づいている、(2) 達成可能な課題が含まれる学習目標に基づいている、(3) 楽しくて意欲が高まる、(4) 他者とのやりとりを必要とする、 (5) 学習過程をプレイヤーがコントロールできる。

以上の議論に基づき、VRなどの没入型技術 を活用した外国語学習が成功する要因は、大きく二つのカテゴリに分けることができる。「社会性」と「動機づけ」である。「社会性」のカテゴリには、学習目標と結びつくオーセンティックな文脈があること(文脈と指導)、自己主導型学習による学習者の積極的関与があること(学習者中心型)、学習者が仮想世界内の環境や人物に働きかけて反応を得られること(やりとり)を含めている。「動機づけ」のカテゴリでは、主に、ゲームやアクティビティが楽しいものであるか、達成できる課題であるか、不安を軽減するか、という点に着目している。

さらに、仮想環境において外国語学習を支援する可能性が高い要因として無視できない第三のカテゴリがある。それは、多感覚刺激と身体動作である。VRなど の世界では仮想オブジェクト(仮想世界の物体)を操作できることから、第二言語学習が成功するためのもう一つの大きな要因が見えてくる。学習者は、パソコンのタッチパッドを使ったり、自分の身体を実際に動かすことでアバターを操作したりして、仮想環境に存在する物体を手に取って操ることができる。この理論を裏づけるものとして、「Total Physical Response(全身反応教授法)」(※3) (Asher, 1969) 、「Multisensory Structured Learning Approach /MSL(多感覚を用いた体系的な学習アプローチ)」 (Sparks et al. 1991; Nijakowska 2010) など、古くから確立された教授法がある。 MSLアプローチの考え方によると、複数の感覚(見る、聞く、動く、話すなど)を使いながら学ぶことで、情報が短期記憶から長期記憶に移りやすくなり、この長期記憶は学習した言語を使えるようになるために重要である(Kormos 2017, 128)。

したがって、VRなどの仮想空間での外国語学習においては、「多感覚/動作」 も重要な要素のカテゴリである。

VR外国語学習をテーマとした複数のレビュー論文に示されているように、大半の研究は、子どもというよりも大学生の年代の学習者を対象に、外国語学習の可能性を調査している。このことは、VRの活用によって良い学習成果が得られる、という主張を裏づける知見の多くが、主に若年成人に適用されるものであることを示している。そこで、本稿では、小学生を対象とした数少ない先行研究を、1. 社会性、2. 動機づけ、3. 多感覚/動作、という三つのカテゴリで考察していくことにする。つまり、これら三つの要素が学習成果や外国語学習に対する態度に良い影響を与えるのかどうか、ということである。

VRなどの仮想環境における外国語学習が効果的になる要因を示す図

図1 VRなどの仮想環境における外国語学習が効果的になる要因

 

2:小学生にとってVRなどの没入型技術を活用した外国語学習が効果的になるために重要な三つのカテゴリ

2.1 第一のカテゴリ:社会性

第二言語習得の社会的側面は、VR環境であっても現実世界であっても基礎となるものである。言語習得の社会的側面と聞くと、人と人とのやりとりを思い浮かべやすく、少なくとも著者はそうである。しかし、それだけではない。第二言語習得(SLA)における社会文化理論は、社会的側面を個人間の相互作用、文化と環境の相互作用、個人内の相互作用(セルフトーク )(※4)として明らかにしている(Lantolf, Poehner, and Thorne 2020)。したがって、「社会性」のサブカテゴリには、学習目標に関連した文脈との相互作用、学習者中心型(内的対話、自己ペース調整など)、人やコンピュータとのコミュニケーションが含まれる。

 

2.1.1  指導目標に関連する文脈

教室という環境では、子どもたちが学んでいるテーマが実生活から切り離されていることが多い。実際、台湾では、政府が「English Villages(英語村)」という施設の開発を支援している。学校は、この施設を利用することで教室を没入型(参加型または交流型)の仮想環境に変え、生徒が実生活であり得る目的や場面、状況で英語を使ってやりとりする機会を持てるようにしている(Lan 2015)。しかし、すべての学校にこのような施設を用意するための資金があるわけではない。

そこで、Lan(2015)は、「Second Life」というゲームの仮想世界に、バーチャル「英語村」をつくり上げた。Second Lifeは、プレイヤーが自分のアバターで現実に近い世界に入り込み、まるで「第二の人生」 を送っているかのように、その世界の人々と交流することができるコンピュータ・ゲームである。Lanは、その場面に関連する会話タスクを用意するなど、現実世界の「英語村」と同じ環境になるように設計した仮想環境が、英語の発話における語彙や文、会話力に改善をもたらすかどうかを調査した。

その仮想環境は、欧米スタイルのレストランが舞台となっており、小学4年生、5年生、6年生の児童たちが、レストランでのコミュニケーションや料理の注文に使う英語表現を練習したあと、実際にその仮想環境で使った。このように、学ぶべきことばに合っている、つまり、そのことばが実際に使われる場面や状況になっていたことがLan(2015)の研究からわかる。

この研究では、子どもたちが4週間にわたって英語のフレーズや文を学習するプログラムに参加した。1週目には、Second Lifeのゲーム環境を30分ほど体験した。2週目には、現実世界の「英語村」(レストランの場面)に1時間参加し、前の週にSecond Lifeのゲームで学んだフレーズや文を実際に使った。3週目には、Second Lifeの環境を30分間体験し、4週目には学習成果が評価された。評価の結果、語彙よりも、文と会話力の成績のほうが優れていたことが報告されている。この仮想環境では、実生活で行われる本物のコミュニケーションが促進され、それが一つひとつの語彙を学ぶことよりも、会話力を向上させることにつながったのである。

イランで行われた別の研究では、36人の児童(6~12歳)を対象に、仮想環境での体験と教室内でのディスカッションを組み合わせた授業が行われた。この研究は、特に、英語の発音指導にVRゲームを用いることの効果について検証した(Khatoony 2019)。日本(米崎・多良・佃 2016)と同様に、イランでは、生徒に正しい英語の発音を自ら指導する自信がない英語教師は多い。そのため、この研究者は、コンピュータで生成した英語の音声を使用して、VRゲーム内でオーセンティックなインプット(実際にそのことばを使用する場面や状況で聞く自然な発音)を提供しようとした。このVR環境は、特に独創的である。児童たちは、宇宙旅行に連れていかれ、さまざまな惑星をめぐる方法を知るためにガイド(英語を話すロボット)の話を聞く必要がある。そして、「スポーツ」、「料理の注文」、「買いもの」、「おもちゃ」などのテーマごとにステージが分かれている。一方のグループの児童は、VRゲームを体験し、自分が体験したことをクラスメートや教師に伝える、という授業を受けた(VR群)。もう一方のグループは、VRゲームを体験せずに、教室内で発音を練習するのみだった(非VR群)。両グループとも、5週間目の最終日に、「Speech Ache」というソフトを使って発音を測定するテストを受けた。その結果、VR群は非VR群に比べ、母音(/ɪ/、/i/、/ʊ/、/u/)の発音が大幅に改善されることがわかった。

小学生の年代の子どもたちは、参加型または交流型の仮想環境と教室環境が組み合わさり、また、その環境に合わせた具体的な指導目標が入っていたことにより、VR外国語学習で成果を得られたようである。VRなどのテクノロジーは、オーセンティックな環境でのオーセンティックな発音(実際にそのことばを使用する場面や状況で聞く自然な発音)など、特定の言語インプットを提供できない教師にとって有用である可能性がある。

 

2.1.2 学習者中心の活動

外国語学習の成功には、学習者の積極的な関与が不可欠である(Li and Lan 2021)。学校の授業の多く(特に北米やヨーロッパ)は、教師中心のスタイルから学習者中心のスタイルへと移行しており、生徒の自律性を高め、教科に関する知識だけでなく、学習を継続するためのスキルを身につけさせることを目標とするようになっている。

生徒の自律性を促進するためのプロセスを教師向けに確立したSchneider and Ganschow(2000)によると、教師はファシリテーターとなりながら、生徒が新しい発見を得られるように導くことを心がけ、生徒の自律性と自己モニタリング能力を促進し、生徒が何度も繰り返し学習できてすぐにフィードバックを得られるようにする必要がある。VRゲームは、学習者がすぐにフィードバックを得られるように、そして、学習者の自律性や自発的な発見、反復学習、リフレクション(振り返り)を促せるように設定することができる。

韓国の小学5年生と6年生の児童25名を対象にした研究では、自動音声認識、対話管理、自然言語ジェネレータ、テキスト読み上げ、文法チェックなどのツールが導入された。また、英語学習用の学習者中心のツールを学生に提供するためのヒントジェネレータも用意された(Lee et al. 2014)。児童たちは、VRゲーム内で、コンピュータが操作するプレイヤー(チューター)と会話を練習する。そのチューターは、文法の誤りがあればすぐに知らせ、正しい文に修正するためのヒントを与えることにより、児童がゲームを完了できるように手助けする。ほかの研究と同様に、バーチャル環境には、英語を使う場面や状況が用意されている。例えば、郵便局で叔父さんに荷物を送るために、英語のフレーズを使ってタスクを完了しなければならない、ということである。

この研究では、児童たちは、VRゲームに4週間参加したあと、英語で話す機会を与えられたときに、実際には文法的な間違いが多くなったことがわかった。表面的には、 このゲームでの英語学習が失敗したように思われる。しかし、実験の前後で児童たちの発話量を比べると、実験前よりもコミュニケーションをとりたいという気持ちが強くなって間違えることをあまり気にしなくなった様子が見られたため、これが文法的な間違いが増加した理由である、とこの研究チームは述べている。これは第一言語(母語)習得の典型的なパターンでもある。「U-shaped learning(U字型発達)」と呼ばれ、学習の初期段階では正確な使い方ができるが、しばらくするとあまり正確でなくなり、最後には正確な使い方に戻る(Sharwood Smith and Kellerman 1989)。第二言語の学習者は、間違いを恐れるあまり、その言語を使えなくなり、能力の向上が妨げられることがよくある(Dewaele 2022; 和泉 2016)。ヒント生成機能や即時フィードバック、タスクを繰り返せる自由度などが、児童たちの自信を高め、より多くの英語をアウトプットできるようにした重要な要因として挙げられた(Lee et al. 2014)。

教師は、児童一人ひとりのスコアと進捗状況を確認できるため、VRゲームでの学習と連動させながら、ファシリテーターの役割を果たしやすくなっていた。

 

2.1.3 やりとり

子どもは、他者と社会的に関わり合えるようになったときに最もよく言語を学ぶ、ということはよく知られている(Kuhl 2007; Lytle, Garcia-Sierra, and Kuhl 2018)。他者との関わりにおける、共同注意(同じ対象に注意を払うこと)(Yu and Smith 2016; Strouse et al. 2018)、随伴性のあるやりとり(会話の前後関係)(Roseberry, Hirsh-Pasek, and Golinkoff 2014)、感情的なつながり(Ltle, Garcia-Sierra, and Kuhl 2018; Shao et al. 2020)が言語習得を促すために重要である。これは、母語習得の場合も、第二言語習得の場合も同じである。

第二言語を使うときの脳の働きは、その言語をどのように学習したかによって異なる。Jeong et al. (2010)は、実際にことばが使われる状況と関係のある社会的相互作用を通じて学習した場合は、母語を使うときに活性化される神経領域と同様の神経領域が活性化されることを発見した。一方、文字を読みながら学習した場合は、活性化される神経領域が母語を使うときに活性化される神経領域と異なり、また距離的に離れていた。ここで重要な点は、第二言語学習における社会的相互作用は、その学習者の母語と同様の神経回路を活性化させるということである。

この知見をVRなどの没入型技術と結びつければ、学習者はさまざまな方法で社会的相互作用を体験することができる。つまり、VRなどの仮想環境では、アバター同士(人間が操作するプレイヤー同士)のやりとりや、アバターとコンピュータ操作のプレイヤー間のやりとりが可能である。

これまで考察してきた各研究では、こうした相互作用が何らかの形で取り入れられている。まず、Second Lifeというコンピュータ・ゲームの仮想世界で欧米式レストランの場面を設計したLan(2015)は、その仮想世界の中で英語のやりとりを体験したプレイヤーたちの英会話力の向上と、英語を話す意欲の向上の間に相関関係があることを発見した。複数のプレイヤーを同時に収容できるプラットフォームであるため、クラスメート全員が同時にゲーム環境に参加することができた。各自が自分のコンピュータを使って参加するため、仮想世界の中で、一人で英語のタスクをこなすだけでなく、ほかのプレイヤーとやりとりすることも可能だった。児童たちのエンゲージメント(積極的に取り組む態度)は、ほかのプレイヤーとやりとりする機会があるときに高くなり、その様子は、特にレストランで座る席を探そうとするときに見られた。例えば、同じ席に座っているクラスメートに「あのテーブルに座りたい」などと言う。ほかの人とやりとりをしながら協議することが求められるため、ゲーム参加に対する態度も向上した。

Kahooty(2019)がイランの小学生を対象に行った研究では、児童たちはロボット(チューター)とやりとりをしていた。このロボットは、タスクを完了するために必要な英単語の発音を手助けし、さまざまなテーマの惑星に行けるように導いてくれる。実験後、児童たちはコンピュータ・ソフトを使って発音を評価され、このようなやりとりや体験によって改善されたことが示された。

Lee(2014)は、音声認識ソフトウェアを導入し、VR環境での会話がより実生活に近く、随伴性のあるやりとりになるようにした。

第二言語習得の目標は、単にテストで高い点数をとることではなく、本物のコミュニケーションができることである、という認識が外国語教育の政策に浸透しつつある。そのなかで、あらゆる形態の社会的相互作用(文脈、学習者中心型、やりとり)は、活用すべき貴重なツールである。これらの特性を活用した参加型または交流型のゲーム(VRなど)は、外国語学習の分野で役立つ可能性があることがわかる。

 

2.2 第二のカテゴリ:動機づけ

ゲームは、生徒の内発的な動機づけを作動させることが示されてきた(Peterson 2010)。ゲームは、好奇心を喚起し、生徒の学習目標と結びつき、うまくタスクをこなせたときに自信を高める(Hao and Lee 2019)。モチベーションの向上は、学習に対する前向きな態度や自己イメージ(Shao et al 2020)、不安の軽減(Dewaele 2022)によって、第二言語の能力にも関係する(Dörnyei and Ushioda 2009)。

このことは、Lee(2014)が実施した研究で明らかである。児童たちは、仮想世界のゲームで成功体験を得たあと、間違った英語を使うことはあっても、英語でコミュニケーションをとる意欲が高まっていた。

Huang et al. (2018)は、英語学習のVRゲームが英語学習に対する児童の態度を変えるかどうかを検証した。この研究には、小学4年生(10歳)の児童46人が参加している。ゲームでは、シンデレラの物語に基づいた、意味のあるタスクが用意されている。児童は、それらのタスクを完了するために、実際にその場面や状況に必要なことばを使うように促される。さまざまなタスクをこなして最終的にはお城にたどり着き、王子さまに会うように言われるのである。ゲームを終えた児童たちは、スコアやランキングを見られる機能があったことによって、このVRゲームでもっと学習したいという気持ちになった、と報告した。また、ヒントカードや学習カード、スキップ機能などが取り入れられていたことで、タスクを完了しやすくなり、学習に対する不安が軽減されたことも報告されている。

Lan (2015)の実験では、児童たちは、タスクをうまく完了できたときに、その仮想世界でプレゼントを受け取っており、やる気が湧いてきて、英語のタスクをこなすことでプレゼントをもっと集めたいと思うようになった、と報告した。しかし、この児童たちは、Huang et al. (2018)の研究に参加した児童たちとは異なり、ヒントカードの選択肢がなかったため、タスクを完了できなかったときにがっかりした気持ちになってしまった。したがって、外国語のタスクを達成しやすくするヒントカードのような即時フィードバックの仕組みは、やる気や意気込みを高めることができる。

最後に、VR学習を体験した児童たち(VR群)と体験しなかった児童たち(統制群)に対して発音のテストを行ったKhatoony(2019)は、二つのグループの平均値に有意差があるかを見るt検定の結果から、ゲーミフィケーション(ゲームの要素を学習に取り入れること)、および宇宙というワクワクするような場面設定により、統制群に比べてVR群はモチベーションのレベルが著しく高かった、と報告している。

これらの数少ない先行研究からは、小学生の場合、参加型または交流型のゲーム(VRなど)は、具体的な指導目標と結びついた社会的要素が強ければ、好奇心を促進し、児童の目標に合致し、ゲームがうまくできたときに自信をつけやすくすることがわかる。このような研究にとって、モチベーションの向上が外国語学習能力の向上と相関しているかどうか、という点は今後の調査内容として興味深いだろう。

 

2.3 第三のカテゴリ:多感覚と動作

この最後のカテゴリは、複数種類の感覚入力(感覚刺激)と動作を使った外国語学習の有効性に関わる。「Embodied Cognition(身体化された認知)」(※5) (Barsalou 2008) などの理論や、「Multisensory Structured Learning(多感覚を用いた体系的な学習)」(Sparks et al. 1991; Nijakowska 2010) などの教授法は、理論的にも実践的にも、この主張の土台となる考え方である。しかし、多感覚入力や動作を使うことが、どのように外国語の定着や学習につながるのだろうか。小学生の年代の子どもたちがVRなどの仮想環境で外国語を学習する際にどのような影響があるのだろうか。

母語で語彙意味処理(単語の意味の理解)を行っているときには、感覚運動に関わる脳領域が活動し、言語に関わる主要な領域とつながっていることが明らかになっている(Zhang et al. 2020)。これは、感覚運動領域と言語領域とのつながりが強くない第二言語話者とは対照的であった。この違いは、幼い子どもが母語を獲得する方法が、もっと年齢が高くなってから新しい言語を学習する方法とは違うことから生じている可能性がある。幼い子どもは、「スプーン」のような単語を覚えるとき、その見た目や形、手触りだけでなく、食事の記憶とも結びつけ、そして、食べものや皿、食卓など、ほかのアイテムと関連づけながら覚える(Li and Lan 2021)。このプロセスによって、単語の概念が深く定着し、記憶の中で具体化される。一方、年齢の高い子どもや大人が教室で「スプーン」という単語を学ぶときには、その単語がほかの感覚と切り離され、つながりが弱くなる。同時に、ジェスチャーや周囲の環境との結びつきを通して脳の感覚運動領域を活性化することで、母語に存在する第二言語の概念を一緒に関連づけられる可能性があることにも注目する必要がある。このジェスチャーを使った学習プロセスは、第二言語で学んだ単語をよりしっかりと定着させるために、没入型の仮想環境で使うことができる(Mayer et al. 2015)。

これらの運動に関わる神経系を活性化する条件は、次の三つがある(Mahon and Caramazza 2008)。1. 操作可能な物体を観察する、2. 動作動詞(動作を表す動詞)の意味を処理する、3. ほかの人の動きを観察する。

小学生が没入感のある仮想環境で外国語を学習するときの動作に注目して調査した研究は、ほとんどない。しかし、幸いにも、Lanの研究チーム(2018)は、まさにその点を調べる研究を行っている。この研究には、台湾にある二つの小学校が参加し、5年生69人が参加した。児童たちを三つのグループに分け、動作を表す英語のフレーズ18個(例:「Do a header.(サッカーでヘディングをする)」、「Do a backstroke.(水泳で背泳ぎをする)」)を学習できるかどうかを検証した。各グループには、それぞれ異なる条件で、フレーズの意味を表す絵を見せて音声を聞かせた。一つ目のグループ(身体動作グループ)は、絵の真似をして身体を動かしながら音声を聞く。二つ目のグループ(Second Lifeグループ)は、「Second Life」のゲーム(二次元の参加型または交流型の仮想環境)の中でアバターを動かすことで、その動きを表すフレーズの絵を見ることができる。つまり、自分の身体を動かすのではなく、アバターが動く様子を見ることになる。三つ目のグループ(非動作グループ)は、一切動かないまま絵を見る。

その結果、身体動作グループとSecond Lifeグループの両方が、高い割合で単語を学習して記憶にとどめていた。ただし、Second Lifeグループ(アバターの動きを観察した子どもたち)は、ほかのグループよりも多くの単語を覚えた。非動作グループは、実験前よりも多くの単語を覚えているということはなかった。

また、児童間の個人差も影響していることがわかった。身体動作グループの学習方法は、学校で成績が高いほうの児童に効果があり、成績が低いほうの児童にはあまり効果がないようだった。一方、Second Lifeグループの学習方法は、どちらのタイプの子どもにも効果があった。

成績の低い生徒の場合は自分が動きながら学習するよりも他者の動きを見ながら学習するほうが効果的であった理由について、この研究チームは次のような考えを提示している。成績の低い児童ほど、体を動かしながら注意を持続させることは難しい可能性が高い。しかし、三次元の世界で他者の動きを見ることは、そのような児童の注意を引きつけた可能性がある、ということだ。この考えは、これまで概説した、この種のゲームをプレイするときにモチベーション(注意力)が向上することを示した研究結果 (Lee et al. 2014; Lan 2015; Xiuli Huang et al. 2018)とつながる。

モーションキャプチャ技術によって、自分の身体を実際に動かすことでアバターが仮想環境の中で動く様子を見ることは、学習した単語を定着させる効果がより大きいと考えられる。今後の研究対象として興味深い分野である。

 

3:考察

外国語学習は、確かな教授法や理論的な枠組みと組み合わせれば、VRなどの没入型 技術を使って強化することができる。そのため、多様な分野(言語学、第二言語習得、教育、コンピュータ・サイエンス、心理学など)が協力し、学習者にとって有益なツールの開発を支援することがいっそう重要である。

本稿では、特に小学生を対象とした、没入型デジタル技術を用いた外国語学習に関する最新の研究成果を概観し、考察を加えてきた。ほとんどの研究で、外国語学習に対する態度が大きく向上するとともに、良い学習成果につながったことが報告された。そして、三つのカテゴリが、VRなどの参加型または交流型ゲームを使った外国語学習を成功させるための基盤となりうることが明らかになった。社会性、動機づけ、多感覚と動作、という要素である。

これらの先行研究では、はるかに肯定的な結果が得られたが、研究の限界がいくつかあり、重要な問いを明らかにするためにはまだ多くの調査が必要である。例えば、小学生の年代の子どもに対するVRの効果を調べた研究は、ARを含めるとかなり多くなるが、まだ、ほんのひと握りしか存在しない(Hein, Wienrich, and Latoschik 2021; Xinyi Huang et al. 2021)。研究の参加者数は比較的少なく、いずれも100人を大きく下回っている。この年齢層で、より多くの参加者による研究がさらに多く実施されれば、この議論において重要な情報を得ることができるだろう。

本稿で取り上げた先行研究は、文脈、学習者の自律性、やりとり、動機づけが、学習者のコミュニケーション能力を向上させる基盤になる、という点で見解が一致している。しかし、個々の要素が外国語学習の成果とどのように影響し合うかを知る術はない。したがって、特定の学習成果との相関を調べるには、より詳細な研究が必要である。

最後に、VRなどの没入型技術が子どもの身体的、感情的、認知的な健康にどのような影響を与えるかという問題について言及する。この話題は、親、教育者、政策立案者にとって大きな関心事であるため、本稿の範囲外ではあるが、手短に意見を述べたほうがよいだろう。VRが子どもの視覚、注意力、社会的相互作用、不安の軽減、学習に与える影響については、肯定的なものから中立的なものまで、複数の研究報告がある。また、吐き気、睡眠障害、依存症など、ネガティブな影響を報告する研究もある(このテーマに関する最新のレビューはKaimara, Oikonomou, and Deliyannis 2021を参照)。ただし、ここで重要な点は、そのようなネガティブな影響は通常、VR技術そのものだけではなく、そのほかのさまざまな要因と相互に関係している、ということである。ネガティブな影響は、子どもの健康状態、ゲームの内容、個人差、スクリーンタイム(デジタル画面を見ている時間)の量と関係している(Przybylski and Weinstein 2017)。あらゆるテクノロジーと健全な関係を築くために、スクリーンタイムを制限すること(特に就寝前)や、健全な家庭環境または教室環境をつくることに関する提言がいくつか示されている(Kaimara, Oikonomou, and Deliyannis 2021)。

とはいえ、小学校の授業にVRなどの没入型技術を取り入れることは、特に日本のような国では大きな可能性を秘めている。外国語としての英語は小学3年生から必修化され、学校の教師は、児童の英語学習に対するサポートを難しく感じている。英語指導における教師の自信度を調査した研究では、教師は発音に自信がなく、英語での学習に適した活動を展開できないと感じていることが報告されている(米崎・多良・佃 2016)。文部科学省(2018)が小学校の教師を対象に調査を行ったところ、英語の教員免許を取得している人はわずか6%であった。これは、これまで小学校の教師には英語力の証明が求められていなかったためだと思われる。そこで文部科学省は、小学校教員免許の取得要件に、英語指導の経験と一定の英語力を加えることにした(文部科学省 2019)。このような変化によって英語の授業計画に対する自信は向上しても、発音の問題は残る可能性がある

これまで論じてきたようなVRなどの参加型または交流型ゲーム(二次元/三次元)は、このような小学校教師、特に発音に自信のない教師を手助けしたり(Khatoony 2019)、実生活に近い文脈で本物の会話を練習する機会を児童に提供したり(Lan 2015; Xiuli Huang et al. 2018)することができると考えられる。

メタバースのように、仮想世界で人と人がつながれるようにする技術やオンライン・ネットワークが開発されて実現するなか、今後は、教育におけるこれらの可能性を探る研究が爆発的に増えることが予想される。

 

(※1) immersive technology(イマーシブ・テクノロジー)。本稿では、二次元画像または三次元画像に映し出された仮想世界に入り込んでいる感覚(没入感)を体験させる技術を指す。

(※2)ルールや文法の学習よりも、意味のある文脈の中で言語に触れることを通じた学習を重視する第二言語学習の理論。学習者は、頻繁に使用されるパターンを発見して身につけることで、新しい言語(ルールや文法を含む)を内在化することができる。

(※3)この第二言語学習法は、親子間の自然な相互作用が子どもの母語習得につながることに着目し、それを模倣することを目的としている。例えば、母親は、子どもがことばを話せるようになる前から、ことばと身体の動きを組み合わせながら子どもに指示をする。もし母親が椅子を指さして座る動作をしながら「ここに座ってね」と言えば、 子どもは母親の動作とことばを関連づけ、母親が話した言語の理解が進む、ということである。外国語の授業であっても、この親の役割を教師が担い、関連する動作やジェスチャーとともにフレーズを紹介する、という形で同じ教授法が使われている。

(※4)例えば、まだ慣れていない活動(例:新しいレシピで料理をつくる)を効果的に行うために、確認作業などで独り言のように発することばを言う。つまり、自分との会話であり、社会的相互作用は他者との関わりがなくても発生する。

(※5)これは、心理学の分野における理論である。身体や感覚を使って認知的な知識や心的表象(頭の中に思い浮かべるもの)を形成することを重視する。我々が何かを学ぶとき、その学習するものは心や身体、動き、周りの環境と結びついている。

 

 

Title

Foreign Language Learning through Immersive Virtual Environments

 

Abstract

Virtual Reality (VR) is an immersive technology that is becoming increasingly available to the general public. The potential of using these technologies for foreign language learning seems promising, but in order for the technologies to be effective they must be combined with current language learning theories and practices. This paper aims to identify the core elements of second language learning that can be combined with VR type technologies and to assess whether these elements and technologies have been successful when used in foreign language classrooms of elementary age students. The current literature on topics relating to 2D/3D immersive technologies, such as VR/AR, were reviewed along with 5 studies that focused on elementary aged students. Three core categories for successful language learning in 2D/3D immersive environments were selected from the literature; 1) Social, 2) Motivational, and 3) Multisensory/Movement. The results of the studies with elementary school children were overwhelmingly positive for both language and motivational outcomes. The three core elements seemed to play an important role in this process. Using technologies such as VR in the foreign language classroom in unison with these 3 core elements, can even be beneficial for younger learners. Studies investigating this topic among elementary school age populations are limited, thus requiring more comprehensive research in the future.

Diagram1. Elements of successful foriegn language learning through immersive virtual environments.

Diagram1. Elements of successful foriegn language learning through immersive virtual environments.

 

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