日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。
2025.12.29
2025年3月、Aline Godfroid博士は、仙台の東北大学で開催されたシンポジウムで基調講演を行いました。『Diverse learners, inclusive research:Rethinking SLA generalizability(IBS訳:多様な学習者とインクルーシブな研究 〜第二言語習得研究の一般化についての再検討〜)』と題されたGodfroid博士の講演では、もっと多様な学習者の人々を対象に第二言語習得の研究を行う必要がある、という点が強調されました。
低年齢の学習者や、あまり研究されていない国や環境の学習者に対して、第二言語習得研究の成果がどれくらい当てはまるのか、という鋭い疑問を投げかけたのです。アイ・トラッキング(視線追跡)や語彙の習得に関する幅広い研究活動を行うGodfroid博士。本記事では、インタビュー内容をご紹介します。
取材・著者:Paul Jacobs (IBS)
翻訳:Yuri Sato (IBS)
まとめ
● 知らない単語や言語形式(文法など)に注意を向けることは、言語を学ぶうえで欠かせない。このことは、第二言語習得における「気づき(noticing)」の大切さを示している。
● アイ・トラッキング(視線追跡)の研究によると、学習者が言語のインプットを受けているときにどこをよく見ているかは、実際に学びやすい内容と関連している。
● 文法・語彙の明示的な指導は、学習者がインプットに触れる機会を得たあとに、戦略的なタイミングで行うべきである。
―先生の生い立ちや幼少期の経験について教えてください。第二言語習得について研究する、という決断にどのように影響していますか?
私はベルギーで育ちました。ベルギーは西ヨーロッパの小さな多言語国家で、人口は約1,100万人です。オランダ語、フランス語、ドイツ語と三つの言語が国語として使われています。。私が育ったのは北部で、オランダ語を母語とする地域です。小さな国で自分の母語を話す人たちのコミュニティも比較的狭い地域の出身だと、気づくことがあります。人生で何かを成し遂げたいなら、ほかの言語を学ばなければならない、ということです。学校では、バイリンガリズムとマルチリンガリズムが推進されています。子どもたちは三つの言語を必修科目として学んで、さらに選択科目として一つか二つの言語を追加で学ぶんです。私はもともと言語にずっと興味があって、大学では特に英語・ドイツ語の言語学と文学を学びました。学んでいくうちに、文学的な側面よりも言語学的な側面のほうに興味が傾いていきました。言語学には実証的な性質を持つ研究があること、つまり、言語を科学的な方法で研究できるという考えに惹かれたんです。
子どもの言語習得に関する研究でとても影響力のある教授がいたのですが、2歳の子どもを1時間観察する授業がありました。その子どもとやりとりをして、言語の発達を分析したんです。2歳は、言語能力に大きな個人差がある重要な時期です。ごく幼い学習者を実際に研究する、というこの体験で、第二言語習得の研究に対する情熱に火がつきました。その後、キャリアの方向性が変わり、大学センターで約2年間にわたって成人向けオンライン英語教材の開発に携わりました。当時は、コンピュータ支援言語学習(CALL)の黎明期でした。そこで出会ったFrank Boers先生(※1)は、のちにベルギーのブリュッセル大学で私の博士論文指導教官の一人となる方です。
Frank Boers先生とAlex Housen先生(※2)に師事した博士課程時代に、アイ・トラッキングの研究を始めました。 当初の博士論文テーマは、注意力の限界についてでした。これは、focus on form(言語の形式に注意を向ける)がよいか、focus on meaning(言語の意味に注意を向ける)がよいかを検討したVanPattennの研究(VanPatten, 1996)に沿ったものです。私たちはどうすれば注意を操作したり測定したりできるかを議論していたのですが、そのときに 、学習者の視線を追跡するというアイデアが生まれました。そして、心理学の分野ではあまり使われていなかったアイ・トラッカー(視線追跡装置)を使い始めました。午後から半日だけ使い方を教えてもらいましたが、その後はほぼ独学でアイ・トラッキング・データの記録方法を覚えました。
ブリュッセルで博士論文を完成させ、3年目に、仲の良い友人からミシガン州立大学の職を紹介されました。 その職は私の研究内容と相性が良さそうでした。大学側は、リーディングに関する専門知識を持つ語彙研究者を求めていたのですが、ちょうど私の博士論文は、リーディングによる偶発的な語彙習得がテーマだったんです。望みは薄いと思いながらも、その職に応募しました。アメリカに住むのは初めてでしたし、沿岸部の都市をいくつか訪れたことはありましたが、中西部での生活はまったく違っていました。慣れるまでには時間がかかりましたが、それ以来ずっとミシガンに住んでいます。いまは、特別教授(Red Cedar Distinguished Professor)として、第二言語研究とTESOL(英語を母語としない人への英語教授法)のプログラムを担当しています。
―アイ・トラッキング技術の仕組みについて教えてください。第二言語の処理を理解するうえで、なぜそれほど強力な手がかりとなるのでしょうか?
第二言語習得(SLA)の分野でのアイ・トラッキング研究も、ほかの言語学習研究と同じように、言語学習を調べるものです。ただし、目の動きを記録する装置、という特殊なツールを使うんです。目の動きを撮影する機器には、さまざまなものがあります。一番シンプルな方法は、ビデオカメラで目を撮影することです。最近では、ウェブカメラを使うこともありますね。でも、もっと専門的な機器もありまして、アイ・トラッカー(視線追跡装置)と呼ばれています。基本的にはこれもビデオカメラの一種なのですが、通常のビデオカメラは48ヘルツでサンプリングします(1秒間に48枚のスナップ写真を撮る)。一方、専門機器のアイ・トラッカーは、1秒間に1000枚ものスナップ写真を撮ります。ですから、その人がどこをどれくらいの時間見ているのか、きめ細かく知ることができるんです秒をとても小さな単位に分割して、「この1秒間に、この人は3カ所を見ていて、目はこのような順序で動いた」ということが言えます。アイ・トラッキングは、心の中を覗くことができるので、優れた研究手法です。複雑な作業を行うときに人がどこを見るかは、その瞬間に頭の中で処理している内容と関係していることが多い、ということがわかっています。これは「アイ・マインド・リンク(eye-mind link)」と呼ばれていて、視線の動きは認知処理を反映するという考え方です。SLA研究では、アイ・トラッキングは主に注意(attention)と処理(processing)の難しさを測る手段として使われます。注意は言語学習において極めて重要な要素なので、アイ・トラッキングは特に便利なんです。
この分野で影響力のある理論として、Schmidt(シュミット)の「気づき仮説(Noticing Hypothesis)」(Schmidt, 1990) があります。この仮説は、第二言語を学んでいる人が何か新しいこと(語彙や文法)を身につけるためには、その形式(form)に意識的な注意を向ける必要がある、と提唱しています。教師の指導によってどのように第二言語を習得するかを調べる研究では、この予測を検証しようとする研究がたくさん行われてきました。文章、字幕つきの映像、オーディオブックなど、学習者にとって新しい要素が含まれていそうな教材を見せる、という方法です。アイ・トラッキングを使って、そのインプットに含まれる新しい要素に対してどれくらい長く視線を向けているか(=どれくらい特別な注意を払っているか)を判断します。そして、言語をどれくらい学んでいるかを別途テストで評価し、アイ・トラッキングの結果と言語学習との関連性を調べるんです。これが基本的な研究の枠組み(パラダイム)なのですが、意図的な学習にしてみたり、あるいは、学習すべき要素を太字や色文字で目立たせてみたりもします。こういった変数を加えることで、どのような方法が一番効果的に学習者の注意を引きつけるか、ということを調べます。
―SLA研究の典型的なアイ・トラッキング実験がどのような流れで行われているのか教えていただけますか?
ESL(第二言語としての英語)またはEFL(外国語としての英語)を学んでいる30人が、英文を読んでいるところを想像してみてください。その英文には、学習者にとって未知の要素が含まれています。その英文は注意深く設計し、誰も知らない語彙を組み込むんです。実際には存在しない擬似語を使うか、学習者たちが知らない単語であることを事前テストで確認しておきます。30人の学習者たちは、この同じ英文を各自のペースで読んでいくのですが、その間、彼らの視線の動きを撮影します。彼らは、新しい単語を覚えなければいけないということは知りませんし、大抵は、読解力の調査だと思っています。英文を読み終えたあと、不意打ちで単語テストを行って、新しい単語をどれだけ認識したり産出できたりするかを確認します。その結果には個人差があって、よくできる人もいれば、そうでない人もいます。そこで、高度な統計学的手法を使います。英文を読んでいるときに未知の単語にたくさん注意を払っていた人ほど 、事後テストでその単語を正しく覚えているのか、ということを調べるんです。統計分析の結果は、単語を学習したかどうかをどのように評価するか、単語の形式(つづりや発音など)と意味のどちらを評価するかによって、多少異なります。でも、だいたいの研究では、たくさん注意を向けた単語ほど学習されやすい、という傾向が確認されています。これは、Schmidtの「気づき仮説」を裏付ける結果です。
この研究結果には、もっと広い意味での示唆があります。言語を学ぶ人たちにとって、独学で覚えたり、いま触れているインプットを最大限に活かしたりする方法はたくさんあるということです。例えば、学習したい言語が使われている動画を見たり、音楽を聞いたり、マンガや小説を読んだり、オンラインゲームをしたり、SNSで交流したりできます。どれも、言語学習の可能性を秘めた方法です。ただし、こうした方法からより多くの学びを得られる人と、そうでない人がいます。その違いの一つは、「自分がまだ知らないことに対してどれだけ注意を向けられるか」という点にあります。この「まだ知らないこと」こそが、もっと熟達した、あるいはもっと流暢な話し手や学習者になるために役立つものなんです。だからこそ、私はよく「ハングリー(貪欲)な言語学習者」になることをおすすめしています。常に、インプットの中に新しい言語の形式や意味があるかどうか探しましょう、ということですね。
―大学生と小学生では、注意と言語学習の面で違いがあるのでしょうか?
重要な違いは、メタ言語意識の力です。つまり、言語を対象として意識的に考える能力ですね。これは、幼児期から若年成人期にかけて発達していきます。私たちが「ハングリーな言語学習者になりましょう」と言うとき、それは「自分がまだ知らないこと」や「注意を向けるべきこと」に気づいて意識できるかどうかと関係しています。もっと年齢が低かったり高かったりする人たちと比べると、このような力は、若年成人のほうが備えている可能性が高いです。メタ言語意識の個人差には、教育レベルも影響します。
SLA研究の多くは、このような力を備えている若い大人たち(大学生)を対象に行われていますが、「注意を向けることが言語学習を助ける」という原則がほかの人たちにも当てはまるかどうかを検証する必要があります。つまり、同じレベルのメタ言語意識を持っていない可能性のある小さな子どもたちや、教育的・社会経済的背景の異なる人たちです。
これは、私が特集号 (Godfroid & Andringa, 2023) を共同編集した理由の一つです。この特集では、SLA分野における一般的な研究結果が、大学教育を受けた若年成人以外の学習者にも当てはまるのかを検証した6本の追試研究を取り上げています。これらの研究では、SLAのさまざまなトピックが扱われていて、典型的な大学教育を受けた層とは異なるバックグラウンドを持つ学習者は、言語の学び方が少し異なることが多い、ということが示されました。このような研究こそが、私がこれまで取り組んできたことであり、強い情熱を持っている分野です。また、最近は新しい論文(Godfroid & Hui, 2025) も執筆しています。この論文では、教師の指導による第二言語習得を調べる研究においてアイ・トラッキング技術がどのように活用されてきたかを概観しています。
―第二言語習得において、暗示的学習と明示的学習はどう違うのですか?また、学習が無意識に行われているように見えても、「気づき(noticing)」が重要とされるのはなぜですか?
1990年にSchmidtが提唱した「気づき仮説」は、当時の言語教育の流れに対する一つの反応として生まれたものです。当時は、「コミュニケーションを中心とした教授法(Communicative Language Teaching)」が主流になりつつあり、大人の第二言語学習者であっても、効果的に身につくような言語学習はすべて無意識・暗示的に起こる、という考え方が広がっていました。でもSchmidtは、アラビア語やブラジルのポルトガル語を学習してきた自身の経験をもとに、それは大人には当てはまらないと主張しました。そして、言語習得には「注意を向けること(attention)」が欠かせないと主張したんです。一方では、すべての言語学習は暗示的・無意識に進むという考え方があります。子どもが母語を身につけるのと同じように、ということですね。ただし、この点については、本当にそうなのかをめぐって議論もあります。もう一方では、若い大人や教育を受けた人たちの場合、言語学習は少なくとも一部は意図的で、非常に意識的なプロセスであることもわかっています。
注意を向けること」は、これら両方の考え方のどちらにも関係しています。よくある誤解の一つは、「暗示的な言語学習には、注意すら必要ない」というものです。 でも、ほとんどの研究者は「注意は常に有益で、必要である」と考えています。だから、私たちは寝ている間に言語を習得できないんです。つまり、何かを見たり聞いたりして、それをしっかりと「認識する」必要があります。ただし、そのルールやパターンを明確に意識する必要はないかもしれません。これは微妙な違いですね。まずは注意を向けることは必要ですが、そのあとは、脳が無意識のうちに、あるいは睡眠中でさえも学習が進むことがあるんです。日本では、意図的・明示的・計画的な学習やスキル習得に重きが置かれる傾向が強いかもしれません。おそらく、暗示的学習や明示的学習に極端に偏るのではなく、ちょうど良い学習方法があるのだと思います。私自身は、授業で明示的に教えることにも役割があると考えています。ただし、その明示的指導は、適切な場面を見極め、効果的な方法を意識して取り入れるべきものです。明示的指導をメインとするのではなく、あくまで補助的なものとして使うのが良いと思います。また、明示的指導を行うタイミングも大切です。ときには、まず学習者にインプットをたくさん体験させてから、あとでルールを教えるほうが効果的なこともあります。
―タイミングが大切というお話がありましたが、文法や語彙を明示的に教えるのはどの段階が良いと思われますか?
教え方には大きく分けて2通りあります。
一つは、「帰納的アプローチ」で、まず練習させてから、あとでルールを教える方法です。
もう一つは、「演繹的アプローチ」で、最初にルールを説明して、そのあとで練習に入る方法です。「PPP(プレゼンテーション、プラクティス、プロダクション)」というやり方は、演繹的アプローチの一例ですね。これはこれで効果的な場合もありますが、注意が必要です。 というのも、明示的な指導によって、ある文法項目に強く注意を向けさせると、学習者の脳はその一点に集中しすぎてしまうからです。そうすると、豊かなインプットからの暗示的な学びが起こりにくくなることがあります。まずは帰納的アプローチを使って学習者自身に気づかせるチャンスを与えて、そのあとで説明を加えることで、暗示的な学習が起こる可能性を高められると考えられます。
もう一つの問題は、教師が教えるルールそのものが、実際の言語の仕組みよりも単純化されていることがあるという点です。その単純化された説明に注意が強く向けられすぎたために、何かを間違って学んでしまったり、後になって本来の使い方を理解できなくなったりする可能性があります。ですから、ルールを説明するときには、そのメリットとデメリットの両方をしっかり考える必要があります。それから、言語学習には人それぞれのペースがあります。というのも、情報を理解できるだけの発達的な準備が整う時期や、情報を頭の中で段階的に処理していくプロセスが人によって異なるからです。教師としては、「今これを学んでほしい」という目標がありますよね。でも、生徒たちは自律的に学習に取り組んでいて、教師が教えようとしている内容とは別のことを学んでいるかもしれないという点は、私たち教師が心に留めておくべき大事な点です。それでいいんです。学んでいることには変わりないですし、誰もが同じ道をたどるわけではありません。
―今後、最も取り組んでみたいことは何ですか?
これから特に取り組みたいと思っているのは、第二言語習得の研究対象をもっと多様化することです。現実の言語学習者の姿がもっときちんと研究に反映されるようにしたいと考えています。今のSLA研究では、対象が大学教育を受けた成人に偏っていることが多いのですが、実際に言語を学んでいる人たちの多くは、子どもから中高生くらいの学習者なんです。いま、このテーマに関連したインタビュー企画を進めているところです。
それから、倫理的な研究のあり方にも関心があります。特に量的研究において、研究が参加者にとってもプラスになるようにする、という取り組みはとても重要だと思っています。特にアイ・トラッキングを使った研究では、課題を通じた学習に、感情がどんな影響を与えるのか、というテーマに取り組んでいて、これも楽しみにしているプロジェクトです。これは、アメリカ在住でスペイン語を親から継承して学んでいる人たちを対象にした研究です。彼らには、「移民」や「バイリンガリズム(二言語使用)」について書かれた文を読んでもらいます。その文には、移民を肯定的に描いた文、否定的に描いた文、どちらでもない中立的な文の3種類があります。この研究で私たちが問おうとしている大きなテーマは、自分の人種的・文化的アイデンティティに関するメッセージが一貫して肯定的か否定的かどうかで、認知レベル(頭の中の処理)でも学習の仕方に影響を与えるのか、ということです。
―最後に、日本の読者に伝えたいメッセージがあればお願いします。
今年の3月、学会で初めて日本を訪れましたが、とても素晴らしい経験になりました。日本の人たちは親切で助け合いの心があり、全体として調和のとれた社会だと感じました。言語学習に関しては、どの国にもそれぞれ異なる課題があると思います。日本は、同じことばや文化を共有する人が比較的多い国で、規模としては中くらいですね。そうした要因が、英語との関わり方にも影響を与えているのではないかと思います。私からの提案は、とてもシンプルです。英語が使われている場所や人と、できるだけ積極的につながってみてください。たとえオンライン上でも構いません。そうすることで、学習者一人ひとりの中に「もっとことばを知りたい・使いたい」という内発的なモチベーションが育まれていくと思います。今は、たとえ海外に行かなくても、もっと広い世界とのつながりを自分の地域社会に取り入れる方法がたくさんあります。例えば、テレコラボレーションやタンデム学習のプロジェクト、旅行、大学進学などがあります。
Godfroid博士とのお話は、非常に刺激的で、深く考えさせられるものでした。今回のインタビューを通じて、私が特に印象に残ったのは、言語習得における「気づき(noticing)」の重要性です。自然なインプットの中で偶発的に起こるにせよ、明示的な指導の中で意図的に促されるにせよ、新しい言語形式に注意を向けることは、言語を身につけるうえで欠かせないプロセスです。私たち言語学習者や教育者にとって、「気づき」のプロセスを意識することはとても大切です。学習者が新しい言語形式に気づき、振り返り、好奇心を持ち続けられるようにサポートすることで、多様な学習者や学習環境において、より深く意味のある言語発達を後押しすることができます。これまでのご経験や研究に基づいた知見を丁寧に共有してくださり、そして、言語習得が「注意」「経験」「機会」によってどのようにかたちづくられていくのかを明らかにしてくださったGodfroid博士に心より感謝いたします。
(※1)Frank Boers先生は現在、カナダのウェスタン大学にて応用言語学の教授を務める。主な研究テーマは、第二言語の語彙やフレーズの学習。特に、言語教育の指導法の効果や、認知言語学の知見を取り入れた指導に関する研究を行っている。
(※2)Alex Housen先生は、ベルギーのブリュッセル自由大学(VUB)にて英語学および応用言語学の教授を務める。
【取材協力】
Aline Godfroid博士(ミシガン州立大学)

ミシガン州立大学にて第二言語研究およびTESOLの「レッドシダー特別教授」を務める。第二言語研究 アイ・トラッキング(視線追跡)研究室の共同ディレクターも担う。 専門は、第二言語習得における認知プロセスや、第二言語の心理言語学、語彙習得、アイ・トラッキング手法、量的研究法。 Godfroid博士の研究は、心理学、心理言語学、言語学習の分野をつなぐものであり、これまでに多くの研究論文を国際的な学術誌に発表し、2冊の本を出版・編集している。また、2019年にはTESOL優秀研究賞(TESOL Award for Distinguished Research)を受賞した。
■関連記事
Godfroid, A., & Andringa, S. (2023). Uncovering Sampling Biases, Advancing Inclusivity, and Rethinking Theoretical Accounts in Second Language Acquisition: Introduction to the Special Issue SLA for All? Language Learning, 73(4), 981–1002.
https://doi.org/10.1111/lang.12620
Godfroid, A., & Hui, B. (2025). Eye-tracking research in instructed second language acquisition. Language Teaching, 1–31.
https://doi.org/10.1017/S0261444825000102
Schmidt, R. W. (1990). The Role of Consciousness in Second Language Learning1. Applied Linguistics, 11(2), 129–158.
https://doi.org/10.1093/applin/11.2.129
VanPatten, B. (1996). Input Processing and Grammar Instruction in Second Language Acquisition. Praeger Pub Text.