ワールドファミリーバイリンガルサイエンス研究所

日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。

2021.04.12

小学校教員向け勉強会「4月からの英語授業 こうやってみよう!」を開催しました

小学校教員向け勉強会「4月からの英語授業 こうやってみよう!」を開催しました

2021年3月28日(日)、ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(以下、IBS)は、小学校教諭・教育関係者を対象としたオンライン勉強会(計2時間/受講料:無料)を開催しました。

テーマは、「4月からの英語授業 こうやってみよう!」。

長年に渡り日本の英語教育に携わってこられた佐藤 久美子氏(玉川大学・大学院教育学研究科 名誉教授)と瀧沢 広人氏(岐阜大学 教育学部教育学研究科 准教授)を講師に迎え、「小学校英語教育の現場で日々奮闘している先生方の一助になりたい」という想いが込められた企画です。

メディアや教育委員会などを通じて開催のお知らせをしたところ、東京をはじめ、北海道や青森、宮城、福島、神奈川、千葉、埼玉、栃木、茨城、静岡、愛知、岐阜、滋賀、大阪、兵庫、京都、広島、鹿児島など、全国各地から約150名の申し込みがありました。事前アンケートでは数多くの質問や相談が寄せられたことから、現場の先生方からの関心の高さが伺えます。

当日は、事前に寄せられた質問事項とその回答をシェアしながら講義が行われ、メモを取ったり画面共有された資料を撮影したり、先生方の熱心な様子が見受けられました。

以下、講義内容を抜粋してご紹介します。

 

第1部 「具体的なアクティビティに基づく授業づくりと評価の仕方」

講師:佐藤 久美子氏(玉川大学・大学院教育学研究科 名誉教授)

講演する佐藤先生

佐藤教授は、文部科学省による学習指導要領の内容を整理したうえで、具体的なアクティビティや評価場面の例を挙げながら、効果的な授業づくりと評価の方法を紹介しました。

 

Q)言語活動とは?

「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う活動」です。

この言語活動には、コミュニケーションの目的や場面、状況などを設定しなければいけません。ここで注意しなければならないことは、「練習」と「言語活動」を区別することです。

発音練習や歌、ゲームなどは「練習」であり、必要な活動ですが、考えや気持ちを伝え合う要素を入れた「言語活動」も加えましょう。

 

Q)授業はどうやって組み立てる?

1年生から6年生まで、[Warm-up](例:色が登場する歌やチャンツ)→ [Practice](例:色の名前や目標表現I like〜を練習)→ [Activity](例:好きな色を集めるお店屋さんゲーム)→ [Presentation](例:好きな色でTシャツをつくって発表)というように、授業の流れ(構成)を一定にすることが大切です。

ALT・JTEの先生との役割分担がしやすく、子どもたちも安心します。

 

Q)全員が楽しんで取り組める授業構成とは?

自分の思いや意見を伝える「言語活動」を取り入れた授業にしましょう。

例えば「英語で色を言えて、好きな色をお友だちに言えるようになる」という明確な目当てを伝えておき、そして、「好きな色でTシャツをつくる」という最終的な発表を意識して逆算した授業づくりをすると、子どもは授業の見通しがもてて安心するだけでなく、そのための練習に納得し、友だちの話が聞ける楽しさもあります。また、高学年の場合は、教科横断的な調べ学習を取り入れて、調べたことをもとにクイズをつくらせてみると、英語を話す必然性がうんと高まります。

 

Q)評価基準「目標の3観点に沿った評価」とは?

目標の3観点とは、「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」です。これらの観点に沿って、子どもたちにどのような力が身についたのか、という成果を的確に捉える必要があります。さらに、その成果に基づいて授業改善を図る、というPDCAサイクルを確立させましょう。

 

Q)どのようなタイミングで評価する?

一つのユニットやレッスンで2〜3回、こまめに評価をしていくといいと思います。単元や学期の最後だけを見るのではなく、学習の過程や成果物も評価しましょう。

グループ活動やグループ内での発表、全体発表、口頭での振り返りは評価のタイミングになります。例えば、グループ発表の場合は、何回かに分けて、今日はグループ1と2、次の授業ではグループ3と4の子どもたちを評価する、というふうにします。そして、学期の終わりに評定をつけるときには、それまでこまめにつけてきた評価を平均してAかBを決めることができます。

さらに、数値では示しきれない良い点や可能性、進歩状況は「個人内評価」としてコメントを書いてあげます。

 

Q)どのような方法で評価する?

評価は、ペーパーテストだけではなく、いろいろな場面・方法で行うことが必要です。

「知識・技能」は、文章による説明や観察・実験、式やグラフで表現させるなど、多様な方法で目標表現が身についているか評価しましょう。

「思考・判断・表現」は、レポート作成や発表、グループでの話し合いなど、児童が思考・判断・表現する場面を効果的に設計する必要があります。

「主体的に学習に取り組む姿勢」は、授業中での発言や行動、ノートの記述、自己評価の様子で粘り強さや主体性などを見るというふうに、意志的な側面を評価することが大切です。

 

Q)評価の基準はどうやって決める?

評価は、組織的かつ計画的でなければなりません。英語教育の状況や子どもたちの英語力は、学校によって異なります。ですから、こうだったらA、こうだったらB、という評価基準を一律に決めることはできません。

学校ごと、学年ごとに、先生方が評価基準を決める必要があります。そして、評価の基準を事前に子どもたちや保護者に知らせておくことは、子どもたちの動機づけになりますし、評価の妥当性・信頼性を高めるためにも重要です。

 

第2部 「スモールトークを入れた授業構成と具体的事例紹介」

講師:瀧沢広人氏(岐阜大学 教育学部教育学研究科 准教授)

講演する瀧沢先生

英語の授業の冒頭には、その授業で取り扱うテーマについて教師が英語で話をしたり、子どもたちがペアになって自分の考えや気持ちを伝え合ったりする活動「スモールトーク」があります。瀧沢准教授は、実際の授業映像やゲームのアイデアを見せながら、この「スモールトーク」のやり方やねらい、そして、子どもたちが楽しめる授業の組み立て方を紹介しました。

 

Q)スモールトークのねらいは?

文部科学省によって示されているねらいは、二つあります。

一つ目は、既習事項の定着です。子どもたちは、英語を学んでも、使う機会がなければ忘れてしまうため、スモールトークで着実に身につけさせることができます。

二つ目は、“What do you like?” – “I like apples.” というようなやりとりだけで終わらないよう、対話を続けていく方法を学ぶことです。さらには、授業内で英語を話す雰囲気をつくるなど、ほかにもさまざまな効果があると思います。

 

Q)スモールトークのやり方は?

基本的な型として、「①Teacher’s Talk」、「②児童同士のSmall Talk」、「③中間評価」、「④児童同士のSmall Talk」という4段階があります。これで約10分間です。

 

Q)Teacher’s Talkのポイントは?

例えば、はじめに教師が実際の写真を見せながら「おととい、徳島に行ってホテルに泊まりました。これは私がホテルで食べた朝食です」と英語で話します。そのあとに、朝ごはんに何を食べるか、何が好きか、といった質問を子どもたちに投げかけることがポイントです。

この反応によって、既習の単語や表現を思い出せているかどうかを確認できるからです。この確認をしてから、”Let’s talk about breakfast!” というふうに子どもたちをペアにしてやりとりをさせます。

 

Q)児童同士のSmall Talkのポイントは?

まずは1分ほどやりとりさせてから、中間評価を行います。子どもたちが使った単語や表現を全員で一緒に確認したり、質問する、反応する、確かめる、繰り返す、感想を言うといった方法で対話を続けられたかを確認したりする時間です。

「こういうふうにできたらいいね」と目標を与え、再度、子どもたちを違うペアにしてやりとりをさせます。必ずしもこの通りの型で進める必要はありませんが、基本の型があると授業を楽に進めることができます。

 

Q)児童同士で1分間もやりとりできる?

文部科学省は、児童同士のSmall Talkは小学6年生から導入、ということになっていますが、4年生くらいから始めている学校もあります。子どもたちの限界を教師が決めずに、とりあえずやらせてみて、子どもたちの反応を見て調整することが大事です。

1学期は30秒、2学期は45秒、3学期は1分に挑戦、というふうに段階的にやらせることもできます。

 

Q)効果的なウォーミングアップの方法は?

ウォーミングアップには3つの原則があると思います。「①全員が参加できる」、「②シンプル」、「③声の出る活動」です。

それから、ゲーム的な要素を取り入れて子どもたちを遊ばせるようにすると、「先生の誕生日を当ててみて!」というやりとりもすごく楽しい活動になります。間違いが許される活動になる、という点もゲームのよいところです。

 

Q)子どもたちが楽しめる授業にするには?

遊び心を入れたゲームは効果的です。例えば、ある動物の特徴について英語で3つのヒントを出して、何の動物か当てさせる「3ヒントクイズ」はとても楽しい活動です。英語を聞いて理解する力も身につくし、英語以外の知識も必要なので、英語が得意な子も得意でない子も同じ土俵に立って参加できる、という良い面もあります。

 

Q) 英語の授業に関して漠然とした不安があります。

誰でも、初めては不安です。それは、児童も同じです。

「今日の授業は何をやるんだろう?」、「指名されたら嫌だな」と思っているかもしれません。不安材料は、語学学習ではとてもマイナスに働くと言われていますので、失敗しても許される雰囲気づくりや楽しい活動を入れることを心がけて、なるべく子どもたちの不安は軽減させてあげたいですね。

 

Q) 「間違えてもOKだからチャレンジしよう」と促しても、チャレンジしてくれる児童が少ないです。

子どもたちにとって「そこに意味を感じない」、つまり動機がない、ということです。

つまり、発表するのが楽しくないわけですね。もしくは自信がない、ということかもしれません。でも、ゲーム的な要素を入れてみると、子どもたちは「やってみたい!」となります。

やはり、楽しさは人を動かすのだと思います。でも、楽しくはないけれど力がつく、という活動はあります。その場合は、「8時間のうちに1回は発言してね」というふうに制限をつけます。そして、あくまで自分の意志で手を挙げさせるというふうにもっていきますね。

 

Q).1時間の授業の組み立て方は?

ウォーミングアップ(あいさつ、歌&チャンツ、ゲーム、スモールトーク)、目標表現の練習、アクティビティ、振り返りという流れで組み立てます。私も佐藤先生と同じ考え方で、同一の流れにすることで子どもたちを安心させることができると思います。

また、良い授業をやりたいなと思ったら、歌やゲーム、アクティビティのネタ収集がとても大切だと思います。

 

以上が講義内容の概要です。

参加された先生方からは「なかなかほかの学校などに出向けないので、実際の授業の様子のビデオはとてもありがたい」、「具体的な例も示して授業展開をご教示いただける勉強会はありがたい」といった感想が届き、「具体的にどうしたらいいか」という解決策が最も求められていることがわかりました。

講義中にもたくさんの質問や相談が寄せられ、時間が許す限り回答させていただきましたが、今後は、今回カバー仕切れなかったテーマを取り扱ったり、より狭いテーマを深く掘り下げたりする勉強会を開催したいと考えております。

春休み中の日曜日にもかかわらず、ご聴講いただいた参加者のみなさま、ご多忙のなか企画にご賛同いただいた佐藤先生、瀧沢先生に心よりお礼申し上げます。

 

【開催協力】

■佐藤 久美子氏(玉川大学 大学院教育学研究科 名誉教授)

玉川大学 佐藤久美子名誉教授のお写真

<プロフィール>

長年、子ども言語獲得・発達(日本語・英語)の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの『えいごであそぼ』、『えいごであそぼwith Orton』の総合指導、2017年からNHK eテレ『エイゴビート』の番組委員を担当。教育委員会や小中学校でも、多数講演を行っている。

 

■瀧沢 広人氏(岐阜大学 教育学部教育学研究科 准教授)

岐阜大学 瀧沢広人准教授のお写真

<プロフィール>

公立小・中学校教諭、教育委員会、指導主事兼主幹、中学校教頭と計30年間の教員生活を経て、2018年より岐阜大学教育学部(英語教育講座)で学生指導に当たる。小学校英語教育を専門とし、児童のコミュニケーション能力の向上、母語習得研究、幼児からの英語教育、小学校教員のWillingness to Communicate の調査、教員研修のあり方などについて研究。楽しい英語授業を追い求め、授業アイデアの提供や教材の提案も行っている。

 

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