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2019.11.15

大学入試、英語の民間試験の活用見送り

大学入試、英語の民間試験の活用見送り

2019年11月1日、萩生田文部科学大臣の会見が行われ、「大学入試英語成績提供システム」の導入が見送られることが発表されました。
英検などの英語の民間試験の活用自体も見送られることになり、教育関係者に大きな衝撃を与えました。

 

【目次】

 

11/1の萩生田文部科学大臣会見内容

 

今回の発表内容をまとめると、

●2020年の英語の民間試験の導入は見送る
●新しい試験については今後1年検討し、2024年から実施する予定

となります。

また、11月5日の大臣会見では2021年度の大学入学共通テストにおいて、英語試験の配点は、リーディング(筆記)100点、リスニング100点という当初の方針を変えない旨を発表しました。

そもそもこの配点は民間試験の導入を前提としています。民間試験の導入が見送られるのであれば、この配点自体の見直しも必要になると思われます。

 

民間試験が見送られた背景

2019年7月に「TOEIC」を運営する国際ビジネスコミュニケーション協会が、大学入試英語成績提供システムには参加しない旨を発表しました。
受験申込、実施運営、テストの結果提供などの実務処理が想定以上に複雑かつ膨大で、対応を進めることが困難であるという判断が下されたためです。テストの中立性や公平性を担保するにも、相当な負担がかかると思われます。

今回、英語の民間試験の導入が見送られた背景には、こうした中立性や公平性を確実に担保するための準備が他の民間試験においても十分に整っていないことがあげられます。

 

今後の大学入学試験はどうなる?

11/5ならびに11/8に行われた萩生田文部科学大臣の会見では、民間試験の導入にいたった経緯をきちんと確認・検証すること、これまでの会議の議事録を公開していくこと、などの発表がありました。

同じく、11/12の会見では、共通テストの国語と数学の記述式の問題について質疑応答がありました。
以下大臣の返答のポイントです。

・民間の採点事業者においては、採点者の質の向上に取り組む必要がある。
・答案を複数の採点担当者がチェックしあうなど、精度の向上に努める対応も必要になる。
・生徒の自己採点と実際の採点結果の不一致を抑えられるように、高校の先生方と話し合いながら採点基準などを分かりやすいものにして伝えていく。
・今のところ予定は無いが、試行テストを再度行うという選択肢は排除していない。

今後1年かけてこれまでの議論の経緯が検証され、民間試験ならびに共通テストの実施に向けた課題の解決に向けて活発な議論が期待されます。
英語の4技能(読む、書く、聞く、話す)を問うという基本方針や、「思考力・判断力・表現力」を重視するという考え方はそのまま維持されると思われますので、受験生が公平かつ公正な環境のもと試験を受けられるように、文部科学省と民間事業者が一体となって運営の改善に取り組む必要があります。

 

最後に、英語の各民間試験の今後の動向について以下にまとめました。

・GTEC(ベネッセコーポレーション)
11/13に発表がありました。
https://www.benesse.co.jp/gtec/fs/cuet/news/pdf/gtec20191113_01.pdf

2020年度は「GTEC」大学入学共通テスト版の実施は行わないということです。
2020年度に向けて、入試対応としての機能を向上させた「GTEC」検定版の受検機会を拡充する方針。
これにより、「大学入試英語成績提供システム」の導入において大きな課題であった、会場設置に関する地域格差、それに伴う受検生の交通費や宿泊等の経済的負担に配慮した英語民間検定試験の運営の実現を目指すということでした。

 

・ケンブリッジ英語検定(ケンブリッジ大学英語検定機構)
民間試験の導入延期に関して、11/13現在、特にコメントは見つけられませんでした。

 

・英語検定(日本英語検定協会)
11/13に発表がありました。
https://www.eiken.or.jp/s-cbt/info/2019/pdf/20191113_info_scbt.pdf

S-CBTの内容を全面的に見直し、生涯学習として英語学習しているる幼少期のお子様からご年配の方まで幅広く活用できるような、資格検定の位置づけも含めて網羅的な試験として再設計すると発表しています。
予約申し込みをしていた受験者への対応は、S-CBTの検定料のディスカウントないしは返金を予定しているとのことです。

 

・TEAP
・TEAP CBT
・IELTS
11/1に発表がありました。
https://www.eiken.or.jp/association/info/2019/1101_01.html

既に発表している会場等の2020年度の実施概要(2019年度例外措置含む)ならびに今後の対応については一旦見直し、再度ご案内する予定であるということです。

 

・TOEFL iBT
2020年のテストの日程や会場については、ホームページで開示されていますが、11/13現在、今回の民間試験見送りを受けたコメントは特に見当たりませんでした。

 

■参考
・TOEIC公式サイト内プレスリリース
https://www.iibc-global.org/iibc/press/2019/p119.html

・文部科学省 大学入試英語ポータルサイト
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1420229.htm

・Youtube 文部科学省公式チャンネル
https://www.youtube.com/user/mextchannel

 

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