日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。

2020.12.16

子どもの興味を高める英語環境づくり~早期英語学習でも楽しさが子どもたちの能力を高めてきた~

子どもの興味を高める英語環境づくり~早期英語学習でも楽しさが子どもたちの能力を高めてきた~

ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所の所長であり、脳神経外科医・発達脳科学研究者/ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所(INI)脳神経外科 名誉教授として数々の論文や著作を発表してきている大井静雄先生の連載コラムです。

今回は子どもの興味を高める英語環境づくりについてお話いたします。

 

 

親が「やったほうがいい」と考える環境を用意する傾向

子育て中のパパやママの多くは、子どもたちに良い学習環境を用意したいとお考えでしょう。できれば子ども自身が興味を持つものに出合わせてあげたい。夢中になるものを見つけたら、没頭できるように環境を整えて、見守ってあげたい。そう思うものですね。

そのためにも、パパやママはこれまでの経験や今のトレンドを見て、「これをやったほうがいい」「あれをやったほうがいい」と、「子どもの将来によさそうなもの・こと」を用意する傾向があるのではないでしょうか。

もちろん、新しい経験にはきっかけが必要ですので、ワークショップや体験教室に参加するのはよいことです。子どもが楽しそうにしていたら、その体験の習い事を始めるのもよいでしょう。

ところが、体験のときは楽しそうだったのに、習い事として始めた途端、「やりたくない」と泣いたり、「いかない!」とそっぽを向かれたり、そんなことが重なると「うちの子は忍耐力が足りないのではないかしら」と悩んでしまうかもしれませんね。

でも実は、子どもが楽しく続けられるかどうかは、パパやママ自身が楽しんでいるかどうかにもかかっています。

 

子どもだけに何かをさせるのでなく、親も一緒に楽しむ

「これ楽しいよ!」とパパやママが夢中になっていると、子どもも一緒にやってみたくなる。特に、子どもが「やりたい!」と自主的に関わろうとするものを、パパやママも「楽しいね!」と一緒にやることで、自分と同じようなしぐさや表情を行うなかまに好感を抱く「ミラー(ミラーリング)効果」も生じやすくなります。

では何をするかというと、都会にお住まいの方の場合、習い事がたくさんあるかもしれませんが、あえて、型にはまっていないことをする。例えば自然科学なら教室に通うより、「生命」を自分で観察してみるといいでしょう。もっと言えば、生き物を親子で一緒に育てる。メダカ、カエル、カブトムシ…なんでもいいのですが、好きな生き物の飼育を楽しめたら、かなり成功で、パパやママが一緒に楽しんでいたら言うことなしです。

あるいは、料理はいかがでしょう。料理はモノづくりであり、デザインであり、「おいしい」結果が伴います。その喜びを家族みんなで分かち合う。子育てにピッタリな体験です。

日常的な「おしゃれ」も体験になります。ママがおしゃれ好きならお子さんと一緒に持っている洋服の組み合わせを考えてはいかがでしょう。一緒に服のデザインを考えるとよりいいですね。

スポーツ好きなパパなら一緒にスポーツを楽しみ、子どもに芽が出てきたと感じたら、レッスンを受けるのもいいと思います。

あくまでも、子どもだけに何かをさせようというのではなく、親も一緒に楽しむこと。これが大事なのです。

 

「自主的な学び」には「早期英語教育」が役立つ

子どもが夢中になれる、あるいは子どもの好きなことが見つかったら、より一層、自主的に楽しめるようになってもらいたいと思うのではないでしょうか。

そこで意識していただきたいのが、「好きなことを英語で楽しむ」ということです。

英語で楽しむということは、幼少期から子どもをバイリンガル脳に育てることにもつながりますが、その第一歩は「英語脳の回路を作る」ことから始まります。

運動神経のおおもとは「反射」によるものです。赤ちゃんは、大きな音が聞こえたときに両手を抱き着くようにパッと上げる「モロー反射」などの原始反射に始まり、体のバランスをとる動き(立ち直り反射)など、感覚器官に刺激が与えられると思考することなく体が動くようになります。

やがて寝返りをする、歩く、話すなど、それぞれの発達が確実に身につくようになるまでに、何度も同じ「反射」を繰り返します。

この時、大人が「いずれできるようになる」と信頼して見守ることで、赤ちゃんは安心感を持ち、いろいろなことに興味を持ち、自分で取り組んでいこうとする力を高めていきます。

幼児期にバイリンガル脳を育てることは、この「反射」の「脳回路」を作っていくことでもあるのです。「Hello」といったら「Hello」と返す。こうした言葉のやりとりは、会話というよりも「記憶の中枢」でできるもので、いわゆる「知識」ではありません。思考を介さずに反射的に言葉が出る…このチャンネルづくりをするのに適しているのが、より小さいときに行う英語学習なのです。

そのためには、好きなキャラクターが「Hello, how are you?」と言っているから、楽しくて「Hello, how are you?」と返すという、真似事が効果的です。真似をするには記憶中枢は最も重要な役割を果たしますから、回路がどんどん増えていく。回数を重ねるうちに次第に自分の好みのチャンネルができ、この言葉を使うと嬉しいとか、悲しいといった感情も記憶されていく。

それが「楽しい学び」というポジティブな感性につながっていきます。

スポーツでも音楽でも同様に、真似事からやがて、自分自身のスタイルができていくものですよね。そこにじっくり考えて行動につなげるという思考力を伴う、つまり学習をした結果の行動が生まれてきますが、それさえも反射回路ができていればこそ、早く習得できるものなのです。

早期英語学習は、ポジティブな感性で英語の言語回路を育むうえでも理にかなっているのです。

 

次回は英語のコミュニケーション能力が国際活動における「ツール」として重要というお話をいたします。

第一回 3歳までをたいせつにしたい 言語の「ニューロン」素地づくり~早期英語教育のすすめ~

 

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