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ワールドファミリーバイリンガルサイエンス研究所

日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。

2019.06.26

国際バカロレア教育とバイリンガル教育
「誰もがアクセスできる」という共通の課題

国際バカロレア教育とバイリンガル教育<br>「誰もがアクセスできる」という共通の課題

国際バカロレア教育とバイリンガル教育
「誰もがアクセスできる」という共通の課題

学校教育のグローバル化が推し進められ、履修生徒の進路を海外に開く国際バカロレアのプログラムは公立学校でも導入され始めました。しかしながら、履修生徒が特定グループ化することによる新たな課題が指摘されています。

 

日本における国際バカロレア導入

国際バカロレア(IB)プログラムには年齢層や目的に応じた4種類があり、そのうちいずれかが世界150カ国以上、計5,000校近くの教育課程に導入されています(IBO, 2019a)。日本におけるIBは、海外の有名大学への入学資格を取得できる国際教育プログラム(ディプロマプログラム)として認知度が高まっており、2015年に国内初の公立学校として東京都立国際高等学校がIB認定校になった際には大きく報道され話題になりました。文部科学省IB教育推進コンソーシアム(2019a)によると、2019年5月時点で日本におけるIB認定校数は計72校、候補高がさらに39校。その多くが私立学校やインターナショナル・スクールではありますが、アジア諸国の中ではインドや中国に次ぐ多さです(IBO, 2019b)。認定校のうち、36校がプライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP:3〜12歳対象の初等教育プログラム)、18校がミドル・イヤーズ・プログラム(MYP:11〜16歳対象の中等教育プログラム)、45校がディプロマプログラム(DP:16〜19歳対象のIB資格取得プログラム)を提供しており、1校が一貫教育として複数のプログラムを提供している場合もあります(文部科学省IB教育推進コンソーシアム, 2019a)。DPは、2年間のカリキュラム履修・試験合格によって国際的に認められる大学入学資格「IB資格」を取得するものであり、日本国内の大学は312校、アメリカは1,662校、イギリスは172校、カナダは155校、と世界中の多くの大学がIB資格を入学資格として認めています(IBO, 2019b)。

出典:文部科学省IB教育推進コンソーシアム(2019a)、IBO(2019b)
※ IBSグラフ作成

日本でIB資格が大学入学資格として法的に認められた時期 は1979年(昭和54年)ですが、IBへの注目が本格的に高まった時期は2013年だと言えます。IB(DP)認定校・候補校を2018年までに200校へ増やすことを目標に含む「日本再興戦略—JAPAN is BACK-」が2013年6月に閣議決定され、翌月には、高校・大学・産業界関係者らが意見交換や提言を行う国際バカロレア日本アドバイザリー委員会が発足します。さらに、IBプログラムの指導言語は英語・フランス語・スペイン語ですが、DPの科目の一部を日本語で履修できる「日本語DP」が開発・導入され始めたのも2013年です(文部科学省IB教育推進コンソーシアム, 2019b; 国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議, 2017)。
以降、国内ではさまざまな分野においてIBに関する提言がなされてきました。大学などの高等教育機関の分野においては、国力を支える研究活動及び人材育成のために「確かな学力とともに多様な資質を持った」学生の確保が重要であることから、IBプログラムを提供する教育機関、及び、IB資格を入学資格として認める大学等やIB資格による入学枠を増やすことが目標になっています。経済の分野においては、DPがグローバルビジネスで活躍できる人材を育成するための有効な手段だと考えられており、国内企業の人材採用・活用においてもIB資格取得者を適切に評価させる方針です。さらに、IB教育の普及によって外国籍の子どもたちの教育環境を整備し、優秀な外国人人材を日本へ誘致する狙いもあります。地方創生の分野においては、地方における人材不足や経済低迷を解決する手段の一つとして「地域に根ざしたグローバル人材」育成を目指し、IBプログラムの普及が望まれています。外交の分野においては、日米の学生交流が日米同盟において重要であるにも関わらず双方向で留学生数が減少しているという問題意識に基づき、2020年までに日米の留学生交流数を倍増するための日本側の施策の一つとしてIB資格を取得できるDPの普及が目指されています(文部科学省IB教育推進コンソーシアム, 2019b)。
このように、日本においては、主に国力を支えるグローバル人材を育成するため、政府がIBプログラム(特にDP)の導入を促進しています。では、IBプログラムはどのような経緯で出来上がったのでしょうか?

 

国際バカロレアの起源:
「世界平和」と「国際的な教育機会の確保」

IBプログラム提供校の認可やIB資格の授与などを行う非営利組織「国際バカロレア機構(IBO)」の起源は、スイスのジュネーヴに本部を置く国際連合(当時は国際連盟)などの国際機関で働く職員たちが自らの子どもたちのために設立したジュネーヴ・インターナショナル・スクールです。よって、その教育方針は国際平和や異文化理解・尊重などの普及を目指すものであり、また、あらゆる国に居住するという特殊な環境で育つ子どもたちに適した教育を受けさせる必要性がありました(Hill, 2002)。このような方針は、以下の通り、現在のIB機構のミッションにも受け継がれています。

「国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。この目的のため、IBは、学校や政府、国際機関と協力しながら、チャレンジに満ちた国際教育プログラムと厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいます。IBのプログラムは、世界各地で学ぶ児童生徒に、人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、積極的に、そして共感する心をもって生涯にわたって学び続けるよう働きかけています。」
出典:IBO(2014)

出典:Hill, 2002; IBO, 2017(IBS表作成)

また、海外の児童・生徒を受け入れるインターナショナル・スクールなどの教育機関は各国に存在したものの連携が進んでおらず、第二次世界大戦後の国連職員は家族を伴って国家間を移動することがますます多くなり、親の転勤によって母国へ帰国後、または、他国へ移動した子どもたちがその国における学校や大学への入学資格を得られないという問題が発生しました。そこで、世界中の学校で同じ教育プログラム・学業評価システム・卒業資格を提供することについて、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)による財政的支援のもと、ジュネーヴ・インターナショナル・スクールや各国のインターナショナル・スクール校長・教員、国連職員を中心とした生徒保護者たちが1950年代から本格的に議論し始めます。
1962年に開催された各国の教員による国際会議は現在のIBプログラム開発のきっかけとなり、さらに、日本の大学入試センター試験に相当する、イギリスの大学入学基礎資格試験(GCE)やフランスのバカロレア試験(baccalauréat)、アメリカの大学進学適性試験(SAT)の主催機関・団体の後援を受けながら、IB資格(大学入学資格)の制度開発も進められました(Hill, 2002)。このような国際的な大学入学資格が「国際バカロレア(International Baccalaureate)」と呼ばれることになり、非営利団体としてのIB機構がスイス・ジュネーブに設立されました。1970年代以降、IBプログラムを教育課程として採用するインターナショナル・スクールやIB資格を大学入学資格として認める大学が各国に増えていき、現在のように企業の海外駐在員の子どもたちや海外の大学進学を希望する国内の生徒もIB課程を選択するようになっていきます。
よって、IBプログラムやIB資格は、その起源と経緯からわかるように、「グローバル経済で活躍する人材を育成するため」、「海外の名門大学に入るため」といった社会経済的・教育的競争志向や国策に基づいたものではなく、教員や保護者などの当事者が主導者となり、戦争を経験し国家間を移動する国連などの国際機関職員たちが自らの子どもたちにとって必要な教育内容や教育制度を多様な専門家の協力を得ながら実現させたものだったのです(Hill, 2002; IBO, 2017)。

 

国際バカロレア生徒の意識・態度に見られる偏り

IBプログラムは、前述の通り、第一次・第二次世界大戦を経て、世界平和に貢献する若者を育てようとしたことが起源であり、それゆえに、IB課程履修者(IB生徒)には世界のあらゆる問題を解決するための知識や思考力、コミュニケーション能力だけでなく、違いを理解・尊重する姿勢や共感する思いやりなどの人間性が育まれることが期待されます。しかしながら、IBにおいて理想とされる人間性と実際のIB生徒の意識・態度には差が見られる場合があることがわかっています。
ある日本のIB認定校の生徒へのインタビュー調査(渋谷, 2016)によると、同じ学校でIB生徒と一般生徒(日本の学習指導要領に沿ったカリキュラムを履修する生徒)が混在し、クラス活動や学校行事など一緒に過ごす時間が少ないIB認定校が多く、両グループ間に誤解や対立感情が生じる場合があります。IB生徒が一般生徒を「一般の人」、「向こうの人」、「日本の生徒」、「純粋な日本人」と呼び、自分たちとは異なるグループであると認識し、ときには否定的な感情を抱く様子が報告されており、「ごく一部の生徒が、よりよいと目される教育プログラムを別個に受けている状態」が要因の一つであると分析されています。
また、別の研究論文(渡邉, 2014)においても、「IBの導入は名門大学を目指す特別生とそれ以外の生徒を鮮やかに切り分けて可視化する意図せざる結果をもたらし」、「IBを持つ学校と持たない学校、さらにはひとつの学校の中でIBとそれ以外のカリキュラムを履修する生徒の間に大きな亀裂を生むようになった」と述べられています。
このような状況は、日本に限りません。例えば、中国における全国トップクラスの公立中高一貫校を調査した研究論文(三友, 2018)では、多数の外国籍生徒受け入れ、豊富な海外交流・留学プログラム、IBなどの国際課程コースの設置、国際理解教育など、教育の国際化を目指した取り組みの充実ぶりが高く評価されています。しかしながら、同学校の国際課程または成績優秀者が多い普通課程の特進クラスに所属し、高校3年時は海外大学進学者用のクラスで学んだ卒業生にインタビューを行った結果が以下のように報告されています。

「積極的に英語を学び、国外交流プログラムに参加し、進学もアメリカの大学を選択した「外向き志向」の彼女たちが、自分の近くにいる外国人学生に全く興味がなかった」
「高額な費用を払って、サマーキャンプや語学研修に出かけていくが、隣の席の外国人クラスメイトには、ほとんど関心を持たない」
(出典:三友, 2018)

同校には多様な国・地域出身の外国籍生徒が200人以上いるにも関わらず、彼らとの交流や彼らの文化を学ぶことには無関心だったのです。同論文の著者は、そのような機会を設けていない学校のカリキュラムのほか、教育の国際化が他国との競争に勝つためのものであるという考え方が中国で根強いことも問題点として指摘しながら、身近に存在する異文化環境も有効に活用し「異なる背景を持つもの同士が、互いに学びあう姿勢をもち、その大切さを肌で感じる場」が教育の国際化が「競争」という概念から抜け出す一歩になると結論づけています(三友, 2018)。
これらのIB生徒の意識調査の結果は、先進的な海外の教育プログラムをただ取り入れるだけでは、海外の大学で通用する能力と語学力をもつ海外志向の学生が育つことはあっても、それと同時に、海外という「外向き」しか見ることのできない視野の狭い学生が育つ可能性を示していると言えます。

 

「国際バカロレア」=海外大学?西洋?

IBO(2014a)は、「DPは排他的ではありませんが、生徒が高等教育機関で成功するために必要なすべてを与えることを目的としているので、「国際バカロレア資格(ディプロマ)」(IB資格)の取得を目指すディプロマプログラム(フルディプロマ)がすべての生徒に合っているとはいえないかもしれません」と述べており、IBプログラムの起源が国連職員の子どもたちという、世界的に見てもごく一部の人々のための教育であった歴史的経緯があります。また、IBプログラムは、多くの国において、国の学校教育と異なる教育方針・教育方法です。国内の一般的な学校教育とは異なるIBによる特別な教育を受けることは、「周囲の高い期待を内面化し、エリートとしての自覚を持たせ」、「彼らの小さなコミュニティに閉じこもり」、「同じ学校の中で既存の教育課程を受けている生徒や地元のコミュニティと切り離す」と分析する研究者もいます(渡邉, 2014)。
さらに、IBプログラムの理念・目的には、世界平和に貢献する人材育成とあらゆる国で高等教育を受けられる機会の確保、という二つの側面がありますが、後者の側面ばかりに注目が集まり、「国際バカロレア」=「海外大学への入学パスポート」というイメージが強い傾向にあると推測できます。世界的にも、グローバル化の影響により、IBなどの国際教育プログラムが私立の教育機関にとって「顧客である保護者を惹き付ける格好の広告塔」(渡邉, 2014)となっていったことにより、世界平和に貢献する人材育成という価値よりも、グローバルなビジネスで活躍する人材育成という価値がIBプログラムに見出されるようになり、さらに、IB課程を履修するには経済的な負担もかかることから、すでに成績優秀で競争志向、経済的余裕のあるごく限られた生徒が集まります(渡邉, 2014; 渋谷, 2016)。
このような状況を考慮すると、特定の生徒のみがIB課程に集まってグループ化し、特定のエリート意識や海外志向をもち、考え方に偏りが生じることは仕方のないことだとも言えます。しかしながら、IB生徒の意識・態度は、例えば、IBの学習者像の一つして掲げられている「自己の文化と個人的な経験の真価を正しく受け止めると同時に、他の人々の価値観や伝統の真価もまた正しく受け止めます。多様な視点を求め、価値を見出し、その経験を糧に成長しようと努めます。」(IBO, 2014a)という人間性と相反しているように見えます。
IBOの元ディレクターであった大学教授ジョージ・ウォルター氏も、IBに対して「西洋の価値観に寄り過ぎていて、「国際」をうたっているにもかかわらず、真に国際的な視野から世界を見つめる能力を生徒にもたらさない」という批判があることを認めており、IBの方針決定に関わる組織の人材や運営方法に多様性を取り入れることで偏りに注意すること、プログラムにおいて西洋以外の文化も尊重する精神をさらに重視することなどを解決策として論じています(IBO, 2014b)。
また、日本における「日本語DP」開発・導入の目的の一つには、IB生徒に日本人としてのアイデンティティや日本の教育の価値を自覚・継承させることがあります。「子供達がIB生であるとともに日本を構成する一員として同世代としての連帯感が醸成されるよう、IB教育の推進に当たり配慮することも必要である」という見解が有識者会議で報告されている(国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議, 2017)ことから、日本でのIB教育は、西洋人のようになることではなく、日本人としての視野と国際的な視野の両方を併せ持つバランスの良い国際的人材を育てることを目指そうとしています。

 

誰にでも開かれた早期からの国際教育を

IBなどの国際的な教育課程をほんの数年間受けさえすれば国際的な視野をもった人間に育つかといえば必ずしもそうではないことは明らかです。その教育環境をどのように理解し、どのように活かすかは個人差があります。近年は、ユネスコも環境や周囲の人間から大きな影響を受ける0歳〜8歳の時期の教育は生涯に渡って重要なものであるという認識のもと、幼少期からの早期教育の必要性を世界中に呼びかけている(UNESCO, 2019)ことから、そのような個人差には幼少期の体験が大きく関係するのではないでしょうか。
IBO(2014a)は、DPの学習内容を最大限に身につけるためには、IB資格の取得を目的とした2年間のDPのみを履修するのではなく、幼少期からの一貫した国際教育によって必要な知力や人格を育てることが重要であるという見解を示しています。初等教育プログラム(PYP)や中等教育プログラム(MYP)は、海外大学への進学を目的とした児童・生徒のためのプログラムではなく、「誰にでも開かれた」、「あらゆる児童生徒のニーズを満たす」ものであり(IBO, 2014a)、アジア諸国でも未就学児を対象としたPYP導入校数がDP導入校数の7割前後である国が多い(IBO, 2019b)ことから、高等教育と同等に早期教育が重要であるという認識が広がっていると推測できます。また、日本においても、IB教育の成功事例を日本の小学校・中学校教育改革の参考にしようとする動きもあります(国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議, 2017)。
さらに、このような国際的な教育は、教育の時期・内容の面だけではなく、社会・経済的な面でも、誰もが平等にアクセスできるものであることが重要です。世界平和やグローバル化への対応を目指した国際的な視野が必要となる人材は、国際的な機関・企業で働く人々や富裕層の人々のみでしょうか?異なる言語、異なる文化、異なる価値観、異なる性格、異なる学力、異なる身体能力、異なる外見、異なる生い立ち、と「違い」や「多様性」は日常生活のあらゆる場面に存在し、大人のみでなく、ときには幼い子どもでさえ、差別的な考え方や偏見をもちます。このような観点から考えると、エリート層や富裕層のみでなく、幼少期から誰もが平等にアクセスできる国際教育を模索する必要があるのではないでしょうか。日本では経済的余裕のない家庭の生徒もIB教育を受けられるようにするために国公立高校でのIB課程導入が進められています(文部科学省IB教育推進コンソーシアム, 2019b)が、IBプログラムの運用には多額な費用がかかると言われており(渡邉, 2014)、早急な普及は難しい状況です。しかしながら、もし前述の意識・態度調査の対象となっていたIB生徒たちが幼少期から多様な児童・生徒と交流しながらIB課程で学んでいたら、まったく異なる結果になっていたかもしれません。
バイリンガル教育についても、同様の課題があります。近年は日本語と英語のバイリンガルを目指す方法は数多くあり、優秀な成績や経済的な余裕などがあれば、英語教育に力を入れる保育所・幼稚園や小・中・高等学校、インターナショナル・スクール、海外留学・進学など、さまざまな教育機関があります。しかしながら、バイリンガルのような語彙や流暢さが身につくことはあるかもしれませんが、必ずしも全員が国際的な視野をもったバイリンガルになるとは限りません。本来は外国語や海外に触れることで母国の言語や文化の価値を再認識しながら視野が広がる環境であるはずであっても、英語が得意になる一方で日本語に価値を見出さなくなったり、外国語や海外諸国については興味・関心が強い一方で日本や日本に住む外国人に関しては無知・無関心であったり、というように、誰もがそのバイリンガル環境を有効に活用できるわけではありません。そして、IBプログラムと同様に、そのような教育環境には特定の人のみが集まります。幼少期から、かつ、受験競争や家庭の経済力とは関係なく、多様な子どもたちと一緒に複数の言語や文化を知ることの楽しさやおもしろさを発見できるバイリンガル環境を体験することができれば、将来の国際的な経験を最大限に活用できるのではないでしょうか。
IBプログラムにおいて複数の言語を学ぶことが重視されていること、そして、バイリンガル教育や二つの言語を使用することがアイデンティティや認知・行動などに具体的にどのような影響を与えるかというテーマで長年数多くの研究が行われていることから、IBプログラムとバイリンガル教育には密接な関わりと共通の課題があると考えられます。IBプログラムの価値が海外の大学進学を容易にすることや西洋の思考方法を身につけさせることのみでないように、バイリンガル教育の価値も流暢な英語力を身につけさせることのみではありません。いまの子どもたちが、一見「国際的」であっても視野の狭い大人、一見「バイリンガル」であっても考え方はモノリンガルである大人にならないよう、国際的とは何か、バイリンガルとは何か、何のために学ぶのか、といったことを政府や教育機関はもちろん、保護者も当事者として考えることが必要です。

 

参考文献

Hill, I. (2002). The International Baccalaureate: Policy process in education. Journal of Research in International Education, 1(2): 183-211. https://doi.org/10.1177/147524002764248130.
IBO (2014a).「一貫した国際教育に向けて」. https://www.ibo.org/globalassets/publications/towards-a-continuum-of-international-education-jp.pdf(2019年6月アクセス).
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三友陽子(2018).「中国における「教育の国際化」の語られ方:北京市A中学を事例として」.『学芸国語国文学』, 48: 170-180. https://doi.org/10.24672/gkokugokokubun.48.0_170.
文部科学省IB教育推進コンソーシアム(2019a).「認定校・候補校」.『文部科学省IB教育推進コンソーシアム』. https://ibconsortium.mext.go.jp/ib-japan/authorization/(2019年6月アクセス).
文部科学省IB教育推進コンソーシアム(2019b).「国際バカロレアの推進に関する提言等」.『文部科学省IB教育推進コンソーシアム』. https://ibconsortium.mext.go.jp/ib-japan/proposals/(2019年6月アクセス).
渡邉雅子(2014).「国際バカロレアにみるグローバル時代の教育内容と社会化」.『教育学研究』, 81(2): 176-186. https://doi.org/10.11555/kyoiku.81.2_176.

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