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ワールドファミリーバイリンガルサイエンス研究所

日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。

2019.04.09

同僚は外国人

同僚は外国人

「同僚は外国人」が当たり前になっていく日本

2018年12月の入管法改正により、外国人労働者の受け入れ拡大に関する議論が盛んになっています。日本で働く外国人が増えることは、英語を学ぼうとしている日本の子どもたちにとって、どのような将来が待ち受けているのでしょうか。

 

 

日本で働く外国人は10年間で倍以上に

日本で働く外国人は約128万人(2017年10月末時点)。この10年間で倍以上の人口になり、外国人を雇用する事業所も同様に増加しています(厚生労働省, 2018a)。

出典:厚生労働省(2018a) 

※平成20年度10月末時点と平成29年度10月末時点のデータを基にIBS作成。

※厚生労働省による外国人雇用状況のデータ集計は2008年10月末から開始した。

「技能実習」は2010年7月に新たに設けられた在留資格であり、以前は「特定活動」に含まれていた。

 

外国人が日本で働く方法(在留資格)はいくつかありますが、最も増加幅が大きいものは「資格外活動」であり、外国人留学生のアルバイトなどが含まれます。2008年7月に文部科学省(2008)がほか関係省庁とともに「留学生30万人計画」を策定し、外国人留学生は当時の約12万人から約27万人(2017年5月1日時点)に増加しました(日本学生支援機構, 2017)。「特定活動」として働く外国人人口に近い数であること、私費留学生の75%がアルバイト(うち、飲食業が最も多く45.7%、次いでコンビニなどの営業・販売業が26.3%を占める)をしている(日本学生支援機構, 2016)ことから、近年の飲食店やコンビニなどで見かける外国人スタッフの多くは留学生です。日本で留学生が働ける時間は週28時間までですが、週10〜20時間で制限している世界各国と比較すると圧倒的に長く(OECD, 2014)、日本が留学先として選ばれる理由の一つになっています。大学や大学院よりも、日本語学校や専門学校における留学生人数のほうが急増しており、日本語や特定分野の専門知識を学んで日本での就職を目指す留学生も増えていると言われています(志甫, 2015)。実際に、日本で就職した外国人留学生はこの10年間で倍以上に増えました(法務省, 2018)。

次いで、技能実習生(在留資格:旧「特定活動」、現「技能実習」)や外国人看護師・介護福祉士(在留資格:「特定活動」)も増加しています。外国人技能実習制度は人材育成を通じた国際協力が目的であり、日本で学んだ知識・技術を母国で活かすことを前提に開発途上国(*1)から若者たちが来日します。上図の同じ10年間(各年末時点)で2.6倍の274,233人に増加しました(厚生労働省, 2017a)。この制度を巡っては法外の低賃金や劣悪な労働環境など多くの問題点が浮上し、2017年11月から新たに施行された技能実習法により、人手不足を補う手段として実習生を利用することが禁じられ、実習生の保護が図られ始めました。同時に、優良な受け入れ団体・企業は、通常1年間の実習期間を延長(最長3年間→5年間)させたり、受け入れ人数枠を増やしたりできるようになります。さらに従来は、制度の趣旨上、実習生の受け入れ産業は、開発途上国で修得が困難な技能に関わるものに限られてきましたが、介護などの新たな分野も追加されました(法務省・厚生労働省 編, 2018)。本来は、実習生は母国へ帰国することが前提の外国人技能実習制度ですが、2015年から国土交通省が開始した外国人建設就労者受入事業(*2)などに見られるように、日本で働き続けることを促進しているような側面もあります。よって、今後は実習生の人数が増えるばかりではなく、そのまま日本に就職する実習生も出てきます。

近年は、病院や介護施設などにおいても外国人スタッフを見かけることが増えてきたのではないでしょうか。彼らは、経済連携協定(*3)に基づき、母国での資格かつ実務経験などの諸条件を満たし、日本の国家資格取得を目指すインドネシア、フィリピン、ベトナム出身の看護師・介護福祉士です。2017年度の年間受け入れ人数は約10年前の4倍である3,492人(2017年9月1日時点)となり、累計では看護士が26%、介護士が74%を占めます。厚生労働省(2018b)は、人手不足を補うためではなく、「相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の強化の観点から実施するもの」と述べており、日本人看護士や介護福祉士の就労機会を奪うことにならないよう、年度ごとの受け入れ人数は決して多くはありません。しかしながら、彼らが日本の国家資格を取得できれば、「医療」や「介護」の在留資格で働き続けることができるため、国家試験や職場における言葉の壁などの問題が解消されていけば、日本の病院や介護施設における外国人の看護士や介護福祉士が増えていく可能性は十分にあります。

さらに、専門的な知識・技術が必要とされる分野で働く外国人(在留資格:以下の表を参照)も約10年間で3倍近くに増えており、例えば、大学教授や語学教師、企業の経営者などが当てはまります。現状、「技術・人文知識・国際業務」が在留資格の約6割を占め、とりわけ情報通信業に従事する外国人が大幅に増えています(法務省ほか, 2017)。さらに日本政府は、日本の学術研究や経済発展に貢献する高度な知識・技術をもつ外国人人材を積極的に誘致しようとしています。このような取り組みについて日本は世界から遅れをとっているという問題意識から、2008年から有識者とともに「高度人材受入推進会議」を開催し(首相官邸, 2009)、2012年からは学歴や職歴、年収などの諸条件を満たした人材を「高度外国人材」と認定して優遇措置(在留期間や永住権の取得など)をとる制度を導入し、「高度外国人材」認定件数は累計12,945人(2018年6月時点)となりました(法務省, 2018)。さらに2022年末までに20,000人の認定を目標にしていること、高度外国人材の「卵」である優秀な外国人留学生の採用や就職活動への支援を強化する方針であること(首相官邸, 2018a)、今後も専門的・技術的分野で働く外国人は増えていくでしょう。

 

(*1):技能実習に関する二国間取決め(協力覚書)が作成されている国は、ベトナム、カンボジア、インド、フィリピン、ラオス、モンゴル、バングラデシュ、スリランカ、ミャンマー、ブータンである(厚生労働省, 2018c)。

(*2):震災の復興事業や2020年東京オリンピック開催決定によって建設需要が増大したことを受け、緊急かつ一時的な措置(2020年まで)として、建設分野の技能実習生はそのまま日本の建設業で最長2〜3年間就労できるようにすることが2014年に閣議決定した(国土交通省, 2017)。

(*3):各経済連携協定国からの受け入れ開始年は、インドネシアが2008年、フィリピンが2009年、ベトナムが2012年である(厚生労働省, 2018b)。

 

2018年12月の入管法改正により、

「同僚は外国人」が当たり前になる日が近づく

2018年12月、入管法(出入国管理及び難民認定法)が改正され、外国人が日本で働くことのできる産業分野が大幅に増えることが決まりました。一部の規定を除き、2019年4月1日からの施行が予定されているものの、未決定または不明瞭な部分が多いことから、国会やメディアはもちろん、該当する産業分野の経営者・労働者などの一般社会においても賛否が分かれた議論がますます白熱しています。

入管法の改正により、日本で働く外国人の在留資格に「特定技能」が加わり、対象の業種・職種は「人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」(首相官邸, 2018b)とされています。

出典:厚生労働省(2017)、入国管理局(2018)、首相官邸(2018b)

※各資料を基にIBS作成(2019年1月)

 

首相官邸(2018b)の資料によると、ロボットや情報通信技術、AIなどの最新技術導入による労働効率化、および、賃金・労働環境などの処遇改善や高齢者・女性・若者の就業促進などの国内における人材確保に関する対策を講じたうえで、それでもなお不足すると見込まれる人数の外国人を受け入れる方針です。以下のグラフは、向こう5年間で各産業分野において不足する人材のうち、労働効率化で補う数、国内で確保する数、外国人材(在留資格:「特定技能」)を受け入れる数の割合を示したものです。

出典:首相官邸(2018b)

※資料をもとにIBSグラフ作成

※首相官邸(2018b)の資料において、各見込数はおよその数値で記載されている。また、人数に幅のある記載(例:介護分野における「国内で確保する見込数」は22〜23万人)の場合は、多いほうの人数をグラフ作成に利用した。

 

外国人が在留資格「特定技能」を得て働くには、即戦力となりうる知識・技能・実務経験が必要条件とされ、産業分野ごとの特定の試験や日本語能力試験に合格しなければならず、外国人なら誰でも働けるというわけではありません。しかしながら、技能評価のための試験のほとんどは今後新たに専用の試験が作成される予定であり、また、同産業分野・業務にて3年間の技能実習を終了した外国人(在留資格:「技能実習2号」)は試験を免除する方針であることから、人材不足への対応が急務とされている現状を考慮すると在留資格取得のハードルはそれほど高くならない可能性があります。さらに、在留資格「特定技能」で働く外国人は、アルバイトやパートタイム、派遣スタッフなどではなく、フルタイムの直接雇用が原則とされており、日本に最長5年間滞在できます。

グラフが示す通り、現在の中高生・大学生が社会人になる5年後、10年後の日本では、日本人よりも外国人のほうが社員の多くを占める職場が増えるかもしれません。少なくとも、同僚に外国人がいることは、いまよりも当たり前になるのです。

 

日本語を話すバイリンガル外国人が増える可能性も

このように、日本で働く外国人や対象となる産業分野は年々増える傾向にあります。英語を習得しようとする日本の子どもたちにとって、どのような将来が待ち受けているのでしょうか。

それは、日本語を話すバイリンガル外国人が増える将来です。外国人留学生がアルバイトできる期間は在学中のみですが、日本語学校へ通う留学生が増えていることから、卒業後にさらに専門学校や大学へ進学すれば長期滞在となり、さらに外国人が働ける産業分野が広がったことによって日本で就職しやすくなれば、日本語を話す外国人の若者が増えます。外国人技能実習生も、技能実習を経て「特定技能」の在留資格で働く人が増えれば、最長で10年間日本に住み続けることになります。EPA看護師・介護福祉士も、3〜4年間の実習終了後に「特定技能」資格で働いたり、国家資格を取得して「医療」や「介護」といった専門的・技術的分野の資格で働いたりすれば、10年以上の日本滞在となります。さらに、実施は見送られているものの、「特定技能」の対象となる産業分野によっては(現時点で対象分野は未定)、長年の実務経験や試験により熟練した技能をもつと認められた場合に無期限で働き続けることができる在留資格「特定技能2号」も新設される予定です

現状、日本で外国人が働くには、日本語が不可欠です。日本で働く期間が長期化すれば、日本語能力が上がる可能性も高まるでしょう。日本政府も、日本で働く外国人に対し、あらゆる生活場面における多言語対応を促進するのみならず、日本語教育への取り組みも強化する方針です(首相官邸, 2018c)。このような傾向が続いていけば、将来の日本には、英語などの外国語を話す日本人バイリンガルよりも、日本語を流暢に話す外国人バイリンガルのほうが多くなっても何ら不思議ではありません。

いまの子どもたちが大人になるころには、同僚にバイリンガルの外国人がいることは当たり前になり、就職や転職時のライバルになる可能性もあります。「バイリンガルは特別な存在」、「バイリンガル教育はごく少ない一部の人たちのための教育」、といった古い考え方がいよいよ日本でもなくなっていくのではないでしょうか。

 

 

参考資料

OECD(2014). International Migration Outlook 2014. OECD Publishing. http://dx.doi.org/10.1787/migr_outlook-2014-en(2019年1月アクセス).

厚生労働省(2017a).「技能実習制度の現状」.『外国人技能実習制度について』.  https://www.mhlw.go.jp/content/000335597.pdf(2019年1月アクセス).

厚生労働省(2017b).「日本で就労する外国人のカテゴリー(総数127.9万人の内訳)」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/gaikokujin16/category_j.html(2019年1月アクセス).

厚生労働省(2018a).「外国人雇用状況の届出状況について(報道発表)」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/gaikokujin-koyou/06.html(2019年1月アクセス).

厚生労働省(2018b).「インドネシア、フィリピン、及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/other22/index.html(2019年1月アクセス).

厚生労働省(2018c).「技能実習に関する二国間取決め(協力覚書)」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000180648.html(

国土交通省(2017).「建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置(外国人建設就労者受入事業)」. http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000084.html(2019年1月アクセス).

志甫啓(2015).「紹介:外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について」.『日本労働研究雑誌 9月号(No. 662) 特集:外国人労働の現状と課題』. 98-115. 労働政策研究・研修機構. https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2015/09/pdf/098-115.pdf(2019年1月アクセス).

首相官邸(2009).「高度人材受入推進会議」. http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinzai/(2019年1月アクセス).

首相官邸(2018a).「未来投資戦略2018 —「Society 5.0」「データ駆動型社会への変革—」. https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf(2019年1月アクセス).

首相官邸(2018b).「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議 資料2:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について(平成30年12月25日閣議決定案)」. https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai3/siryou2-2.pdf(2019年1月アクセス).

首相官邸(2018c).「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議 資料3:外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(平成30年12月25日閣議決定案)」. https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai3/siryou3-2.pdf(2019年1月アクセス).

日本学生支援機構(2016).「平成27年度 私費外国人留学生生活実態調査:概要」. https://www.jasso.go.jp/about/statistics/ryuj_chosa/__icsFiles/afieldfile/2016/12/02/ryujchosa27p00.pdf(2019年1月アクセス).

日本学生支援機構(2017).「平成29年度 外国人留学生在籍状況調査結果」.  https://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/2017/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/data17.pdf(2019年1月アクセス).

入国管理局(2018).「在留資格一覧表(平成30年8月現在)」. http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.pdf(2019年1月アクセス).

法務省(2018).「平成29年度における留学生の日本企業等への就職状況について」. http://www.moj.go.jp/content/001271107.pdf(2019年1月アクセス).

法務省・厚生労働省 編(2018).「技能実習制度 運用要領」.  https://www.mhlw.go.jp/content/000308209.pdf(2019年1月アクセス).

法務省・厚生労働省・経済産業省(2017).「未来投資会議構造改革徹底推進会合:「企業関連制度・産業構造改革・イノベーション」会合(雇用・人材)第2回 配布資料4:高度外国人材の受入れ・就労状況」. https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/koyou/dai2/siryou4.pdf(2019年1月アクセス).

文部科学省(2008).「「留学生30万人計画」骨子の策定について」. http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08080109.htm(2019年1月アクセス).

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