日本の子供たちが、英語を身につけて ミライに羽ばたくために。
2024.11.19
今回レビューした主な論文:
Waddington著「早期外国語教育:子どものエージェンシーを育む場としての遊び(IBS訳)」(2023年発表)
Waddington, J. (2023). Early foreign language education: Play as a site for child agency. Journal of Multilingual and Multicultural Development, 0(0), 1–15.
レビュー著者:Paul Jacobs(IBS)
翻訳:Yuri Sato(IBS)
まとめ
●外国語学習に遊びを取り入れることは、子どもの認知、情動、社会性、および言語面の成長を後押しする。
●経験豊富な教師であっても、言語発達における遊びの価値を過小評価している可能性がある。しかし、子どもの学習者における自律性と自信を育むためには、遊びを取り入れた学習環境が極めて重要である。
●外国語を使って遊ぶ空間を学校や家庭でつくることによって、授業というフォーマルな環境で学んだことばの使用を促すことができる。
遊びは、幼児の発達にとって重要な要素であり、認知、情動、社会性、言語の発達を促します(Yogman et al., 2018)。しかし大人にとっては、遊びは子どもほど本能的なものではありません。そのため、遊びが言語発達をどのようにサポートできるか理解することは、親や教師が幼児と関わるうえで役立ちます。
幼い子どもたちが楽しく遊びながら周りの世界を学んでいけるよう手助けすることは、状況によっては自然なことです。しかし、英語のような第二言語を教えるとなると、私たち大人は、楽しみながら学ぶというプロセスよりも言語能力の習得に重点を置きがちです。
このような大人の考え方は、その言語が何であろうと、幼い子どもがあらゆる関わりを通して人間として成長しているという実態を考慮していないため、子どもたちにとって有益ではありません。遊びを取り入れた教授法は、外国語の習得だけでなく、社会性、情緒、認知、身体の発達にも重点を置きながら子どもたちを教育することができます(Guz, 2016)。実は、これはあらゆる幼児教育の目標であり(文部科学省, 2018)、親の望みとも一致するものです。
日本で幼稚園の英語教室を観察したら、どのような様子が目に飛び込んでくるでしょうか。おそらく、歌や身体を動かす遊び、絵本の読み聞かせなど、遊びをベースにした活動が行われているのではないでしょうか。遊びをベースにした教授法に関する研究では、遊びが三つのカテゴリに分けられています。それら三つは一つのスペクトラム(連続体)上にあり、「自由遊び」(大人が介入せず、子どもが自由に遊ぶ)から、「大人・教師の案内による遊び」(子どもが自ら始める活動が大半を占め、教師による案内や助言がある)を経て、「教師主導の遊び」(教師が最初に遊びを始め、子どもたちがそれに続いて遊ぶときに指示を出す)へと移行していきます(Toub et al., 2018; Zosh et al., 2018)。
教師が遊びの中心と なり、歌を紹介したり、特定の動きを教えたり、物語について説明したりすることはよくあります。この教師主導の遊び方は、教育において一定の役割はあるものの、新しく学ぶ言語に関係する子どものエージェンシー(行為主体性)や自律性を育む機会を逃してしまいます。ここでいう子どものエージェンシーとは、積極的に関わろうとする、言語を創造的に産出することができる、言語活動の内容を決めるときに意見を出すことができる、自分がどの言語を使うかコントロールする、といったことに関連する子どもの振る舞いを指します(Waddington, 2023)。
子どもの時期にエージェンシーを育むことは重要です。なぜなら、子どもがより自立し、その後の人生のためによりしっかりと備えることができるからです(Gray, 2013)。経験豊富な外国語教師でさえ、学習活動を指導するという役割と、子どもが自分の力で表現する機会を与えるという役割の間で葛藤を感じています。
後述する研究では、ある教師が「何よりも、子どもたちはまだお互いにやりとりをしません。なぜなら、そのやり方がまだわからないですし、こんなふうに他者と関わる力がまだないからです。やる(主導する)のは私です。私はとにかく、歌ったり、踊ったり、子どもたちを励ましたりしながら活動を始めて、そのうちに子どもたちが私の真似をしてついてくるようになります(IBS訳)」とコメントしています(Waddington, 2023, p. p.11)。
幼い子どもたちの教師や親としては、子どもの自主性を高めることが学習成果の向上につながると信じて子どもたちを自由にさせるのは難しいことです。教師が主導しなければ、子どもたちは得意な言語しか使わないだろうという感覚がどこかにあるのです。しかし、本稿でこれから示されるように、教師主導の活動で触れたことばを活用できるような環境で遊ぶ空間が与えられれば、子どもたちは不得意なほうの言語も使うことができます。遊びは本能的なものであり、子どもたちは遊びそのものを目的としてそれに熱中し喜びを得ます。そして、遊びとは探求です(Yogman et al., 2018)。そのため、教師主導のインプットは子どもたちが活動に参加するために必要ですが、教師が統制する環境での自発的な遊びは子どもたちから自律的な表現を引き出すことができます。
この研究では、早期外国語教育における遊びと子どものエージェンシーについて教師がどう考えているかを調査するため、小規模で定性的なアプローチが用いられました。スペインのカタルーニャ州で幼児(3~5歳)の教育に携わる現職の英語教師4名が研究に参加しており、この4名が幼児教育分野における平均的な教師を代表する者とされています。教師たちには、言語に関連したさまざまな遊びのシナリオが見せられ、子どもが一人で遊ぶもの、友だちと一緒に遊ぶもの、教師と一緒に遊ぶものが含まれていました。そして、それぞれのシナリオについてどう思うかを評価してもらいました。
遊びのシナリオは、同研究者による前回の研究(Waddington et al., 2018)に基づいて作成されています。その研究では、通常の1日30分の英語教室とは別に、英語を使って遊べる空間が園内につくられました。その空間は、過去に行われた英語レッスンの教材を使って、研究者らと子どもたちが一緒につくったものです。目的は、あまり構造化されていない遊びの時間(教師主導ではなく子ども主導)によって、目標言語(英語)の使用における子どもたちのエージェンシー感(自分の意思でその行為をしているという実感)が引き出されるかどうかを観察することでした。
研究者らは、外国語で子どものエージェンシーを促す遊びのシナリオを四つ特定しました。各シナリオは、子どもたちが通常の英語レッスンで触れてきた話題や題材に関連したものであり、次の通りです。
1)天気(Weather routine):過去のレッスンに登場した単語の絵カード使って、教師と一緒に遊ぶ。
2)気持ち(Feeling):感情を表すお面(フィーリング・マスク)を使って、友だちとペアになって遊ぶ。
3)絵本(Storytime):過去のレッスンで紹介された絵本の仕掛けを触ったりしながら、一人で遊ぶ。
4)歌(Song time):過去のクラスで耳にした歌やおもちゃを使って、少人数のグループで遊ぶ。
遊びはほとんど子ども主導で行われましたが、子どもたちを導いたり語彙を提供したり正しい英語の使い方を手本として見せたりする必要があるときには、教師が遊びに参加しました。このような教師の手引きは、天気について話し合ったり、歌をうたったり、フィーリング・マスクを使ってロールプレイをしたりといったやりとりの中で、特定の話題を引き出すのに役立ちました。
子どもたちがこうした環境で遊んでいるときに使用する英語の種類をイメージしやすくするために、Waddington, Coto, and Siques(2018)の研究から二つの例を紹介します。
例1:シナリオ2の遊びでフィーリング・マスクを使っている場面(Waddington et al, 2018, p.17)
ある子どもが “¿Cómo me ves? “(私はどう?)と聞く(happyのお面をつけている)。
相手の子どもがスペイン語で “contento, ¿y tú cómo me ves?”(「うれしい(顔)」。私は?)と返す(scaredのお面をつけている)。
一人目の子どもがカタルーニャ語で”amb por, i a mi?”(「怖がっている(顔)」。私は?)と答える(sleepyのお面をつけている)。
ついに、もう一人の子どもが英語で “sleepy!”(眠い(顔)!”)と答える。
この発話によって言語使用のパターンが変わり、第一言語で質問して英語で返答する、というやりとりが続いた。
例2:シナリオ4の遊びで歌をうたっている場面(Waddington et al., 2018, p. 15)
子どもたちが英語で “Put your finger up, put your finger down, put it on your. . . “(指を立てて。指を下げて。その指を・・・)と歌い、第一言語で “com es diu la cama?”(「足」って何て言うの?)と言う。
教師が “leg “という単語を提示すると、子どもたちは “put it on your leg!”(その指を足に置いて!)と再び歌い始める。
教師たちが各シナリオの遊びを観察してコメントを出したあと、その評価シートに記入した内容について、より詳しい意見や説明を引き出すためのオンライン・インタビューが行われました。
教師たちは、どのような種類のエージェンシー(※1)に気づいたか?
遊びを観察した教師たちは、教師主導の活動とは別に、英語学習専用の遊び場所を設けるというアイデアに驚きを示しました。英語学習は教師主導の活動の中で行われるものだと捉えられていたのです。そのため、あまり構造化されていない遊びの場所にまで英語学習が広がることについては、「そうなればいい」とは思われていたものの、言語スキルに関係する子どものエージェンシーを育むために不可欠なことだとは思われていませんでした。
理論的には、教師たちは幼児にとって遊びが重要であることは理解していました。しかし、その理解は、教師が適切な英文を提示して子どもたちがそれらを楽しく練習する遊びに対してのみでした。ある教師は、フィーリング・マスクを使ったシナリオ2の遊びについて、子どもたちはお面を正しく使えていたものの、100%英語を使っているわけではなく、英語と第一言語を切り替えながら使っている、という内容のコメントを出しました。
この教師から見ると、これは学習につながる適切な練習ではないため、子どもたちが遊んでいるときに英語しか使わないようにサポートする必要性がある、という提案がありました。しかし、それでは、子どもがコミュニケーションの潜在能力を養いながら自分の言語使用について主体性を持つための助けにはなりません(García, 2018)。このような感想は、遊びを観察したほかの教師たちからも同様に寄せられ、遊びは一般的に教師が主導するものとしてイメージされていることが示されました。
教師たちは、各シナリオの遊びを観察する前にインタビューを受け、自分が指導する際にどのような種類のエージェンシーに気づいているか、ということについて回答しました。最も多く挙げられたエージェンシー行動は二つであり、「b) 教師のあとに続いて復唱する」と「k) 遊ぶことを楽しむ」でした。そのほかの11の行動については、英語を外国語として学ぶ未就学児を指導する際に明確に考慮されていませんでした。しかし、遊びを見ているときに、協同学習(cooperative learning)、自律性、自然な言語習得、楽しさ、言語レパートリーをすべて駆使することがいかに子どものエージェンシーを促す要素になっていたかを確認することはできていました。
遊びは、外国語における子どものエージェンシーをどのように育むか?
協同学習と自律性:
教師たちは、特に子どもたちが歌を通してお互いに関わり合う歌遊びでは、子どもたちが一緒に取り組むことのメリットを見出していました。そして、子どもたちが、教師にそのように促されたわけではないにもかかわらず、知識のギャップを埋めるための橋渡しとして家庭の言語を使っていることに気づきました。このように、これまで学習してきた内容に結びつく環境で自由に遊ぶ機会を増やすことで、子どもの自立を促し、新しい言語を使うことに対する自信を育むことができます。
家庭と学校のかけ橋になる:
また、教師たちからは、遊びの空間で観察された遊びが家庭環境での学習を促進する自然な遊びに似ている、という指摘もありました。このように、家庭生活と結びつくような遊び場所を設けることで、子どもたちが家庭から学校へ、学校から家庭へとスムーズに移行できるようになり、学習効果がさらに高まる可能性があります。子どもたちにとって意味のある遊び、つまり、子どもたちが慣れ親しんでいるトピックや活動に似た遊びを用意することで、より良い学習成果を生むことができるのです(Peker et al., 2018; Zosh et al., 2017)。
子どもの能力を過小評価してしまう:
教師は、遊びの中で子どもが自分だけでできることを過小評価し、常に大人の導きがなければならないと考えてしまいがちです。教師がどのような信念を持っているかがわかることばを本稿の序論で紹介しましたが、これと同様に、幼い子どもたちは新しい言語を使ってお互いに関わり合う能力を持っておらず、むしろこの時期は教師の真似をして教師のあとについていくべきだ、と考えています。このような教師たちは、たとえ四つの遊びの中で子どもたちが自分の知っている言語を使って遊んでいる様子を観察したとしても、自分の生徒たちも同じようなやりとりをするとはなかなか信じられなかったのです。しかし、子どもたちが自力で遊んで学ぶ能力を信じることは、子どもの発達面でより良い結果につながり、さらに、より効果的な外国語学習につながります。
これらの研究結果から見出された共通のテーマは、大人があまり介入しないアプローチ、つまり子ども主導の遊びが幼児の学習に役立つという考え方に対する教師の不安でした。
遊びは、人間の発達にとって非常に大きな力となり、身体的、社会的、情緒的な能力の成長につながります(Yogman et al., 2018)。遊びは、不安やストレスを軽減し(Wenner, 2009)、自己調整のスキルとともに言語のスキルを伸ばすこともできます(Bodrova et al., 2013)。私たちは親や教師として、これらの遊びの力を認めながらも、特に学習成果に関する目標がある場合には、それをどのように実践すればよいのだろうかと悩むものです。
Mourão(2014)がMoyles(1989)の研究を基に提示した枠組みでは、幼稚園の英語教室における遊びのスパイラルが説明されており、この考え方を覚えておくと役に立つかもしれません。その遊びのスパイラルは、大人主導の遊びから始まります。つまり、教師が楽しいゲームや歌を交えて構成したレッスンです。そして、スパイラルの次の段階では、前述の例のような、子ども自身が始める遊びの余地がつくられます。遊びのスパイラルは、このような形で、子どもが言語のさまざまな要素を習得できるまで繰り返されます。もちろん、常に教師の主導によって遊びを始めなければならないという意味ではありません。子どもが概念やおもちゃ、物語、ゲームに慣れてきたら、子どもが自分で始めた遊びからスタートし、必要に応じて教師が言語学習のための足場かけをしてもよいのです。
今回ご紹介した研究から得られる重要な情報は、言語を使って遊ぶ空間を家庭や教室で設ける必要があるということです。子どもたちは、質の高い言語インプットに触れたら、その聞いた内容に結びつくおもちゃやイラスト・映像などに触れるよう促されたほうがよいのです。日本の幼稚園で定期的に英語教室がある場合、週に1回、外部の英語教師による30分〜60分間だけのレッスン、ということが多いと思われます。このような場合、英語教師は、遊びを通して子どもたちの学習をサポートする時間を十分に確保することができません。そのため、子どもたちが幼稚園で学んだ話題について親が知っておくことは非常に役立ちます。そうすれば、幼稚園だけでなく家庭でも遊びの場所を設け、学校以外の場面でも英語を使う可能性を育むことができるでしょう。
例えば、英語教室では、天気、動物、食べもの、身体の動きなど、日常生活の活動や概念に基づくテーマが中心となります。親が家庭で英語環境をつくるためには、まずお子さんがどのようなテーマの英語に触れているかを確認し、次にそのテーマに合ったおもちゃや本、歌、ゲームなどを集めます。そして、それらのアイテムを使ってお子さんと触れ合い、可能であれば、お子さんの英語や遊びを通して示されるエージェンシーがどのように発達しているかを記録します。歌や幼稚園のレッスンで聞いた単語を繰り返し口に出しているでしょうか。新しい言語を使って遊ぶことを楽しんでいるでしょうか。お子さんにこのようなエージェンシーが芽生えていることに気づいたら、さらに後押ししてあげましょう。
お子さんと遊びを通して関わることは、単なる外国語学習者としてではなく、一人の人間としての成長を重視することになり、お子さんの全般的な成長を促します。結論として言えることは、幼い子どもたちが自ら進んで第二言語を使うようになるとは信じがたいかもしれませんが、適切な環境で遊びを通してであれば、子どもたちは自分が学んでいる言語を使うことができますし、実際に使っている、ということです。
(※1)この研究では、幼児期のエージェンシーが12種類特定されている。12種類のエージェンシーの一覧は、文末の補足資料を参照のこと。
Bodrova, E., Germeroth, C., & Leong, D. J. (2013). Play and self-regulation: Lesson from Vygotsky. American Journal of Play, 6(1).
García, O. (2018). The multiplicities of multilingual interaction. International Journal of Bilingual Education and Bilingualism, 21(7), 881–891.
https://doi.org/10.1080/13670050.2018.1474851
Gray, P. (2013). Free to Learn: Why Unleashing the Instinct to Play Will Make Our Children Happier, More Self-Reliant, and Better Students for Life. Hachette UK.
Guz, E. (2016). Learning a foreign language through play. Roczniki Humanistyczne, 64(11), Article 11.
https://doi.org/10.18290/rh.2016.64.11-3
Mourão, S. (2014). Taking play seriously in the pre-primary English classroom. ELT Journal, 68(3), 254–264.
https://doi.org/10.1093/elt/ccu018
Moyles, J. R. (1989). Just Playing?: The Role and Status of Play in Early Childhood Education. Open University Press.
Peker, H., Regalla, M., & Cox, T. D. (2018). Teaching and learning vocabulary in context: Examining engagement in three prekindergarten French classrooms. Foreign Language Annals, 51(2), 472–483.
https://doi.org/10.1111/flan.12338
Schwartz, M., Kirsch, C., & Mortini, S. (2022). Young children’s language-based agency in multilingual contexts in Luxembourg and Israel. Applied Linguistics Review, 13(5), 819–841.
https://doi.org/10.1515/applirev-2019-0050
Toub, T. S., Hassinger-Das, B., Nesbitt, K. T., Ilgaz, H., Weisberg, D. S., Hirsh-Pasek, K., Golinkoff, R. M., Nicolopoulou, A., & Dickinson, D. K. (2018). The language of play: Developing preschool vocabulary through play following shared book-reading. Early Childhood Research Quarterly, 45, 1–17.
https://doi.org/10.1016/j.ecresq.2018.01.010
Waddington, J. (2023). Early foreign language education: Play as a site for child agency. Journal of Multilingual and Multicultural Development, 0(0), 1–15.
https://doi.org/10.1080/01434632.2023.2290095
Waddington, J., Coto Bernal, S., & Siqués Jofré, C. (2018). Creating and evaluating a foreign language area in an early childhood setting. European Early Childhood Education Research Journal, 26(3), 334–346.
https://doi.org/10.1080/1350293X.2018.1462998
Wenner, M. (2009, February 1). The Serious Need for Play. Scientific American.
https://www.scientificamerican.com/article/the-serious-need-for-play/
Yogman, M., Garner, A., Hutchinson, J., Hirsh-Pasek, K., Golinkoff, R. M., COMMITTEE ON PSYCHOSOCIAL ASPECTS OF CHILD AND FAMILY HEALTH, COUNCIL ON COMMUNICATIONS AND MEDIA, Baum, R., Gambon, T., Lavin, A., Mattson, G., Wissow, L., Hill, D. L., Ameenuddin, N., Chassiakos, Y. (Linda) R., Cross, C., Boyd, R., Mendelson, R., Moreno, M. A., … Smith, J. (2018). The Power of Play: A Pediatric Role in Enhancing Development in Young Children. Pediatrics, 142(3), e20182058.
https://doi.org/10.1542/peds.2018-2058
Zosh, J. M., Hirsh-Pasek, K., Hopkins, E. J., Jensen, H., Liu, C., Neale, D., Solis, S. L., & Whitebread, D. (2018). Accessing the Inaccessible: Redefining Play as a Spectrum. Frontiers in Psychology, 9.
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.01124
Zosh, J. M., Roseberry Lytle, S., Golinkoff, R. M., & Hirsh-Pasek. (2017). Putting the Education Back in Educational Apps: How Content and Context Interact to Promote Learning. In R. Barr & D. N. Linebarger (Eds.), Media Exposure During Infancy and Early Childhood: The Effects of Content and Context on Learning and Development (pp. 259–282). Springer International Publishing.
https://doi.org/10.1007/978-3-319-45102-2
文部科学省 (MEXT). (2018). 幼稚園教育要領解説 (Yochien Kyoiku Yoryo).
https://www.mext.go.jp/content/1384661_3_3.pdf
【補足資料】
幼児期のエージェンシーを示す12の行動
子どもたちのエージェンシーは、Schwartz, Kirsch, and Mortinia(2022)によってマルチリンガル(多言語)幼稚園の環境で特定された「10のエージェンシー行動」に基づいて評価された。10のエージェンシー行動は下記の通り。
a)非言語的なコミュニケーション戦略を通じて関わり、家庭で話されている言語を使う。
b)友だちや教師のあとに続いて復唱する。
c)トランスランゲージングを含め、創造的に言語を産出する。
d)セルフモニタリング(自己監視)とセルフコレクション(自己修正)をする。
e)他者に訂正フィードバックを提供する。
f)新しい言語を使ってセルフトーク(ひとりごと)をする。
g)言語使用について話したり、言語について質問したりする。
h)新しい言語を使う活動の内容を決めるときに主要な役割を果たす。
i)教室での言語使用をコントロールする。
j)(新しい)言語を使うことに消極的であることを示す。本稿でレビューした研究におけるエージェンシー行動には、さらに下記二つの補完的な行動が加わっている(p.6)。
k)言語を使って遊ぶことを楽しむ。
l)目標言語を思い出せなくても積極的に参加する。